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【力加減は五感のどれにもあてはまらない】#04

”子どもと遊ぶ”が仕事の
小児の作業療法士ミキティです。
遊びに隠された感覚の秘密を
簡単にまとめています。


#04  固有感覚①

1. 固有感覚(こゆうかんかく)ってなんだろ?

怒っているパパの ”握りしめる手”
これ、実は「固有感覚」と関係しています。
前回の前庭感覚と同じくらい大切な大切な感覚です。

握りしめる手?固有感覚…???って
やっぱり、さっぱり…ですよね。

この感覚は筋肉を使ったり、
関節が動いたりする時にビビッと
脳に信号で伝える役割をしています。

例えば今、皆さんが
これを読んでいる時に
座っているなら、固有感覚は
お尻や足の裏にかかる体重の具合、
背もたれに寄り掛かかった背中の感じなど…

別の視点で、
もっとわかりやすく言うと
物を持ったり押したりした時に
感じる抵抗感で
”柔らかい” ”硬い”と感じ取ったり、
力加減もこの固有感覚が司っています。

また、自分の体がどのような位置にあるのか、
どのような姿勢をしているのか
常に脳に信号や情報を送っています。
ほとんどが無意識レベルの為、
気付きにくい感覚と言われています。
(深部感覚・運動覚・関節位置覚とも表現します)

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2. 固有感覚がうまく働かないとどうなるの?


◉オモチャや物をすぐに壊してしまう
◉保育園・幼稚園・小学校で
 「乱暴な子」と言われる
◉卵を上手に割ったり、
 豆腐をそっと箸でつまむ動作が苦手
◉姿勢が悪い

これらは、わざとにしているのではありません。
固有感覚がうまく感じ取れていない
・つまり、力のコントロールができていない
この2点を
私はよく、保護者や子どもの支援に関わる方に
お話ししています。
そう説明すると皆さん、「なるほど…」と、
とても納得され、
「子どもの見方が変わりました」
嬉しい言葉をその度、頂きます。

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3. どんな遊びをするのがいいの?

この感覚は筋肉や関節から入るものなので、
それを強く感じる遊びを
リハやベビシでも行います。

◉紐やタオルを使って綱引き
◉手押し車
◉しがみつき遊び
◉滑り台を下から登る(一般的にはダメかもしれませんが、足の指でふんばって体を支えるので結構力を使います)
◉お相撲ごっこ

これらの遊びで全身の力を
しっかり使った後は
子供たちの体も満足するので
その後に静かな遊びに展開しても
とてもスムーズに移行することが出来ます。

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4. まとめ


遊びは子どもの心も体も脳も成長させます。

「うちの子は乱暴」
「この子は不器用だから物をすぐ壊す」

そんなふうに
一見、見られがちな子どもたち。
でも、
実際はもしかすると、
子ども自身が一番困ってるかもしれません。

お家での親子のコミュニケーションや、
集団遊びのレパートリーの一つに
力を使った遊びを
加えてみてはいかがでしょうか。


参考文献:
感覚統合Q&A
子どもの感覚運動機能の発達と支援
発達が気になる子への生活動作の教え方


この記事が参加している募集

作業療法士(OT)は 実は子ども達のサポートも しているリハビリ職。 これらの記事が読んで頂いた方の 子育て・療育のヒントになればと思っています。 子ども達は今この瞬間が 生きてきた人生で一番成長している時。 記事を通してみなさんと 関わる事が出来たら嬉しいです✨