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同じシャンプー使ってたらもう家族だよね

昔使っていた柔軟剤の香りがした
こんな思いをするならマスクをしておけば良かったと
ほんのりとした後悔を冷たい空気と一緒に吸い込む

年末の大掃除をするノリでSNSのアカウントを作り直した
心にはほんの少しの空白が必要なんだ
敷き詰められた思い出は
蝋燭が燃え尽きるように消えていくだろう
芯が倒れた頃
下北沢も私にとって何でもない場所になる

高層ビルの光は誰かが寝ずに働いているだけなのに
呑気にプレートのチョコレートをフォークで掬って眺めてる人間たちを思いながら
180円の品を棚に戻して
140円のシチューのルウを買った
東京の空に星がないんじゃなくて
誰も星になんて興味なくて
みんな自分より下を見て笑ってる

真の豊かさが何かもわからないまま
みんな焼かれて灰になる
母は変わり者だから
葬式はあげてくれるな
死体はそのまま畑に埋めろと言う
親孝行をしてやれる自信はないから
最後くらいは言うこと聞いてやろうと思ってる
母のためなら死体遺棄くらいは軽いものだね
昔、朝の匂いと夜の匂いがすると母に言ったことがある
実家から届く荷物は朝の母の匂いに包まれている

形ばかりの愛情でも結構
握りしめた鍵でドアを開ける
同じ場所で布団に包まる愛を見つめる

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