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自分のために生きる。

船木先生のところへ施術に向かう。
左手の指先がチリチリとしびれたり、目もかすむ。
最近、体に出てくるさまざまな症状はいわゆる更年期のせいだと思っていたが、それは全く違うものであった。

施術台に座ると、先生は肩に触れ、左手を動かし始めた。
肩から指先までのしびれが一気に増してくる。そう感じたと思ったら、消えた。
うそのように。

仰向けになり、先生が全身をチェックしていく。

「みほさん、誰かに対して申し訳ないと思っていませんか。もっとこんなことができたんじゃないか、こうすればよかったんじゃないかと。
深い悲しみを感じます。」

涙が溢れる。

先生は何も言わずに、ずっと施術を続ける。

うつ伏せとなり、先生の手が背中に触れた瞬間。

「ぼく、母を亡くしてるんですが...」

先生が「母」という言葉を放った途端、涙はさらに溢れ続け、止まることはなかった。

「みほさんは、今も、今までも、これからも
もう充分に皆さまへ手を尽くし、想いを尽くし、行動を尽くしているように感じております。」

「自分を認めて、自分のために生きていただきたい。」

背中を優しくさすりながら先生は穏やかな声で語る。

目では見えない対話を通じて、私は私を受け止める。

一歩ずつ。


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