伝説のお酒から連想すること。
飛行機の中には、その航空会社が発行していると思われる雑誌がある。
その雑誌を読むのはお客さん次第だが、私の場合、読むときもあれば、読まない場合もある。
読むときもあれば、読まない場合もある。
当たり前だ。
飛行機に乗った。約4年ぶり。4年前に乗ったときにはnoteなんぞで文章を書くこともなかったので、文章についての勉強という目的で雑誌を読むこともなかった。
が、今はちがう。
この雑誌の中にはさまざまな地方の特産品や、旅行に関する情報がまとめられていて、当然たくさんのライターがその雑誌のコンテンツ作りに携わっている。
というわけなので、福岡行きの機内で文章の研究がてら、その雑誌を読み込んでみた。
よくある話、ああいった旅行系の雑誌に書かれている文章というのは、限りなく主観を排除して書かれていることが多い。
代わりに、情報の羅列が多い気がする。
その雑誌に書かれているさまざまなライターによって書かれた文章を読んでも、やはり情報の羅列にとどまっており「まぁ、そうだよなぁ」と思った。
が、文章の書き出しや、段落の始まりの書き出しには読み手を飽きさせない工夫があって、そこはさすが、と生意気にも思ったものである。
個人的には、情報の羅列にはあまり価値を見出すことができない。ほしいのは書き手の主観であり、書き手独自の視点がほしい。
それらがあると、単なる旅行記ではなくなり、その人の脳みそを通した愉快な文章に変わる。
が、機内で雑誌を読んでいたときに「情報の羅列も悪くないではないか!」と思えた箇所があった。
雑誌の真ん中あたりに「島根県出雲市」について紹介する文章があったのだ。
出雲といえば、出雲大社を筆頭に古代日本のさまざまな伝説が残る地域である。
古事記にも登場するような、
古代日本を知る上での重要な場所。
記事には他の文章と同じように、出雲大社についての記載や、大国主や素戔嗚についての伝説が記載されていた。
その記事の中で素戔嗚の八岐大蛇伝説について記載された一文を読んだとき、思わず「あっ!」と声が出そうになった。
だいたいこんな感じ。
というのは情報の羅列なのだが、この文章を読んで、どの箇所に「あっ!」となったのかというと、
ここだ。
八塩折之酒。
ヤシオリの酒。
あっ!
だからか!
映画『シン・ゴジラ』に登場する作戦名に「ヤシオリ作戦」という作戦が登場する。
たしか、ゴジラを倒すために血液凝固剤をなんとかして飲ませて、ゴジラを凍結させる、という作戦だった。
「ヤシオリ作戦」って!
これが由来か!
たしかに、八岐大蛇にお酒を飲ませるというものと、ゴジラに血液凝固剤を飲ませる、というのは構図がまったく同じだ。
『シン・ゴジラ』の監督は、庵野秀明だったな。
エヴァンゲリオンの。
ん〜? 待てよ〜?
エヴァンゲリオンをちゃんと見たことはないんだけど、そういえば序盤の名シーンに「ヤシマ作戦」という作戦も登場するはずだな。
たしか、日本中の電力を一箇所に集めて、敵である使徒に遠くからレーザー砲でぶち抜く作戦。
それがヤシマ作戦。
ヤシマ作戦……。
日本中の電力を1箇所に。
日本中……。
これって、古代日本という国の全体を総称して大八洲と呼んでいたことに由来するんじゃ……。
待って、待って。しかも。
ヤシマ……。
レーザー砲でぶち抜く。
遠くから。
ちょ……。
屋島の戦いじゃん!
「屋島の戦い」つったら、源平合戦の名場面、扇の的を那須与一が弓でぶち抜くシーンがあるじゃん!
エヴァンゲリオンはレーザー砲で使徒をぶち抜いたけど、これはもしかして「ヤシマ作戦」って大八洲と屋島の戦いをかけた作戦名なんじゃないの!?
庵野秀明は、日本史にめちゃくちゃ造詣が深いんじゃないの!?
ふぅ。
と、気づいた。
これが正解かどうかなんてのはこの際どうでもいいんだけど、機内の雑誌を読んでそう思った。
で、これを書いていて、ふと気づくことがある。
この記事における八塩折之酒についての解説と、エヴァンゲリオンのヤシマ作戦についての解説って、単なる情報の羅列だな。
これじゃあ、つまんないなぁ。
なんか「そこに私は気づいたんですよ!」っていう自慢げな内容になってるし。
ここまで書いておいてなんだが、
これじゃあまだまだだなぁ。
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