蜂須賀 喜八郎

2019年に50歳でこの世を去った料理人、蜂須賀喜八郎が遺したたくさんのレシピや、料理…

蜂須賀 喜八郎

2019年に50歳でこの世を去った料理人、蜂須賀喜八郎が遺したたくさんのレシピや、料理哲学を書き留めていきます。 フランス料理の未来を担う料理人の方々のお役に立てれば嬉しいです

最近の記事

レシピコラム 〜桜ますのミ・キュイ

桜ますのミ・キュイ かき菜とそのピューレ 天然生ひじきとおかひじきのかき揚げ 生湯葉のクリーム 春 六節気 穀雨(こくう)の献立 より。 桜ますって、桜の時期にみんな使ってます。 やはり語呂がいいからですかね。 でも桜ますって、脂が乗って美味しくなってしかも安くなるのは桜のシーズンが終わってからなんです。 サーモンと違って若干パサつきがちなマスは、サーモンと同じ様に塩と砂糖でマリネした後、真空状態にして、すごく低温のスチームで指でつまんでほろっと崩れるくらいまで加熱しま

    • レシピコラム〜トマトの冷製カッペリーニ

      フルーツトマトの冷製カッペリーニ バジル風味 そうめん仕立て 春 四節気 春分(しゅんぶん)の献立より ボウ・デパールでは、コースの後半に締めのお食事として米料理をお出ししています。 ですが、今回はちょっと趣向を変えて麺で締めます。 トマトがとても美味しい時期です。 トマトは青いヘタの部分を取り、残りを大きくザク切りにします。 皮も種も全てミキサーにかけて、なめらかなピューレにします。 ザルにリードペーパーを敷きトマトのピューレを流し一晩おきます。 翌朝、透明で綺麗なジ

      • レシピコラム 〜さやあかねポテトのパピヨット

        北海道産自然栽培ジャガイモ”さやあかね”の紙包み焼き ”パピヨット” 春 二節気 雨水(うすい)の献立より 紙包み焼き、大好きです。 料理が目の前に運ばれて来てから食べるまでに、中は何が入ってるのかな?とか、どんな香りがするのかな? 自分で包みを開けるならなおさらです。 紙包み焼きって、封を開ける瞬間が一番大事です。中に詰まってる食材の香りが一気に立ち昇ります。 自然栽培、つまり完全無肥料無農薬で一滴の水さえ与えずに土の力だけで育てたジャガイモ”さやあかね”を使います。

        • レシピコラム 〜イベリコ・プレッサのロティ

          スペイン産イベリコ・プレッサのロティ、アルガンの香り、生ハム風味のジュ、デーツフォンデュ添え 春 一節気 立春(りっしゅん)の献立より えっ?この写真って? と、僕たちも作ってて思うほど豚肉にしては身質が赤くよっぽど火を入れ過ぎないと白っぽくはなりません。 プレッサはイベリコ豚の肩ロースの部分で、真っ赤な肉の間に和牛肉のごとく”サシ”が入っています。 なので、噛むと焼肉のトントロの様ですがスッと噛み切れるという肉質です。 ドングリを食べて育っているので噛むとナッティーな

        レシピコラム 〜桜ますのミ・キュイ

          レシピコラム 〜アスパラガスのエチュヴェ

          フランス ロワール産ホワイトアスパラガスのエチュヴェ クルスティアン仕立て ソースオランデーズ 金柑風味 春 一節気 立春(りっしゅん)の献立から *注:ものすんごいこだわりの詰まったアスパラの火入れですので、料理人のみなさん、ぜひご一読を!笑(なかのひと) もうアスパラガスですか?って声が聞こえてきそうですが、フランスよりこの時期になると始まるんです。ちゃんと苦味ものってますよ。 これをエチュヴェにしてお出しします。 一般的にホワイトアスパラガスの火入れと言えば、結

          レシピコラム 〜アスパラガスのエチュヴェ

          レシピコラム 〜ヴォル・オー・ヴァン

          ”ヴォル・オー・ヴァン” 岡山産エクルヴィス、フランスブルターニュ産 リ・ド・ヴォー、シャンピニオン・ド・パリのクレーム・デクルヴィス和え、フィユテ仕立て 冬 二十四節気 大寒(だいかん)の献立から 料理名が長い割にぱっと見は、パイシチューみたいです。 こちら、料理人の料理人による料理人のための料理とでも言ってもイイ程、僕たちにとってはスキルアッププレートとなっております。 まず、ベースとなる折り込みパイ生地です。当然手折りです。モチロンキッチンには大理石もあります。

          レシピコラム 〜ヴォル・オー・ヴァン

          レシピコラム〜金目鯛のスナッケ

          皆様、明けましておめでとうございます。 今年も少しずつではありますが、喜八郎のレシピをご紹介していきますので、よろしくお願いいたします! 第一弾は、彼が残したレシピコラムです。 高知産釣りの金目鯛のスナッケ 茨城産自然栽培紅しぐれ大根風味 紅しぐれというより紫しぐれと言った方が良いのでは?と思う感じで、外皮は首辺りが濃い紫色で胴から先までは少し薄い紫色をしています。 断面は外皮の部分が紫色で、中心部分にもうっすらと紫色が入っています。 この紫色の色素はアントシアニンで

          レシピコラム〜金目鯛のスナッケ

          年齢という数字

          明日は冬至ですね。 今日は中の人(喜八郎妻)の誕生日なので、少し書かせてください。 喜八郎がいなくなって、3回目の誕生日。 今年はついに、喜八郎の年齢を上回ってしまいました。 一人だけいつまでも若いままというのも、なんとなくずるいよなあ。 「年齢なんてただの数字」 確かにそうだけど、それは一生に一度しか背負うことのできない大切な数字。 生きているからこそ更新することのできる、貴重な数字です。 私は今日からずっと、あの人が背負うことのできなかった数字を背負って生き

          年齢という数字

          レシピ編 〜Riso 大雪

          大雪の献立より。 12月も半ばにさしかかり、次第に寒さも本格化してきましたね。 冬らしい食材のユリ根を使ったリーゾ。 ベニエだけでもパクパクいけてしまいそうです!

          レシピ編 〜Riso 大雪

          レシピ編 Riso〜立冬

          大根のリーゾ 立冬の献立より 季節のリーゾですが、こちらはベースを作っておいて具材を混ぜるだけなので、比較的簡単なレシピですね。 家庭なら、ひとつひとつ別々に火入れをしなくても、一緒にレンジにかけても良さそう。 寒さが増してくる季節、優しい大根の旨味が生きる一皿です。

          レシピ編 Riso〜立冬

          レシピ編 Soupe 〜霜降

          牛蒡のヴルーテ 霜降の献立より。 牛蒡のピュレを作っておいて、提供する直前に生クリームで伸ばすだけのシンプルなレシピですが、牛蒡の旨味が凝縮されて、圧倒されるほど香り高いスープです。 牛蒡の火入れの仕方に、喜八郎の野菜へのこだわりが感じられます。

          レシピ編 Soupe 〜霜降

          11月のレシピ本応援のお願い

          喜八郎の料理本実現に向けて、月に一度だけ投げ銭のお願いをしています。 いま、「料理本」という形式にとどまらず、喜八郎の遺したものをふたたび形にしていこうという企画が進んでいます。 こんな私の勝手な願いを応援してくださって、このnoteを読んでくださっている皆様には、本当に感謝しかありません。 そこで、今日はちょっとだけ私の話をさせてください。 私がフランス料理の世界に入ったのは、単純に「料理が好きだったから」です。和食でも中華でも家庭料理でも、単純にもっと上手に料理が作

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          食材コラム 〜10月のイチジク

          こんにちは。シェフの喜八郎です。 今月はイチジクのお話です。 10月のデザートは黒イチジクの温製タルトです。 このイチジクという果物は僕の大好物の果物の一つです。 広島の実家に昔イチジクの木があったので、冬は木登りをして(イチジクの木は低く横に広がります)、夏はカミキリムシを捕まえて、秋は果肉を食べて、食べきれない分は、おばあちゃんがジャムにしてくれていました。 ところが大人になり、フランスで食べたイチジクに衝撃を受けました。 ヴィオレソリエスという黒イチジクで、皮が薄

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          レシピ編 Soupe 〜寒露

          寒露の献立より。 この季節だけの、クリーミーで風味豊かな和栗のスープ。 素材の味わいを生かした、喜八郎らしいスープでした。

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          レシピ編 Amuse-Bouche 〜寒露

          寒露の献立より。 シンプルすぎるぐらいのレシピですが、 少しずつ気温の下がるこの季節、食事の始めにじんわりと体に染み渡る一皿です。

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          10月のレシピ本応援のお願い

          喜八郎の料理本実現に向けて、月に一度だけ投げ銭のお願いをしています。 引き続き、「先月の記事おもしろかったな。また今月も楽しみにしてるよ!」という方は、そのお気持ちをほんの少し、投げ銭にしてお伝え頂けたらとても嬉しいです。 今月の写真は、喜八郎の代名詞ともなっていたカヌレ。 最近はカヌレブームで、コンビニでも帰るようにはなりましたが、いまだ喜八郎カヌレを超えるものを食べたことはありません。 喜八郎カヌレも必ず復活させますので、レシピ本と併せて楽しみにお待ちくださいね!!

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