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書き言葉としての日本語 (水村美苗『日本語が亡びるとき』を読む)

書き言葉としての日本語 (水村美苗『日本語が亡びるとき』を読む)

 水村美苗という作家がいる。
 私は『日本語が亡びるとき』で彼女を知った。
 これは全体としては日本語論になると思う。だが、書き出しは小説のように始まる。アメリカのアイオワ大学が主催した、世界各国の作家や詩人を招いたプログラムに彼女が参加した体験談を皮切りに。ユーモアを交えて次々と読ませる。全くの他人である読み手を自分の世界にいざなう作家らしい腕の冴えを感じる。そこに彼女の言葉への考察が少しずつ加

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ドゥルーズ『差異と反復』を読む

ドゥルーズ『差異と反復』を読む

ドゥルーズ『差異と反復』(河出書房新社)を読了。

ドゥルーズはフランス現代思想の代表的な人物の一人。他にその主な哲学者にはデリダ、フーコーがいる。本書はドゥルーズの代表作であり、現代思想には外せない一冊。

本書は難解で知られている。一読しただけでは、私も理解できなかった。哲学者の千葉雅也は一読しただけでは理解できず、分かるまでに5年かかったと言う。玄人の哲学者でもそうなのだから、まして、素人の

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