#片思いのラブレター
やあ、久し振り。
元気にしているかい。
急に手紙なんか寄越して、何かあったのかと、君は不思議に思っているだろうね。
実は、結婚が決まってさ、ついでに転職することにもなって。
ちょっと遠いんだけど、南米なんだよ。
彼女の故郷がそこなんだ。
彼女は、留学生として、日本に来ていて、
こっちの大学を卒業したら、故郷に帰って、日本で学んだことをもとに、事業をしたい、と言っていてね。
国費留学生として、来ているから、真面目だし、
国を背負っているという意識からか、勉強熱心だ。
パワフルだし、しっかりしているし、頭も切れる。
僕は、君も知っているとおり、平凡な人間だ。
そんな彼女に惹かれてね、
彼女も僕の気持ちに応えてくれた。
自分と一緒に故郷に来てくれないかと誘われたんだ。
最初はさすがに迷ったんだが、結婚するんだったら、どちらか一方は、生まれ育った国ではなく、相手側の国に住むことになる。
僕が彼女の国に行くのも悪くはないかな、と思うようになってね。
母があっさりした性格だったのも幸いだった。
彼女のことを気に入ってね。
自分たちのことは心配するな、と言ってくれた。
僕には兄もいるしね、父も、彼女の人柄には好感を持ったようだ。
まず、彼女の国へ行ったら、彼女の両親が経営している企業に入って仕事を覚え、
いずれは、彼女と二人で、僕たちの会社を作り、経営しよう、という話になっている。
オンライン越しだけど、両家の顔合わせもしたよ。
緊張するものだね、あれは。
こんなに長々と書いてきて、悪かったね。
僕たちは、中学・高校・大学と、ずっと一緒で、
随分長い間の付き合いだったよね。
だけど、君は、僕の気持ちには、まったく気付いていなかった。
今後は、いつ日本に帰って来られるか、わからないし、結婚式も内輪でやるから、君を招待することもできない。
だから、最後に、君に言っておきたかったんだ。
君のこと、好きでした。
ありがとう。
おひたちさんの企画に参加しました。
本当は、大好きなおひたちさんにラブレターを書こうと思ったのですが、
私たち、片思いじゃないし。
あ、もし、おひたちさんが、「わしは、ぱんだなんか好きじゃないんじゃ」とおっしゃるようでしたら、
晴れて、片思い、ということになりますから、
もう一通書いて、提出いたします。
3児のパパさんのことも好きなんですけれど、あの人には、れおさんという彼氏がいますのでね。
人の恋路の邪魔はいたしませんわ、ほほほ。
タイトル画像は、かくたすずさんのイラストをお借りしました。
ありがとうございます。
今日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。
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