パルコに行けない田舎者。
パルコ。ファッションビル。
全国に17ヶ所あるらしい。17パルコだ。
パルコは全都道府県にあるわけではないようだが、我が街札幌には1パルコがある。
札幌パルコは札幌市内の大通地区、通称4番街にドドンとそびえている。なぜ4番街と呼ぶのかは一切気にしなくてもいい。なぜなら私も分からないから。
この記事をご覧になっている方々の中に、思い思いのパルコがあるはずだ。みなさんにとってのパルコはどんなパルコだろう。
パルコ。
ファッションビルである。中には小洒落たファッションブランド店が並び、イートインスペースもあれば、雑貨屋さんもある。
なんらかのポップアップストアが開催されるのは、札幌市内ではたいていがパルコだ。
32歳になった現在から見れば、パルコというのはまぁ、ひとつの商業施設だよね、ちょっとおしゃれかな。
なんて思うんだけど、高校生のときの私から見ると、パルコってのはもう、野球選手にとっての大谷翔平。棋士にとっての藤井聡太。アラフォーにとっての安田成美。アラフィフにとっての樹木希林。1960年代生まれの男性にとっての矢沢永吉。
つまり、あこがれの存在であった。
高校3年生のとき、クラスで1番洗練されていた友人の1人に、むっちーという男の子がいた。過去の私の記事で言うと「株式投資で一撃当てた友だち」である。
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高身長、色白、賢い、そしてユーモアにあふれたむっちーは札幌出身で、その立ち姿、立ち居振る舞いも洗練されていた。
むっちーの実家に行くと、いつもむっちーのお母さんがお手製のなぞのスイーツを出してくれたものである。
高校時代の私といえば、田舎から札幌に出てきて「服を買いに行くための服がない」と言って、無理やりアベイルに連れて行かれ、700アベイルのシャツを見ては「なんてコスパがいいんだ!」と興奮していた段階である。
そんなむっちーにある日聞いてみた。
パルコ。
同じ教室で同じ授業を受け、同じ漫画を読んで笑い、同じテストを受けて一喜一憂し、放課後は一緒に遊んできたむっちー。
かたや私はアベイル。
700アベイルのシャツに歯茎むきだしで喜んでいる田舎者。
アベイルで手に入れた安物のシャツやパンツを家に持ち帰り、妹や弟、そして大好きなお母さんに「ねぇ見て、これ。いいでしょ」と言う田舎者。
「わぁ! いいねぇ! かっこいいじゃん!」と家族に言われ「よし! これでやっと札幌駅に行けるよ!」と言っている田舎の長男坊。
むっちーはパルコで洋服を買う。
え、お母さんとお姉ちゃんとパルコ行くの? 私なんて家族で行くのは、近所のスーパーと、札幌の激安スーパーしか行ったことないよ。
育ちの差、生まれ落ちた環境の差を感じた。
…
今でもパルコで買い物をすることはない。
なぜなら高いからだ。
小さいころに身についてしまった金銭感覚というのは、なかなか壊せるものではない。アベイルだったら700アベイルのシャツが、パルコだと1万2,000パルコもするではないか。
質より量。
32歳になっても、パルコには行かない。
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