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デジタルエンジニアリング研究室の紹介

01. はじめに

 皆さんは理系の学部と聞くと何をやっていると思いますか。私はよく文系の子から「実験やってるの?」「ロボット作ったり動かしたりしてるの?」と聞かれます。私もこの研究室に配属されるまでは4年生では実験をやったり、プログラミングを組んでロボットを動かしたりするものばかりだと思っていました。しかし私たちの研究室にあるのはコンピュータばかり。それもそのはず、私たちはコンピュータを使って計算をする「コンピュータシミュレーション」を用いることを主とし、実験も併用しながら研究を行っています。
 コンピュータシミュレーションとは、一言でいえば「何らかの現象をコンピュータでシミュレート(模擬試験)すること」です。 コンピュータ上に、仮想的なモデルを組み立て、様々な条件のもとでその現象を観察することができます。この技術を用いることで、規模が大きすぎる、危険が伴う、地球上ではできないなど、実際に実験を行うことが難しい状況でもコンピュータ上に再現し、検証することが可能です。また、人の手では困難な計算 もコンピュータにしてもらうことで理論や実験では得られない成果を得ることができます。コンピュータシミュレーションといっても様々なものがありますが、私たちは物理現象のシミュレーションをしています。
物理現象と聞くと、皆さんが学んでいる高校物理を思い浮かべると思います。それを例に考えますと、高校物理の場合、問題の条件として「摩擦は考慮しない」など、実現象とは異なることを条件に与えられることがあります。しかし、実際には運動する物体がほかの物体と触れ合う場合、摩擦が発生しないことはありません。そのような条件をコンピュータシミュレーションを用いて再現することで、より精度の高い結果を得ることができます。
そこで、私たちの行っているコンピュータシミュレーションとは、具体的にはどのようなものでしょうか。身近に関わっているコンピュータシミュレーションのわかりやすい例が自動車の衝突シミュレーションです。

 自動車衝突シミュレーションは、自動車を構成する大小様々な部品の性質をコンピュータ上に再現し、衝突の条件を与えることによって実現象を再現します。自動車がどのように変形し壊れていくのか、人の目では捉えることができない現象を様々な角度から見ることができます。
 このように身近に コンピュータシミュレーションは使われています。私たちはこのコンピュータシミュレーションを使って、機械分野、生体分野、医学分野の問題を解決するための研究をしています。



02. 研究室の紹介

 デジタルエンジニアリング研究室には現在、学部生7名、修士9名、博士1名の計17名の学生が所属しており、渡邉大教授の指導のもとで研究に励んでいます。
 研究室ではデスクワークがメインです。そのため研究室には解析に使う高性能なコンピュータが並んでいます。高性能でデュアルモニターを持つコンピュータが1人に1台与えられるので、設備はとても充実しているといえます。
 意識の高い仲間たちと整った環境で充実した研究ライフを過ごしたいという方にオススメの研究室です。


03. 研究紹介

・ Flow-diverter Stent留置術(大倉)

 いきなりですが、このような会話を耳にしたことありませんか?
「この前のテストめちゃくちゃ難しかったわー」
「私のことどれくらい好き? / 僕のことどれくらい好き?」
果たして、めちゃくちゃとはどれくらいでしょうか。
好きの単位とは何でしょうか。

 このような定性的な事象は世の中にごまんとありますが、私たちはその中で臨床医学に注目し、医師と共に一見、定性的な事象を定量的に管理しやすくし、かつ幅広く使ってもらえるようにするにはどうすればいいのかを考えながら脳動脈瘤の治療をおこなうために使用されるステントの留置方法についての研究を進めています。

脳動脈瘤:脳の血管の一部が血流の影響により風船のように膨らむ
                  脳血管疾患。
ステント:大型脳動脈瘤を治療する方法の一つ。
                  金属線のワイヤを円筒状に編み込んだデバイス。
留置:カテーテルを使いステントを適切な場所に置くこと。


・ 消波ブロック周りの流れ(田口)

 みなさん海岸に置かれている複雑な形をしたブロックを一度は見たことがあると思います。消波ブロックと呼ばれるそのブロックは、海岸侵食を防ぐなど我々の生活環境を保護するために設置されているとても重要なものです。ブロック形状は100種類以上も存在しています。ブロックが波を消す効果とそれにともなうブロックの沈下現象が形状ごとにどのように変化するかといった環境や防災のシミュレーションも行っております。


・ 頭部外傷(岐津)

 車との衝突など、外部からの力によって頭部がどのように損傷するかについて研究しています。計算によって外力が原因で発生する脳内の応力分布など、現象が複雑で実験することが困難な ことを調べることができます。そのため様々な場面において、どのようなリスクがあるのか知ることができます。現在、この研究では新しいモデルをアルゴリズムで作成する方法について進めているため、今まで勉強していなかったことについて学べるので、楽しいです。


・ 頭部保護デバイス(天野)

 頭部の多層構造を模すことにより、衝撃吸収性の高い吸収素材の開発を行っており、ヘルメットや衝撃吸収板などへの応用を目指しております。様々なパターンの流路構造をもつモデルを作成し有限要素解析を行い、より衝撃吸収能力の高い構造を検討しています。


04. 最後に

 渡邉研究室では、自分の研究に行き詰ったときなど毎週あるゼミを中心にサポートしてもらえる環境が整っています。また、近日中に留学生の学生が渡邉研に配属されることや、gPBLに参加している学生もいることなどで国際交流できる環境でもあります。様々な学生がいる中でいろいろな刺激を受けて成長ができるので、充実した生活が送れると思います!

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