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いま、子どもや子育て世代にデザインができること~新型コロナウイルス感染症と子どもたち

「学校のコロナ対策に参加したい、決められたことしかしないのはおかしい」「大人は夜、友達とご飯食べに行ったりしてるみたいなのに、どうしてこどもだけダメダメと中止ばかりになるんだろう?」「大人だけで色々議論しないでこどもの気持ちも聞いてください」……。

これらの言葉は、コロナ×こどもアンケート「おとなたちに伝えたいこと」の第2回中間報告からの抜粋です。この調査は、国立成育医療研究センターの研究班が子どもや保護者を対象に第1回を緊急事態宣言中の2020年4~5月、第2回を学校再開後の6~7月に実施したもので、現在も継続実施中です。
https://www.ncchd.go.jp/center/activity/covid19_kodomo/report/index.html#3tab

アンケートを実施した、国立成育医療研究センターの社会医学研究部研究員、半谷まゆみさんはこう話しています。

「小さい子どもは家庭の影響が大きく、親のストレス症状が影響しています。子どもはその変化を敏感に感じ取っているでしょう。特徴的なのが、こうしなさい、と大人に押し付けられている、という感覚を持っていること。そこに不満を持っている子どもが多いことがわかります」。

経験したことのない世界のなかで、子どもが何を感じているか、どうしたいと思っているのでしょうか。半谷さんは、こう語ります。

「一番近くで見ている親が、子どものストレスにしっかり気づけていない感じがします。子どもたちは親にゆっくり話を聞いて欲しいと思っていても、親も今の状況に対応するだけで精一杯で、子どもから見ると隙がないように感じてしまう。難しいことだとは思いますが、もっと心にゆとりをもって、子どもの思いや不安を受け止めてあげることです」。

日常の中で子どもが話しかけられるきっかけをつくったり、特別な状況だからこそ、子どもにも特別な体験をさせてあげたり、できたら素晴らしいことです。キッズデザイン賞には、そんな工夫を随所に凝らしたアイデア溢れる作品がたくさんあります。これが、「デザインのチカラ」。そのいくつかを紹介していきたいと思います。


自宅で転がったままでハードな運動ができる 
「新型コロナウイルスにコロッと負けないM-kid’sエクササイズ」    

NPO法人MIYAZAKI C-DANCE CENTER

1_子ども(ポストコロナ

https://www.youtube.com/watch?v=g_8AdW94k70&feature=youtu.be
「寝たままM-kid's エクササイズ」は マンションでも安心して、寝ながらできるエクササイズ・プログラム。「目指せ心拍数160!」という目標を掲げています。運動不足になりがちな昨今、子どもたちも飛びついてくれるようなプログラムを目指して開発されました。マンションでも階下への騒音を気にすることなく汗をかくことができます。

手作り・懐かし遊びで親子で過ごす時間をつくる 
ASOPPA!                                 

株式会社 フレーベル館

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https://asoppa.com/
『ASOPPA! 』は「子どものあそびがパッと見つかる」をテーマにしたウェブサイトで、折り紙や工作、手遊び、室内外あそび、なぞなぞや間違い探しなどが人気のサイトです。コロナ対応で組んだ特集は、「家であそべる手作り工作アイデア10選!(https://asoppa.com/asopparecipe/makes/0667755/) 」。紙コップと風船を使って簡単に作れるクラッカーや不要なタオルを使ってつくるカラフルなスタンプ台など身近なもので楽しむ遊びは親子で協働してつくるにはうってつけです。

家の中の空気をきれいに、かつ子どもの安全に配慮 
BALMUDA The Pure

バルミューダ株式会社

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https://www.balmuda.com/jp/pure/shops
「BALMUDA The Pure」は、最新のテクノロジーにより、室内で大容量の空気を循環させて、高性能フィルターで花粉やウィルス、様々な臭いなどを強力吸引する空気清浄機です。リビングにいる子どもたちが上部にあるファンに巻き込まれてケガをしないように安全確保機能が付いており、ロックされていないとファンが回らない構造になっている点も特徴です。回っている最中に外蓋を取り外そうとするとファンが止まる機能もあり、子どもと家庭で過ごす時間が多い期間も安全です。

手のひらにお医者さんを、の思いから生まれた
サービス 
小児科オンライン・産婦人科オンライン

170957_2 小児科オンライン

小児科オンライン https://syounika.jp/
産婦人科オンライン https://obstetrics.jp/
「小児科オンライン」「産婦人科オンライン」は、子育て層のユーザーがスマートフォンで直接、現役の産婦人科医、小児科医、または助産師に相談ができるサービスです。感染症拡大の状況下、病院に行きづらかったり、乳幼児健診の延期や対面サポートの減少といった環境の中で、日々生まれる妊娠や子育てに関する不安、疑問が多く寄せられるといいます。オンライン相談のため、時間や距離に縛られることなく相談できる、社会性の高いサービスと言えるでしょう。

子どもの留守番デビューの安全ポイントがわかる 
安心子育て応援サイト 子どもの安全ブログ

セコム株式会社

セコム様_子ども安全ブログ

https://www.secom.co.jp/kodomo/a/20200206
外出もままならない現在、お父さんお母さんは仕事へ出かけて、子どもだけで留守番することも増えそうです。「子どもの安全ブログ」は、子どもの安全・安心を願う保護者に向け、信頼できる情報を届けるよう2006年2月に開設されました。一人や兄弟姉妹と留守番をするケースが増えることも想定して、そのアドバイスを記事として展開しています。
https://www.secom.co.jp/kodomo/o/20200507/)

大人は子ども目線に戻って考えよう 
プレイフル・デザイン・スタジオ/こどもOS

キッズデザイン協議会こどもOS研究会

こどもOS

https://pds.oidc.jp/
こどもOS研究会は、キッズデザイン協議会の調査研究部会として2008年に発足しました。様々な環境に対する子どもの行為の可能性について、「プレイフル(遊びゴコロ)」と「ハザード」の両面から考えています。これまでに、子どもたちに特有の行為を代表的な22のデザイン共通言語『こどもOSランゲージ』として抽出し、「プレイフル・デザイン・カード」としてまとめました。さらに性別・年代別の出現傾向を調査し、冊子『それ、こどもOSです』も発行しました。コロナ禍であっても子どもは遊びたい。遊ばせないほうが心理的・身体的な悪影響が大きくなるかもしれません。積極的にコロナ禍でも遊べる遊びを創作する方がよりプレイフルだと考えています。大人自らが子ども目線に立ち返って、子どもをもっと理解しましょう。そうすることで、コロナ禍でもたくましく、生き生きと育つためのデザインが生まれてくるでしょう。

「コロナに負けない」から「コロナを超えて」のデザインを募集

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響によって、子どもや子育て層にも大きな変化が起こりました。子どもたちは大人以上に、目に見えないウィルスの存在を察知していることでしょう。それは世界中の子どもに同時体験され、そのことによって未来のイメージが形成されていきます。
この状況に対し、第15回キッズデザイン賞では、最優秀賞(内閣総理大臣賞)・優秀賞・奨励賞・審査委員長特別賞などに加え、いまの状況下における子どもや子育て層の安全や衛生への対策と、子どもが自ら危険を回避して生き抜いていく、子どもが備えている感受性、想像力、対応力が生み出す「生き抜く力」に焦点を当て、それをサポートし、強化するデザインを顕彰するための特別賞を設置します。

名前は、「BEYOND COVID-19特別賞」。ソーシャル・ディスタンスや3密の回避への配慮など、健康や衛生を維持するための配慮や工夫があるデザインはもちろん、リモート、オンラインなどの環境を活用し、子どもたちの意欲や興味・関心を喚起し、孤立感や疎外感等を癒していくためのデザイン、運動や身体性を伴う活動を補完・伸長させるための配慮や工夫があるデザイン、子どもの意見や考えを聞き、ともに考え、取り入れていくシナリオがあるデザインなどを広く募集し、素晴らしいアイデアを持つデザインを広く社会へご紹介したいと思います。

特別賞

キッズデザイン賞ウェブサイト
https://kidsdesignaward.jp/

「1年以上にわたる未曽有の感染症蔓延期間、子どもたちは何を体験してきたのでしょうか。大人には見えない『危ない小さなもの』の存在が見えているのではないでしょうか。その新しい時と空間のなかを元気に楽しく生き抜いてゆく子どもたちを支えるデザインを求めます。」
(益田文和審査委員長)


デザインが社会を変える。未来を担う子どもたち、いまを大切にする子育て世代。子どもが前向きに生きていくための環境や仕組み、製品やサービスの登場に期待しています。