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家に着いたらLINEして、と言う男【他8選】

自宅で妻と他愛もない会話をする。
そりゃ、だれだってそう。

他愛もない会話。

それは例えば、

「今日、外を歩いてたらさ、中国人観光客がまた爆買いしててさ、道の邪魔だったけどニコリとしたら、案の定ムシされてトホホだよ」

とかそんなこと。
本当にハシにも棒にも引っかからない、
日常の会話。


会話中、時たま、

「あ、これはきっと幸せな時間なんだ」

と気づくと、妻に言う。



「ねえねえ、幸せってさ、
 こういう瞬間のためにある言葉だね」



そう言うと妻はニヤリとして「は?」と言ってくるだけなんだけど、でも思う。日常の小さな出来事に、幸福を見出せるかどうかで気分は変わるものよ。



小さな幸せ。

目を凝らして観察しないと発見できないような幸せは、日常風景の中にいくつも転がっている。

私たちは幸福を追求する権利を持っている。ここでのミソは、幸福追求は権利であって義務ではない、という点だね。別に無理して追求する必要はないの。でも自然と権利を行使してるわけ。




(……ぽいこと言うでしょう)



てなわけで今日は、私たちがつい見過ごしがちな、幸せの瞬間をならべてみよう。気づけそうで気づけない、小さな幸福だ。


幸福って書くと、宗教的でしょ。
あぁ怖い。
怖いけど、追求したい不思議な概念。

それが幸福。



列挙シリーズは久しぶりな気がする。


前置きはもういいや。


いっちょ、いってみよう!

8つだ!!


れっつ、ハッピーセット!


[1]歯磨き粉がスムーズに出てきた

なんという幸せ。もうすぐ無くなるなぁと思ってた歯磨き粉のチューブをムギュっと絞る。力を入れないと出てこないかな、と思ってたら、小指の爪くらいのサイズ感でスムーズに歯ブラシに乗ったではないか。なんという幸福。今日はなんだか、いいことがありそうな予感だぜ。



[2]スマホで時間を見たらいつも11時11分

なぜだろう。なぜゾロ目には意味を見出せるんだ。だって、確率的にはすべて同じ確率なはずなのに。見るたびにいつも11時11分なのはなぜだろう。あれはきっと、脳内にその時間が刷り込まれてるんだろうな。なんだかラッキーを感じる不思議。自分の誕生日の時間とかもそうだね。



[3]外でいちゃつく高校生カップルを見る

他人の幸せに喜びを感じられる人間でいたい。街を歩いていると、制服を着た男女がペッタリしててね。まだあどけなさの残った2人が見つめ合って。恥も外聞もない。2人だけの世界。そうだよね、2人とも実家暮らしだもんね、そうだもんねと思いながら通り過ぎる。



[4]家に着いたらLINEして、と言う男性

あぁ、なんという幸せ。まだ付き合ってないんだよ彼とは。家に無事着いたかどうかを気にしてくれてるんでしょ。なんだよ、それ。好きじゃんそれ。女の子もウキウキじゃん。電車に乗ってる段階から「いま電車」とかLINEしちゃったくらいにしてね。幸せの権利を行使してるなぁ。



[5]小説を読み始めたばかりっぽい女性

喫茶店で作業をしていると、小説を読んでいる人がいる。少し注意深く見てみると、まだ読み始めの前半だということが手元から見て取れる。この人はこれから、作家が作った世界に没頭して、きちんと情景を想像してのめり込むんだ。読み終わるころにはどんな顔をしてるんだろう。



[6]親とスーツを買いにきた男の子

見たことある? 私はある。スーツの着方もわからないけど、春から新社会人なんだろうね。後ろにはご両親がいてね。お父さんは少し照れ臭そうで、お母さんは一生懸命にサイズを見てる。これまでの子育て、彼の就活、これからの生活への期待、心情を考えると、自然と幸せを感じる。



[7]なぜかブランド物を着こなす若い女の子

たまにいる。なぜこの子がバレンシアガのニットを着てるんだ? なぜセリーヌの帽子をかぶっているんだろう? お財布にいたってはミュウミュウだ。うーん、節操がないなぁとは思わない。田舎の出身かもよ? 彼女なりに頑張ってるのかもよ? 誰かに買ってもらってても、それはそれでOKだ。



[8]寒いねと話しかけると「え、そう?」と言ってくる人

俵万智さんの『寒いねと話しかければ寒いねと答える人のいるあたたかさ』という短歌は、あまりに有名すぎるとは思う。が、ここでは「え、そう?」と言ってくる人の存在にも光をあてたい。要はYESマンではない人が近くにいることの幸福感だ。反論してくる人を近くに置いた方がいい。


というわけで、8つの小さな幸せを書いたわけだけど、こんなのヘタしたら無限に書けるじゃないか。際限なく書けそうだし、もっと書きたいけれど、これで終わりにしよう。



この記事、読者さんがどんな状況で読まれているのかは私にはわからない。

家で読む方もいれば、車の中かもしれないし、トイレかもしれない。楽しい1日の締めくくりに読んでいるかもしれないし、憂鬱な朝かもしれない。


読んでくださった方が、「うん、たしかに幸せってこういう時間のためにある言葉だね」と思ってくださることを願って。


それではまた明日!

<あとがき>
毎日そんなことを考えているわけではありません。が、想像してしまいます。朝何時に起きたんだろう、誰とどんなLINEをしてるんだろう、お風呂ではどこから洗うんだろう、とかそんなことです。そういうことを想像できないときは、疲れてるときです。うん、いまは疲れてないね。今日も最後までありがとうございました。

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