スコットランド、30年排出削減目標を撤回

スコットランド、30年排出削減目標を撤回、新たな政策パッケージを発表(JETRO)

英国・スコットランド自治政府は4月18日、温室効果ガス(GHG)排出量を2030年までに1990年比で75%削減する目標(注)を撤回した。新たな気候変動に関する政策パッケージの発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの中で明らかにした。

この目標の撤回は、政府諮問機関の気候変動委員会(CCC)による目標達成を不可能とする声明(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を受け決定された。なお、2045年までのネットゼロ目標は維持される。

CCCは声明で、気候変動計画の更新や気候変動対策の遅れにより、2030年の目標は達成できないと指摘。

素晴らしい。スコットランド自治政府が勇気を持って真っ当な判断を下しました。
これからも続く国がどんどん出てくるはずです。

ちなみに、2023年12月時点でスイス、スウェーデン、英国も事実上気候変動目標が達成できない状態にあることをアゴラ記事で指摘しました。

そして、国レベルに続いて企業単位でも脱炭素目標を撤回する事例が出てくるはずです。
いち早く撤回することがリスク回避であり、企業価値が向上する時代になります。

なお、脱炭素目標撤回リリースの雛型はこちらです。転載・改変自由。どの企業もご自由にお使いいただいて構いません。


カーボンニュートラル宣言の取り下げに関するお知らせ

当社は202X年XX月に「2050年カーボンニュートラル宣言」ならびに「2030年度に2013年度比47%削減目標」を公表しましたが、これらCO2排出削減にかかわる長期目標を取り下げることについてお知らせいたします。

カーボンニュートラル宣言策定当時は、その根拠として省エネ投資の強化による総エネルギー使用量の削減、第6次エネルギー基本計画で見込まれている2030年46%削減を前提とした購入電力のCO2排出係数低減、PPAを含む自家消費太陽光発電の導入、購入電力の再エネメニューへの切り替えやクレジット購入によるカーボンオフセット等を折り込んでいました。

しかしながら、日本政府のエネルギー基本計画は第5次まで過去に一度も達成したことがなく、第6次についても当初から野心的な目標と言われており、将来の経営計画の根拠とするのは適切でありませんでした。

仮に国全体として2030年にCO2排出量46%削減が達成されたとしても、京都議定書第一約束期間の6%削減達成と同じく森林吸収による相殺分が含まれる場合にはやはり第6次エネルギー基本計画の電源構成は未達となっている可能性が高く、当社の購入電力の排出係数が46%改善されることも期待できません。

また、カーボンニュートラル宣言以降に設置を進めてきた太陽光パネルについて自主調査を行った結果、製造段階における強制労働の疑いを払しょくすることができないという結論に至ったため、すべての自家消費太陽光発電の稼働停止を決定いたしました。当社ではジェノサイドに加担してまで必要とする売上は1円たりともありません。そして、電力契約の再エネメニューやクレジット由来のカーボンオフセットについて精査したところ、みかけ上のCO2排出量をゼロと表現することはできても実態として地球環境へ排出されるCO2がなくなるわけではないことを確認いたしました。

一方で、世の中の動向としては、2022年11月にエジプトで開催された国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)において、国連専門家チームより企業のCO2実質ゼロ宣言の多くが地球温暖化防止に役立っていない見せかけの「グリーンウォッシュ」であるとの指摘がなされました。

また欧州連合(EU)は2023年9月に不当商行為指令(UCPD)と消費者権利指令(CRD)を改正し、2026年以降は企業がカーボンオフセットを必要とせずに達成できることを証明できない限り「カーボンニュートラル」との主張を禁止することが合意されました。

こうした状況を鑑み、当社では2050年カーボンニュートラル宣言、ならびに2030年47%削減目標を一旦取り下げ、ゼロから再検討することといたします。今後は2030年や2050年などの期限を区切らずに、省エネ活動や人権に配慮した再エネ導入などの施策を積み上げ、正味のCO2排出削減に寄与する現実的な目標を改めて設定し直します。

当社はSDGsの理念に賛同しており、今後も持続可能な社会、ならびに誰一人取り残さない社会の構築に向けて誠実に取り組んでまいります。


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