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堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

第一章 悪魔たちの円舞曲(ロンド)
118.クソ運営 ①

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 面倒な問題をクリア(?)、言い負かして御満悦になったコユキは、今、一番確認しておかなければイケない事を、モラクスに尋ねることにした。

「ところで、モラクス君! パズスって弟と、ラマシュトゥって妹だったっけ? どんな子達なのかな? 」

「そそ! 何か情報をクレメンス! っでござる? ほら、あの! 通り名とか? 」

 コユキの質問に善悪が被せてきた、うん、まぁ、通り名とかは分かり易いよね。
 即答するだろうと想像していた、モラクスは、難しそうな顔を浮かべて暫くしばらくの間黙りこくった後、重い口を開いた。

「相性で言えば…… 申し訳ない…… 最悪と言う他ありません…… まず! ラマシュトゥ(妹)ですが、……通り名は『改癒テラペイア』のラマシュトゥと人は呼びます」

「「て、テラペイアっ? 」」

「ソソ…… ゴメンネ……」

 テラペイアって告げられた途端に、いびつなオタクの二人が急に静かになってしまった、一体、何故だろうか?
 暫ししばしの沈黙の後に、ようやく善悪が静かに話しだす。

「テラペイアって事は…… 一度受けたダメージは…… その後同様の攻撃は全て無効を付与する治療、というか、上位改変って意味でござるか? 」

しかして、『フ、その攻撃は既に覚えた』とか言っちゃうタイプの子? 」

「はい、その御認識で間違いございません」

「くっ! 超チートっ! 」

 淡々と答えるモラクスに、さしもの善悪も吐き捨てるような呻きを漏らしてしまった。
 しかし、ここで黙って終われる善悪ではない!
 何しろ唯一の幼馴染コユキの命運が懸かっているのだから……

 故に善悪は重ねて問うた、

「もう一方の、パズス! パズス君か? か、彼の通り名は? 一体何て呼ばれているのでござるか? 一体、な、何と? 」

 モラクスは申し訳なさそうな表情を浮かべ、言葉にする事を戸惑っているようだった。
 代わりに答えたのは、オルクスであった。

「オトウト、パズス…… ソノナハ、テッペッキ…… ハカイフカノウ、ノ…… マジン…… 『鉄壁スクリラのパズス』ダヨ……」

「ムフゥ~ンムゥ~……」

その言葉を聞いて、善悪の双眸そうぼうはグリンと引っ繰り返るのであった。

「ぜ、善悪、よしおちゃん! しっかり! 自分を信じて! 諦めちゃ駄目だよ! 」

「ヴェ── ……んがっ! あ、ありがとう、こゆきちゃん、いやコユキ殿! ダイジョブ! で、でも、これって? 」

 ギリで意識を取り戻した善悪であったが、ゲーム廃人なら誰でも分かるだろう、絶望を感じて恐れおののいていたのであった。
 グングン進むよ、攻略勢が! 的なゲームにいて運営サイドが思わず陥ってしまうパラグラム。
 絶対攻略不可能なイベントボスを登場させることで神の如き自分達の存在意義を保全しようと言う、愚かな試み……

 その多くは、ユーザープレイヤーに落胆の先に、今後に対する期待値を激減させる事になり、殆どほとんどが運営停止の憂き目を受ける事になったのであった。
 パラグラム崩壊を避けて今尚エンドユーザーに愛されている、パラダイムシフトを為しえた運営さん等、数えるほども無いのが実情なのである。

 故に、このリアル世界、ローファンに設定された人生と言う物語の中で、カチカチ、ゴリゴリの越えるべき敵を登場させられるとは、思ってもいなかったのである。

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拙作をお読みいただきありがとうございました!

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