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レシピコラム 〜ヴォル・オー・ヴァン

”ヴォル・オー・ヴァン”
岡山産エクルヴィス、フランスブルターニュ産 リ・ド・ヴォー、シャンピニオン・ド・パリのクレーム・デクルヴィス和え、フィユテ仕立て


冬 二十四節気 大寒(だいかん)の献立から

料理名が長い割にぱっと見は、パイシチューみたいです。

こちら、料理人の料理人による料理人のための料理とでも言ってもイイ程、僕たちにとってはスキルアッププレートとなっております。

まず、ベースとなる折り込みパイ生地です。当然手折りです。モチロンキッチンには大理石もあります。ラミノワ(パイシーター)もあります。

が、しかし。

一般的な街場のレストランでは表面が平らでない、コールドテーブルの上でデトランプを伸ばしていき、温度もすぐ上がるから一回折りたたんでは冷蔵庫に入れ、ランチ営業が終わってまた2回目折り込んで…と、努力に努力を重ねてフィユタージュは仕上がっています。
その技術を身につけるためこのメニューでは、ラミノワと大理石の使用を禁止して、原始的な折り方でキチンと手で綺麗な長方形に生地を伸ばして折り込みパイ生地を作っています。

エクルヴィスです。岡山県より元気一杯のザリガニ達がやって来ます。
毎回すごくテンション上がります。つい戦わせます…。
えー、その元気なザリガニ生きたまま上から押さえつけ尾っぽの部分、海老類は全て5本に分かれていますが、真ん中の部分をねじって引っ張ると背わたが綺麗に抜けます。
間髪入れずに準備しておいたクールブイヨンで、本当に少量づつ茹でます。沢山いっぺんに茹でると身がペースト状になるので高温で一気にいきます。

頭をどんどん外して身を殻から外していきます。
頭の部分は飾り分だけハサミで切り調えて、煮沸しておきます。それ以外の殻を全て集めてフォン・デクルヴィスを取ります。
それとフォン・ド・オマールを合わせて煮詰めクリームを入れて煮詰めてソースとします。

リ・ド・ヴォーです。ノワの部分を使っています。
小さく切るからゴルジュでも良さそうなもんですが、やはり噛んだ時の食感が違います。ただ、中心の大きな部分ではなくノワの周囲についている部分を使います。
氷水に漬けてデゴルジェし、ブイヨンに小麦粉を溶いたキュイソンブランを作りゆっくりとブランシールしていきます。
取り出して大まかにデネルヴエを済まし、一口大にカットしブールノワゼットで香ばしく焼きますソースの中に入れます。

シャンピニオン・ド・パリです。
はい。俗に言うシャンピトゥルネです。
今の時代見ることが極端に減りました。キノコに筋を付けようがつけまいが味は変わらないだったら無駄な努力はしない方がいい。というのも合理的で一理あります。
ですが、僕が昔調理師学校に入って一学期の授業で真剣に覚えた作業の一つであり、出来て無駄になるものでもないので、僕はことあるごとにシャンピトゥルネ使います。

これらを全て使った一皿”ヴォル・オー・ヴァン”。
とてもクラシックな料理ですが、食べて普通に美味しいのはモチロン、僕たち料理人に多くの物を与えてくれる一皿でもあります。

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