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孤独なんて気にしなくていい

世の中には弧を描きながら群れから外れた狐がたくさんいる。

狼にも犬にもなりきれなかった、そんな狐たち。

そんなに油揚げが好きなら料理教室に通ってつながりネットワークを築き上げたら良いのに、と小町は発言するのだけど、そんな教室に通ったところで、孤独なものは孤独なんです。

実際のところ、自分とその家族のことしか興味が無かったり、秘密だらけでお互いのことなんてよく知らない。実の家族ですら、お互いのことを知らない。

旦那がいようが、孤独なことに変わりはない。

「独身なんですよ独身。この世に生きる全ての人はみんな単身赴任なんです。」と担任の先生はよく嘆いていたものだったが、当時友達がたくさんいると錯覚していた私はその意味がよく分からなかった。

犬の散歩をしながら人と繋がってる気になってる孤独な人々を横目に、独りネットで知り合った奥さんとLINEをしていると、「旦那いるけど孤独だよ…」とキツネ目の奥さんは呟いた。

孤…これは一夜を共にするチャンスなのか…?

などとあれこれ妄想に耽っていたのも束の間、全宇宙から自分だけが取り残されたような、絶望的な孤独感が私を襲った。

翌日、私(正確に言うと私の中のいろんな私)は趣味繋がりの友達を作ろうと考えたりnoteでいろいろ検索してコメントしようとしたりして人間関係構築のための作戦会議をしていたが、どうあがいても孤独からは逃れられないんだと諦め、半ば開き直りあるいは悟りのような心境になっていた。

クーン、クーン…

と寂しがり屋の仔犬は私に語りかけるが仔犬以上に寂しがり屋であると同時にヤキモチ焼きでもある私は「コーン、コーン…」と言ってやり返し、そのお詫びに油揚げを少々仔犬に分け与えた

分かち合おう、孤独感。

そんなキャッチフレーズが添えられたキツネうどんを食べているとある種の疑念が浮かび上がってきた。

「犬って食べちゃいけないのかな…」

そう思って(お互いのことをよく知らない)親友のキムに電話をしたがキムはただ「さみしいからほっといてくれ」の一点張りだ。

孤、、この野郎!

と言ってどんぶりを投げつけたが途端に私もさみしくなってしまい、「今まで犬みたいにみんなに噛みついてごめんね。ひとりぼっちは寂しいから人に優しくするよ。本当にごめん。」と言って謝ちを冒した。

キムは「謝謝」と言って足早に走り去って行ったが、それでも奴の孤独感は癒やされることはないのだということを私は重々承知していた。

またひとりぼっちになった私にもう一人の私が語りかける。『結局のところ、自分自身こそが最良のパートナーであり、良き妻であり、独裁者ですらあるのだろう。』

「なるほど…じゃあ人は皆生まれながらにして妻帯者ってことだったんですね…?」

『ハイ…』

「エナ!」

『爺。。』

「ハイエナ爺ですか…そうやって群れてるのか孤独なのかよくわからない老人になるしかないのですね……チクショー!!」

『畜生なんですよ。イヌ、オオカミ、キツネ、、どれも皆孤独な畜生なんです。それでも彼らは孤独を知っている分マシなんです。ハイエナはいつも群れてるから自分が孤独な存在で、正直死んでも誰も気にしないってことを自覚してないんです。』

「そうですよね…どうもありがとうございました。」

『いやこちらこそ不法入国してすみませんでした。』

解説

もうどうでもいい

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