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紙がない。

ある日私は、とあるオフィスビルの男子トイレの個室に座っていた。男性が外のトイレの個室に座っている時、やることはひとつしかない。

が、みなまで書かない。

要を済ませ、トイレットペーパーを巻こうとしたその時、我が目を疑った。



紙がない。



メーデー! メーデー!

緊急事態発生!


おぉ神よ! なぜ私が入ったトイレの個室に紙を用意してくれなかったのですか!


あぁ神よ! 常に模範的でいたいと願って暮らしている小市民のトイレの個室に! なぜ! 紙を! 用意してくれなかったんですか!



と思ってあたりを見回す。

が、やっぱりない。

…芯で拭くか? いや無理だ。

拭かないで出るか? いやダメだ。

…困った。


32年生きてきたが、トイレの個室に紙がないのは初めてだった。あぁ、どうしよう。



あ、そうだ!


カバンの中にたぶん!
ポケットティッシュがある!


と、思ってお尻丸出しでカバンの中を探った。


あ! あった! あった!



で、ことなきを得た。


すてる神あれば、ひろう神ありとは
まさにこのことである。


そして思った。





ポケットティッシュと保険って似てるな。
(職業病)



〈あとがき〉
美しくない話でごめんなさい。が、あまりにレアな体験だったので書きました。私は生命保険外交員ですから保険の必要性をお話しすることが仕事です。晴れの日に傘をさすことの必要性を訴えかけねばなりません。さまざまな例え話、ハートに突き刺さる言葉たち、そして強い信念を持ってこの仕事をしていますが、これで新たな例え話ができました。今日もありがとうございました。


▶︎私の超初期の記事でトイレにまつわるもの



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