【地方の危機】売上が下がる生産性向上

地方経済は「行き止まり」に差し掛かっている?というお話をします。

労働生産性 = 成果 ÷ 労働時間

突然ですが、私の今日の退社時間は20時でした。

出社9時定時18時の会社で2時間残業したことになります。

フェイクも混じえて計算すると

①本日売上10万円 ÷ ②労働時間10時間 = ③労働生産性1万円/1時間

という労働生産性です。

「日本は生産性が低い」「生産性をあげろ」とか言われますが

今の日本でさかんに進められているのが「働き方改革」であり

②労働時間 を減らして ③労働生産性 を高める動きが見られます。

しかし、②労働時間 を減らして ③労働生産性 を高めても大きな問題が発生するのです。

それは ①売上 が増えていないかつ、残業時間が減るから労働者の給料が減っていく!という問題です。

「労働時間」減少は「給料」を減らし「売上」が減る

生産性を高めるのは悪いことではありません。

しかし、日本型の労働環境及び経済市場で

「労働時間を減らす生産性向上」

を実施してしまえばすぐに悪循環に陥ります。

日本型の労働環境:労働時間が長い労働者が評価され給料が高い

「若いうちの苦労は買ってでもしろ」と言いながら、そこで言う「苦労」とは、ほぼほぼ「長時間労働」のことを指しています。寝る間も惜しんで仕事をした過去が美談として紹介され、定時で帰りにくい風土が根付いています。

日本型の経済市場:国内需要が多く、国内だけでも事業が成り立つ

独自の生態系を保つガラパゴス諸島になぞらえた日本独自規格の「ガラケー」が普及したように、日本国内向けの商品・サービス提供だけでもそれなりの事業展開ができます。

以上の労働環境と経済市場の性質を踏まえると

長時間労働により給料を得ていた労働者が商品・サービスを消費することで経済を大きくしていた

と見ることができます。

しかし、平成の30年間に見られるように日本は世界に遅れをとり伸び悩んできました。

「生産性が低いせいだ」という声がよく聞こえますが、生産性の問題だけではなく、人口減少により「売上=給料を使う人」が減っていることも大きな要因です。

そして日本全国の人口減少だけでなく、特に地方の人口は都市部に流出していますが、この状況は地方の経済規模縮小を示しており、すなわち地方で生産性向上することの虚しさを示唆しています

地方の生産性向上が向かう先には

今、地方都市は首都圏の生産性向上の糧にされつつあります。

○事業継続の危機感から最新技術の導入が地方にも求められ

○大企業はリモートワーク普及によりWeb上で営業販売することができ

○地方にはノウハウがないため大企業の営業によりICT導入が進む

という流れをよく見ます。

悪いことではないです。ICTによる労働時間の削減は生産性向上をもたらします。短期的には利益が増え、経営が上向きになるかもしれません。

しかし、地方から都市部への人口流出が止まらない中、生産性向上による労働者の給料減少はその地方の購買力低下=経済規模縮小に直結します。

労働時間削減による生産性向上のその先にあるものは考えたくありません。

時短だけではなく、時短+売上拡大を目指す

都市部の企業が9時-22時の労働時間を9時-20時に短縮して同じ売上を確保するのであれば、生産性向上の効果は大きいかもしれません。

地方都市で9時-22時で働く企業は、都市部ほど多くないでしょう。それは、市場規模が都市部ほど大きくなく、長時間労働する必要がないからです。

地方都市の戦略は9時-20時で働く現状を9時-18時にするのではなく

9時-20時で働きつつも業務効率化をし一定時間でより多くの仕事をこなせるようにすることで9時-20時の労働時間でより多くの売上を確保できるようにすることだと思います。そのためには、ICTを理解し、地方での売上を拡大するというよりも都市部からの売上を拡大する策略が求められることになるでしょう。

「○○しかない」ことを武器にする

地方の人はよく「自分の住む街には〇〇しかない」と自虐します。

逆転の発想をすると、都市部は「〇〇しかない」とは決して言えません。

「〇〇」を売りにすることは間違いではありません。ブランドイメージをつけることは唯一の戦略になるのかもしれません。その証拠に、ふるさと納税で有名になるのは地方であり、都市部は目立つ〇〇がないため伸び悩んでいます。

地方には、デジタルネイティブ世代の若い力が必要です。

大学生のみなさんはこの機会に地元に思いを馳せてみてはいかがでしょう。

ご拝読ありがとうございます。

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