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JW87 日嗣皇子の妃

【綏靖天皇編】エピソード15 日嗣皇子の妃


前回は速瓶玉命(はやみかたま・のみこと)ことパヤオの神社を紹介させてもらった。

そして、あれから11年の歳月が流れた。

すなわち、紀元前557年、皇紀104年(綏靖天皇25)1月7日、第二代天皇、綏靖天皇(すいぜいてんのう)こと神渟名川耳尊(かんぬなかわみみ・のみこと)(以下、ヌンちゃん)が皇太子を定めたのである。

ヌンちゃん「せやで。ついに日嗣皇子(ひつぎのみこ)を定めたんや。」

そこに、大伴稚日臣(おおとも・の・わかひおみ)(以下、ワッキー)と磯城太真稚彦(しき・の・ふとまわかひこ)(以下、フトマ)、そして、申食国政大夫(おすくにのまつりごともうすまちぎみ)の物部彦湯支(もののべ・の・ひこゆき)(以下、ユー)がやって来た。

ワッキー「大王(おおきみ)。おめでとうございます。それで、誰を日嗣皇子にしたんや?」

ヌンちゃん「聞いて驚け! 磯城津彦玉手看尊(しきつひこたまてみ・のみこと)(以下、タマテ)や!」

ユー「当たり前やろ! 皇子(みこ)が一人しかおらんのやさかいっ。」

ワッキー「えっ?!」
ヌンちゃん「えっ?!」

フトマ「実は、大王のお子様は、御一人なんですよ。」

ヌンちゃん「い・・・言われてみたら、そんな気がする。」

そこに、日嗣皇子となったタマテがやって来た。

タマテ「父上・・・もとい大王。これから、日嗣皇子として、懸命に務めて参ります。皆様方も、御指導、御鞭撻のほど、よろしく御願い致します。」

ヌンちゃん「気張りぃや!」

タマテ「は・・・はい。と・・・ところで、大王。どうして、私には兄弟がいないんでしょうか?」

ヌンちゃん「そないなこと聞かれても、『記紀』に何も書かれてへんから、謎と言うしかないなぁ。」

タマテ「そうなんですか・・・。」

ヌンちゃん「ま・・・まあ、作者の妄想なら聞かせてやっても、ええで。」

タマテ「妄想・・・ですか?」

ヌンちゃん「わてには『にいやん』が三人おった。わては、そのうちの一人を殺めてしもたんや。国のためとはいえ、あないな苦しい想いを・・・息子には、させとぉなかったんや。」

タマテ「そのことは、聞き及んでおります。」

ヌンちゃん「ええか? 汝(いまし)も、大王になったら、腹を括(くく)らなあかんで。」

タマテ「分かりました。肝に銘じておきます。」

ユー「ところで、日嗣皇子の妃(きさき)は誰にするんや?」

ヌンちゃん「もう妃の話かいな!」

ユー「せやけど、もう決めんと、あかんのとちゃいますか?」

ヌンちゃん「ん~。誰か、ええ子おる?」

タマテ「あのう・・・渟名底仲媛(ぬなそこなかつひめ)を妃にしたいのですが・・・。ソコナと呼んでいただけたらと・・・。」

ヌンちゃん「は? 誰の子ぉや?」

そこに、弟磯城(おとしき)こと黒速(くろはや)(以下、クロ)がやって来た。

クロ「私の娘ですよ。」

ヌンちゃん「クロ!? まだ生きてたんかいな!」

クロ「いやですねぇ。長生きはするものですよ。」

ヌンちゃん「ちょっと待てぃ! クロはフトマの祖父やろ? っちゅうことは、ソコナちゃんは、フトマの叔母になるやないけっ。」

系図1
世代的に見た場合

クロ「まあ、この時代、甥よりも若い叔母なんて、くさるほど、いますから・・・。」

ヌンちゃん「ホンマか?!」

クロ「三国志に出てくる荀彧(じゅん・いく)と荀攸(じゅん・ゆう)なんて、良い例だと思いますよ。甥の世代の荀攸の方が年上なんです。」

荀一族

ヌンちゃん「せやけどなぁ。クロの子にしては、若過ぎるんとちゃうか?」

クロ「いいじゃないですか。徳川家康なんて、六十歳を過ぎても子供つくってるんですから・・・。」

フトマ「ちなみに、おじい様の別名が天日方奇日方命(あまのひがたくしひがた・のみこと)と言いまして、その娘と記載されております。」

クロ「その通りです。そして、娘だけでなく、息子も記載されているんですよ。」

ヌンちゃん「こ・・・ここで息子の紹介するんかいな。」

クロ「息子の名は、健飯勝(たけいいかつ)です。カツオと呼んでください。」

すると、そこに当該の人物、二名がやって来た。

ソコナ「私がソコナです。よろしく御願い致します。」

カツオ「そして、私がカツオですよ。賀茂氏(かも・し)と三輪氏(みわ・し)の祖とされてるんですよ。」

ヌンちゃん「クロのもう一人の息子で、フトマの父である、葉江(はえ)が磯城氏(しき・し)の祖で、こっちのカツオが、賀茂氏・三輪氏の祖なんやな・・・。」

系図2

クロ「その通りですよ!」

タマテ「で・・・では、父上。ソコナとの結婚を許していただけるでしょうか?」

ヌンちゃん「許してやるけど・・・。せやけどなぁ・・・。」

ワッキー「何か問題でもあるんか?」

フトマ「大王! 我が磯城一族と血縁を結ぶことに躊躇(ためら)いがあるのですか?」

ヌンちゃん「そういうわけやない。実はな・・・。タマテの妃も諸説ありなんや。」

一同「えっ?!」×7

フンちゃん「・・・っちゅうことで、次回はタマテの妃について、語って行こか。」

タマテの妃は、一体、何人いるのであろうか? 

次回につづく。

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