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外国人留学生と日本人学生どちらが企業で使えるか?

前回の投稿後、外資系企業で本部長だった筆者は複数の企業で役員を経験しさらには自身の法人を経営するようになりました。いつもNoteでシェアしたい!と思う出来事に遭遇していたのですが、多忙を理由にNoteから遠ざかってしまっていました。ビジネスにおいて今まで以上に活動の幅が広がったことで、今まで考えなかった、気づかなかったことがたくさんあるので、再びシェアしていきたいとおもっています。

さて、4月になり企業では新卒新入社員を迎え職場もフレッシュな気分で新年度をスタートしたのではないでしょうか?早速、その新入社員について外国人留学生と日本人学生どちらが企業で使えるか?という観点でお話ししたいと思います。

というのも、私の所属企業では新入社員採用は基本的に部門役員の判断が最も重視され、採用・不採用を左右するのですが、私の部門(過去の所属企業含む)では、2014年ごろからずっと日本人学生の新卒を採用していません。ずっと留学生だけを採用しています。その出身国は米国、カナダ、英国、ヨーロッパ、ロシア、中国、台湾、韓国、東南アジア、インド、スリランカ、パキスタンなど多岐にわたります。

彼らは驚くほど優秀で、入社後数週間程度は企業の内側からみたビジネスの基本理解のために時間を割くものの、ゴールデンウィーク明けには、中途採用かよ!と言いたくなるくらいの即戦力として大活躍してくれます。他社の日本人新卒学生が、おそらく、3カ月~半年、長い企業だと1年程度の間、教育係の先輩の見習いとして仕事をするのとは次元が違う活躍ぶりです。私の部門の留学生にも教育係の先輩が一応アサインされますが、まず自分で分析し、仮説を立て、提案を練り、必要な行動をし、経験から得た学びを活かすという一連のサイクルを周囲から言われることなく一人でこなします。

採用した私自身が目を疑うほど、採用した皆が大活躍してくれるので、何がこれほどまでに彼/彼女たちを際立たせるのかずっと考えていたのですが、優秀だと評価される彼/彼女達には以下の点で共通していると思います:

①母国の超一流大学卒である(院卒採用の場合)
②日本の旧帝一工神か早計卒であり、GPAが3.5以上ある(大卒採用の場合)
③母国語、日本語、そして英語のトライリンガルである
④日本のカルチャーを理解しつつも、ビジネスにおいては米国資本主義信奉者
⑤学生時代から企業のビジネスコンテストに挑戦したり、インターンシップを経験している
⑥就職はキャリアのステップに過ぎない(終身雇用など頭にない)

これだけのスペックと思想を持ち合わせたレア人材なのだから、優秀であって当然だと思われるかもしれません。ですが、今や日本において、この優秀すぎる外国人人材は信じられないほどに増加しており、もはやレアではなく普通に大勢いるのです。

ちなみに、私の所属企業では中途採用においても、在日外国人採用の割合は爆増しており、募集をかける際に社内外のリクルーターに要望を伝える際には、外国人優先と条件指定しています。業績好調・拡大の際には、集中的に募集をかけ、期限までに大量に採用しなければならない外資系の宿命があるので、外国人だけではなく日本人も採用することもあり、彼らが同期として入社することもあります。

ここでも印象的なのは、中途採用においても、外国人採用の社員に比べると、日本人社員のスキルや経験が驚くほど低く見えることです。40歳~50歳の場合、外国人採用の社員は知識や経験は年齢に関係なく常に最先端を獲得している(しようとしている)のに対し、日本人社員の場合は。30歳の知識や経験からアップデートされていない方が非常に多いです。

特に、30歳前後の場合には、外国人社員の日本語のコミュニケーション能力のほうが、母国語であるはずの日本人の能力をはるかに上回ているというありえないことが起こっています。

30歳前後の日本人は、物心ついたころには、ネットが当たり前にあり、テキストメッセージでコミュニケーションするのが当たり前、最低限の言葉で、相手の様子をうかがいながらコミュニケーションを進めるためか、マーケティング関連の文章を書かせると何を目的に何を伝えたいのかさっぱりわかりません。

一方で、外国人社員はもともと知的レベルも高いうえに、母国である程度日本語を学んだ、もしくは来日後学校で正しい日本語を学んだ基本をもとにして、本当に素晴らしい文章を書いてきます。

今ビジネスの現場では、AIが活用されるようになってきており、AIに仕事を奪われる人間も出てきています。人間ができる業務はより限られ選別されるようになってきています。そんな中ですでに日本人は外国人人材に大きく後れを取っていると言わざるを得ません。

バブル崩壊後の失われた30年の間に、自分が努力をしなかった結果、現在の自分の姿を招いたにも関わらず、世の中、政治、経済、自分以外の誰かのせいにする日本人が本当に増えました。

同じように、外国人に仕事を奪われることを恐れ自分たちの権利を守るために外国人排斥を訴えるグループがいますが、その矛先をこのような優秀な外国人人材に向けるのはお角が違うとおもいます。なぜなら、そのレベルの外国人人材はすでに彼らと同じクラスではなく、はるかに上のクラスにいるからです。岸田首相が「留学生は国の宝」といったのは正にこのクラスの人材のことをいっていたのでしょう。まさに国の宝、企業の宝だと思います。

社会がどう変化していこうとも、現在の自分を磨こうとせず、常に誰かにせいにするような人間にはなりたくないものですね。



大手企業6社を経て某外資系のマーケティング本部長してます。祥伝社より『もう会社に頼らない。SNSブランディングという生き方』出版。米国MBA取得。年収増、転職、リストラ、外資系の実態などの話をしています