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夏、野外劇がアツい!

突然だが、野外劇をご覧になったことはあるだろうか。
先日、新宿区にある都立戸山公園 野外演奏場跡では、注目を集める若手カンパニー・ルサンチカが太田省吾の戯曲『更地』を上演した。同園では「戸山公園演劇祭」を今年の1月から開催しており、『更地』もその一つだ。
新型コロナウイルスの流行期を過ぎ、人々の気持ちは外に向いている。
もしかしたら今、野外劇がアツいのかもしれない。

私は野外劇が好きだ。自分の日常に俳優が「侵入」し、風景がぐにゃりと歪んで世界の境界が曖昧になる。誤解を恐れずに言うと、劇場より“安全性が保障されていない感じ”がよいのだ(舞台と客席との境界が曖昧で自我に侵入されているような感じ、他人事ではいられない感じがする……と言えばなんとなく伝わりますか……?)。

野外劇と言えば何を思い浮かべるだろうか。私は何と言っても寺山修司だ。寺山氏は『ノック』や『人力飛行機ソロモン』など多くの市街劇を上演した(私の生まれる前に氏は亡くなっていたため、切れ切れとなった情報から断片的にしか知り得ないのが無念だ)。中でも私が惹かれてやまない市街劇『ノック』は1975年に阿佐ヶ谷付近で上演された作品で、観客は受け取った地図を手に街を歩きながら上演を“体験”する。民家の玄関の扉を突然ノックするという演出もあり、いまの時代ではとても上演できないセンセーショナルな作品だ。

2018年、下北沢では路上演劇祭を開催していた。当時の私は地方に住んでおり、演劇を見る機会なんてほとんどなかった。そんな中、演劇祭で初めて柿喰う客を目にして度肝を抜かれた。東京にはこんなに面白いものがあるのかと(路上演劇祭、もうやらないのかな……また見たいな……)。

劇団どくんごの作品も記憶に残っている。日本各地を転々としながら、公園や水辺でテントを建てて上演する劇団だ。(同劇団では2022年に演出家が亡くなり、現在(2024年6月)公演中の『夏型天使を信じるな』を以て解散する。テント芝居を上演する貴重な劇団がまたひとつ、終わりを迎えてしまうのだ。)
私が観劇したのは『誓いはスカーレットθ』。鮮烈なラストシーンが、数年を経た今でも脳裏に焼き付いている。熱気に満ちたテントの中で繰り広げられる芝居から、突如、後ろの壁が開け放たれる。そこにはいつの間にか夜になった公園があった。そのくらっとするほどの、あっけないような現実感。野外劇ならではの演出だ。この感覚は一度味わえばどんな人でも虜になってしまうのではないか。

そしてなんと、吉祥寺シアターでも野外劇を上演する!
あたらしい劇場プロジェクト 野外劇『パレード』【広場×不条理演劇】がテーマの作品だ。本プロジェクトは吉祥寺シアターが劇場としての新たな価値を創出する演劇企画で、劇場職員が自ら創作を行い作品を発信することで、公共劇場のあたらしい在り方を提示する。

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舞台は武蔵境駅より徒歩1分の境南ふれあい広場公園。公園の外周には白いお豆のような椅子がぐるっと配置されていてキュートなのだ。普段は親子連れで賑わうこの公園。7月の夕暮れを背に、どんな世界が現れるのか。

この夏、いまを生きる私たちにしか体験できない野外劇というものを、もっと面白がっていけたらよいと思う。

【公演詳細】
https://www.musashino.or.jp/k_theatre/1002068/1002069/1006406.html

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