運命のルーレット廻して。
30代以上の方なら、
タイトルを見るだけでピンとくるだろう。
運命のルーレット廻して。
これは、ZARDの曲だ。
アニメ『名探偵コナン』の初期のころの、OP曲だったかなんかに採用されていた楽曲である。
…
ある日の早朝6時すぎ。
私はルーレットを回した。
我が家では夕食の献立を、スマホのルーレットアプリで決めている。妻の負担を減らすためだ。
眠気まなこをこすって、仕事の準備をしていると、妻がベッドから出てきた。そして言われた。
「今夜のご飯はどうする?」
と、聞かれたら、すぐにルーレットを起動して、じゃかじゃーんと決めるのが常なのだが、この日は少し違った。ルーレットという単語から、冒頭のZARDの楽曲が思い浮かんだのだ。
というわけで、ルーレットを起動する前に、Youtubeで『運命のルーレット廻して』を再生した。日頃の疲労で、テンションがバグっているのだ。
音量を大きくして、この曲を再生する。
「あ、この曲なんだっけ?」
妻が言うので、冒頭のような説明をする。
早朝6時だ。さらに付け加えて、この楽曲と私との思い出を話すのだ。
…
ZARDのボーカル、坂井泉水さんが亡くなったとき、私はちょうど大学受験を控える高校生だった。ZARDといえば『負けないで』が最もポピュラーかと思う。当時のミーハーだった私は、ZARDのアルバムを買った。
『Golden Best~15th Anniversary』である。
さすがベストというだけあって、有名な曲ばかりが入っている。大学受験を控えた私は、このアルバムを聴きながら勉強したものだ。受験生のために言っておくが、音楽を聴きながらの勉強はお勧めしない。
聴覚情報が遮断されてしまうからだ。
結果、私はきちんと北海道大学に落ちた。
ZARDさんは、たくさんの楽曲で私を励ましてくれたが、私の励まされ方がなってなかった。
『運命のルーレット廻して』の中に出てくる歌詞に、こんな一節がある。
励まされたなぁ。
たしかに地球規模で考えれば、私の受験勉強なんてちっぽけだし。そうか、どんなときも幸運は待ってるんだ。ずっと見ててくれるのか。誰が見てるかはわからないけど。ふむ、がんばろう。
ちゃんと大学受験に失敗した。
でも、思うなぁ。
地球規模で考えれば、私はちっぽけ。だけど、どこかで幸運は待ってるんだろうなぁ。論理の整合性が取れてないけど、きっとそうなんだろうなぁ。
なんてことをクドクド愉快に、妻に話す。
朝6時だ。
で、妻に言われた。
「そんなことはいいから、
早くルーレットまわしてよ」
朝からこんな話をされて、
妻はイライラしているようだった。
「あ、ごめん」と言って、私はルーレットを回す。今晩の料理は豚の生姜焼きに決定した。妻は真顔だった。
家を出る。そして思う。
大丈夫、どんなときも幸運は待ってる。
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