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落椿

椿はいいよねえ、紅く綺麗で、芯があって
まるで燃えているみたいじゃないかェ?
お侍さんが首が落ちるようだと避けたのは迷信で
よっぽど今の人の方がお見舞いやらに気にするんだとか。
まあ、そんなのは関係ないってのにねえ。
だって寿命ってのは生まれ持った蝋燭で決まっちまってるんだから。


ふふ、なんで知ってる風かって?




実はァ、あたしは死神なんですよ、



まあ、ご心配為さらずに。
今日は椿を見に来ただけなんで、
あれが落ちたらすぐ居なくなりますよ。


ほら、
もう消える、消えるよ。





とさり。

僕はラジカセの停止ボタンを押した。
本日の御演目は、死神。

落椿(おちつばき)


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今回、落語の「死神」をモチーフにしています。
ちょうどnoteに文字おこしがあったので貼ってみる。


NHKで実写化もされた「昭和元禄落語心中」、昨年この漫画を読んでこの話も知ったのですが、これが落語を知らない私でもすごく面白くて。
実は先日、海老蔵さん方々が、地方に来て頂いたおかげで初めて歌舞伎を見る機会がありました。しかも有名な弁天小僧!(この漫画にも出てきます)いやあ、古典は面白いです。そして奥深い。
いつか寄席にも行ってみたいなあと思っております。



以前の「寒椿」で書いたSSで落椿については言及していたので、今回は少し雰囲気を変えて。寒椿は冬の季語だけど、椿、落椿は春の季語なのですね。なるほど。

個人的に、ここ最近の投稿は、私の日々の日記や、過去の記憶を上手く織り込んだお話が書けていて、自分の忘備録としてかなり気に入っています。
また皆さんにもなにか刺さっていると嬉しいです。

では、また。

KIGO

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