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聞き書き甲子園卒業生にインタビュー!!(本間さん・前編)

共存の森ネットワーク インターンの石垣です。現在インターン生として聞き書き甲子園(全国約80人の高校生が「森・川・海の名人」(林業家や漁師、伝統工芸士など)を訪ね、一対一でインタビューをする活動。今年度はオンラインで取材を実施)に関する様々な業務を行っています。卒業生へのインタビュー企画、2人目は15期生の本間真生さんです。現在は山形県金山町で地域おこし協力隊としてお仕事をされています。お仕事の内容や、高校生にとって聞き書き甲子園とはどんな事業か、などについてインタビューしました。全2回でお届けします。

本間 真生(ほんま まさき)
新潟県出身。高校3年生の時に第15回聞き書き甲子園に参加し、新潟県の狩猟(クマ猟)の名人を取材。東北芸術工科大学コミュニティデザイン学科卒業後、山形県金山町の地域おこし協力隊に着任。関係人口の増加をミッションとして活動している。


石垣:はじめまして。地域おこし協力隊をされている方とお話しするのは初めてなので、わくわくしています!よろしくお願いします。
本間:こちらこそよろしくお願いします!


〇山形県金山町について

石垣:本日は、聞き書き甲子園の卒業生の方が現在どんな活動をしているかについて、お話を聞いていきたいと思います。
まず、山形県の金山町で地域おこし協力隊のお仕事をされているということですが、金山町はどんなところですか?行ったことがないので、ぜひお聞きしたいです。

本間:金山町は山に囲まれた町で、人口は約5000人です。町は金山杉を使った金山住宅の街並みがすごくきれいで、レトロでタイムスリップしたような感覚になります。また、藁細工や着物の生地で巾着袋やかばんを作っている人がいたり、ものづくりをしている人が多いです。地縁をとても大事にしていて、高齢者のためにお弁当を作っている人とか、清掃のボランティアをしている人もいて、町でみんなが楽しく笑顔になってもらうために助け合うコミュニティが残っているのも、金山の魅力だと思います。

写真は金山杉を使った金山住宅。金山杉を使う大工さんは、木の声を聞いてものづくりを行うそうです。


〇地域おこし協力隊のお仕事

石垣:なるほど。それでは、本間さんは金山で地域おこし協力隊として、どのようなお仕事をされているのでしょうか?

本間:関係人口を増やす、要は金山町のファンを増やすことを目標として活動しています。主に4つ段階があると思っていて、まずは魅力発信、そして交流人口が増え、次に関係人口が増える、最終的には定住人口が増える、となりますが、私の仕事はまず、魅力の発信から始めて、関係人口を増やすことですね。あと、それとは別に地元の高校生の支援も行っています。


それぞれ具体的な活動についてお話すると、まず、魅力発信については、かわらばんの「やんばい」を作成したり、「みつける、金山展」という展覧会を通して、金山の日常や美しいものを伝える活動をしています。

交流人口に関しては、サイクリングマップ作りをしています。やっぱり、観光コンテンツがないと金山に来るきっかけがないなと思って。これを作ってみて、自転車がコンテンツとなって、金山に行きたいと思ってくれる人がいるというのは新たな発見でした。

関係人口でいうと、都市部に住んでいる15人を対象に、金山でやってみたいことを一緒に考える「カネヤマノジカンデザインスクール」というプログラムのメンターもやりました。このようなプログラムで、観光以上のチャレンジを通して金山町を大好きになり、何度も来ていただいて親密な関係性を作れたらなと思っています。今後は空き家もリノベーションをして、いろんな人にとってもっと気軽に、地域との入り口となるような場所を作っていけたらいいなと思っています。

本間さんが作成したサイクリングマップ


〇協力隊としての初めての活動

石垣:地域おこし協力隊になって、初めての活動は何でしたか?

本間:最初は顔を覚えてもらえるように、役場の人がいろいろ連れまわしてくれて。そこである方に「作ること、自然に触れること、食べることが大好きなので、なにかあったら一緒にやりたいので、連れて行ってください!」って言ったら、山菜採りに連れていってもらえました。山菜採りはめちゃめちゃ面白くて、私が草と山菜の見分けがつかなかったときに、その方は「俺、呼ばれているんだよ」って言いながら、どんどん山菜を採っていました。調理する時も灰汁をとったり、綿をとったりしていて手間暇がかかっているなって思いました。基本的に食べるものって買うけど、こうやって山の恵みを見つけて食べるって、究極の食だなって思ったし、感動したんです。それを私があまりにも面白そうに話しているから、「それ(かわらばんに)書いたらいいじゃん」って役場の人に言われて、書いてみたのが最初の活動でしたね。

面白かった山菜採りを取り上げた、かわらばん「やんばい」


〇金山で協力隊をやろうと思ったきっかけ

石垣:ここまでいろいろお話を聞いてきたのですが、ご自身の出身地でない金山町で地域おこし協力隊をやろうと思ったきっかけは何でしたか?

本間:地域おこし協力隊を知ったのは、大学の先生が金山町の地域おこし協力隊を募集していることを教えてくれたからです。その時すでに、(別の企業の)内定はもらっていたんですけど、友達に「絶対合ってるよ!」って言われて、ちょっと話だけ聞いてこようと思ったのが始まりでした。本当はキャリアウーマンみたいに働いて、大変な思いをして力をつけてから、自分の好きなことができたらいいなって思ってたけど、なぜかこっちに(笑)。辛いほうを選ぶっていう私の中で基準があって、全部ゼロから作り出す、私のことを誰も知らない町に行く方が自分にとって力になるんじゃないかな、と思って協力隊として働くことを決めました。

石垣:やっぱり慣れない場所だと、大変なことが多いですか?

本間:うーん、今は楽しさの方が大きいです。この金山で出会える幅がすごく面白くって、いろんな年代、お仕事をされている人とお友達になれるってすごく楽しいです。

イメージよりもよかったことは、「受け入れてくださる人が多かったこと」だとおっしゃっていた本間さん。


本間さんのされている活動はどれも興味深いものばかりでした。金山での素敵な出会いがそれらを作り上げているんだなと思いました。サイクリングマップもとても魅力的で、ぜひこのマップを片手に自転車で金山をめぐってみたいなという気持ちになりました。

次回も引き続き、本間さんのインタビュー記事をお届けします。聞き書き甲子園に参加した時に印象に残ったこと、今後の目標についてのお話も聞きました!お楽しみに。

ありがとうございます。 列島ききがきノートの取材エリアは北海道から沖縄まで。聞きたい、伝えたい、残したいコトバはたくさんあります。各地での取材にかかる交通費、宿泊費などに使わせて頂きます。そして、またその足跡をnoteで書いていければ。