見出し画像

日本人の死生観➑ーシンプルすぎる!生と死ー

こんにちは。橘吉次たちばなきちじです。
日本人の死生観➏➐と、古事記の伊弉諾命いざなぎのみこと伊邪那美命いざなみのみことの物語から死生観を考察してきました。
今回は、この物語の最終話。
黄泉の国よみのくにから生還した、伊弉諾命いざなぎのみことが最も輝かしい「生」を産んだ物語について語ります。


わざわいとは、曲がったこと


さて、愛する妻と壮絶な別れを果たして生者の世界に帰還した伊弉諾命いざなぎのみことは、
筑紫の日向の橘の小門の阿波岐原つくしのひむかのたちばなのおどのあはぎはらで、みそぎはらひをなさる。

この長い地名はどこ?

疑問を持たれる方もいらっしゃるだろう。
これ諸説あって、
「ここだ!」と特定なさる方もいらっしゃるし、
「イヤイヤ、これは具体的な地名ではないよ。象徴的な意味しかないよ」という方もいらっしゃる。

でも、現代日本のここだよ!という方が興味をそそられるのではないかな?と思いましたもので、
ここかもよ?という場所をご紹介しちゃいましょー!

筑紫つくし→九州のこと
日向ひゅうが→いまもあります!宮崎県あたり
たちばな→いまもあります!橘の名前がついた地名が!
小門おど→狭いところという意味です!
阿波岐原あはぎはら→阿波岐原森林公園というものがある

当然、地形は変わっているし、ここだと特定する学術的裏付けは何もない。
でも、ロマンはある。

伊弉諾命いざなぎのみことは、
「とーっても穢い国に行ってきちゃった…。身体をきれいにしようー」
と思って、まず服を脱ぎ捨てる。
すると、
脱ぎ捨てられたものから、なんと12柱の神が生まれるのだ!

次に川に入られて身をすすがれた。
すると、落ちた穢れが2柱の神となった。
これが、

八十禍津日神やそまがつひのかみ大禍津日神おおまがつひのかみである。

本居宣長先生は、
この2柱の神を「この世の災いの大元」だとおっしゃった。

世間にあるゆる凶悪事邪曲事わざわいごとじゃまごとなどは、みな元は此の禍津日神まがつかみより起こるなり。

古事記伝

ところが、この禍の根源神が生まれた直後に、このわざわいを直す神が生まれるのである。
これが、神直日神かむなおびのかみ大直日神おおなおびのかみ

この見事なカウンターバランスに、日本人の精神性をみることができる。
素晴らしい精神性だ!

禍《わざわい》=禍事まがごととは、曲がったことなのだ
曲がったものを、もとに直す
これが、直日なおひ

神道において、直きなおきことは非常に大切な価値観
曲がらず、真っ直ぐであること

つまり…
汚い=ケガレ=曲がったこと
直き=清浄=真っ直ぐなこと

いのちが真っ直ぐにスクスクと生きていることが、清浄なことなのだ。

一神教的善悪二元論とはかけ離れた、価値観だ。


神道に善悪という基準はない


大地からあしが芽吹き、真っ直ぐに成長していく。
日本は葦原の中つ国あしはらのなかつくにと言われる生者の世界だ。
そこで生きる人間を古事記では、「青人草あおひとくさ」と呼ぶ。

黄泉の国よみのくにという地中の死者の国から、青々とした新芽の生命が真っ直ぐに生まれてくる。
この「命の真っ直ぐさが清浄である」という価値観が、日本人のベースの生命観なのだ。

現世での行いによって、地獄に落ちたり天国に呼ばれたりするものではないし、畜生ちくしょう餓鬼がきに生まれ変わって六道りくどう輪廻りんねするものでもない。

時が来れば(冬になれば)
死んで黄泉の国に行き
時が来れば(春になれば)
葦原の中つ国に生まれる
時が来れば(夏になれば)
成長して性交し
時が来れば(秋になれば)
実を成し子孫を残す

ただ、それだけだ。

神道に善悪という基準はない。
人間社会の倫理的価値観など何も入らない、自然に循環するだけのシンプルな死生観。
これが、古層に眠る日本人の死生観だ。


三貴子さんきし誕生


さて、伊弉諾命いざなぎのみことは身をすすがれた後に、顔を洗う。

その時、
左目からお生まれになったのが、天照大御神あまてらすおおみかみ
右目からお生まれになったのが、月読命つくよみのみこと
鼻からお生まれになったのが、須佐之男命すさのおのみこと

伊弉諾命いざなぎのみことは大喜び!
「やったー!最後に最も尊い三つの子を得たぞー‼」

この三柱の神を三貴子さんきしとお呼びします。

そして、
天照大御神あまてらすおおみかみには高天原たかまがはら
月読命つくよみのみことには、夜の食国よのおすくに
須佐之男命すさのおのみことには、海原を
統治せよとお命じになった。

そこで、
「嫌だ―!お母さんのいる黄泉の国に行きたいよー」と須佐之男命がダダをこねた話は、前回のとおり。

このあと、古事記は天照大御神あまてらすおおみかみ須佐之男命すさのおのみことの、姉と弟の物語につながっていくんだけど、
ここで、命が生きるために欠くことができない最も輝かしい「生」である太陽が生まれ、太陽が休む夜が生まれたということになる。

さて、
超特急で伊弉諾命いざなぎのみこと伊邪那美命いざなみのみことの物語を追って、死生観を考えてみたけど、
主旨はご理解いただけたであろうか?

神話には、ストーリーの奥に眠る古層の思想がまだまだたっぷり隠れているんだけど、ひとまずはここまで。

次回からは、趣向を変えて日本語から死生観を考えてみようと思います。

では、また。


お友達募集中!

「魂に従って生きる・新しい生き方」発信中!


2021年11月1日より
「生まれ直し開雲塾」始めました!

日本古来の神道的生き方をもっと多くの人におススメしたい!
だって、圧倒的に豊かで伸びやかで生命力に溢れているから。
そんな思いから「生まれ直し開雲塾」を始めました。
メールマガジンと無料講座などのお知らせが届きます!

登録ありがとう!無料メール講座プレゼント中!

定年退職したら…
子供が独立したら、その後何しよう…?と悩んでいませんか?
本物のライフシフトとは何か?
人生後半に向けた心構えをお伝えするメール講座!
「これから何しよう?」と悩むあなた、必読の有益講座をお届けします!


Twitterフォローしてくれると、とっても嬉しい!



kindle出版




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?