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カンヌライオンズ・チタニウムグランプリの歴史(1)

「BMW FILMS」への特例措置としてカンヌライオンズにチタニウムライオンという賞が生まれた2年後の2005年、この賞は1つの部門として常設化されることとなる。
この年は4つの事例がチタニウムライオンを受賞したものの、その中で最高の事例に与えられるグランプリについては「該当なし」となった。


最初のチタニウムグランプリ

最初のチタニウムグランプリが誕生したのは2006年のことだ。受賞したのは日本のデザインバーコード社による「デザインバーコード」である。

バーコードは、どんなに美しい商品パッケージにも存在し、ある種暴力的にその美観を損ねてきた。「デザインバーコード」は、そんなバーコードにそれぞれの商品に合ったデザインを施すという企画だ。

たとえば、男前豆腐店の「風に吹かれて豆腐屋ジョニー」という商品には、バーコードを波に見立ててサーフィンをする人のデザインが施されている。

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風に吹かれて豆腐屋ジョニー


また、カルビーの「じゃがりこ」では長年にわたって多数のデザインバーコードが作られ、現在にいたるまで継続して使用されている。

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ライブラリ|じゃがりこWeb|カルビー株式会社


デザインバーコード社によるケースフィルムによると、デザインバーコードは、2006年の時点で40社に採用され、その種類は120にまで広がっていたようだ。
つまりこの企画は、特定の広告主による特定のキャンペーン施策ではなく、さまざまな企業が採用できるコミュニケーションフォーマットであった。

この年のチタニウム部門の審査委員長だったデビッド・ルバーズは、この企画を次のように評している。
「この事例は広告やデザインを超越しており、世界を押し上げるものだ。我々が毎日目にする残念なシンボルを、新たなメディアに転換した」
Cannes Titanium Lion Goes to Design Barcode | cannes06 - Ad Age

また彼は、チタニウム部門の審査について次のように語っている。
「今回の審査では、この賞の原点に立ち返ることにした。それは、これまでに見たことのないものを表彰しようということだ」

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