【連載小説】私、悪役令嬢でしたの? 侯爵令嬢、冒険者になる ~何故か婚約破棄されてしまった令嬢は冒険者への道を選んだようです、目指すは世界最強!魔王討伐! スキルは回復と支援しかないけれど……~
102. 剛腕、しばかれる ⑤
ストラスは顔にハテナを浮かべて前に居たレッドに聞いた。
「誰だ? 」
「ほら、ストラスさんがルンザを去る数日前にナセラから移って来た男がいたでしょう? 汚かった男が、あいつ、デニーが今エマ達のパーティーに入ってるんですよ」
ストラスが手を打って言う。
「あーアイツか~、馬鹿でかい剣を背負っていたアイツな~、そうかミッシングピースを見つけてゴールドに昇級できたのか~、それにしてもアイツがねぇ~、あれだろウィアード・デニーだろ? 」
「そうです、そうです! これが意外とうまくやっていましてね、ノブレスオブリージュは圧倒的な強者になったんですよ」
パトリックが感心したように言う。
「そうか、ストラスと離れてからも娘は着実に仲間と力を増やし続けているのであるか、くはは、子供だとばかり思っていたが、いつの間にやら自分で考えて行動する様に成長していたのだな、くははは」
アンナが笑顔を浮かべて言うのであった。
「それにエマさんとデニーさんはとってもお似合いなんですよ、先日も町の広場で素敵なダンスをお二人で踊ったりして、ロマンチックでしたよ~、街中の若い娘たちの憧れのカップルなんですぅ~」
「なに」
パトリックのこめかみがピクピクしている。
「兄上? 」
スコットが横からパトリックの顔を覗き込んでいる。
パトリックがアンナを見つめて言った。
「なあ、ギルドの娘よ…… 我が娘は拠点をどこにしているのか、分かるか? 」
アンナは即答した。
「はい、この上、ギルドの宿ですよ」
「娘の、アメリア達の泊まっていた部屋を見せてくれんか? あとデニーとか言う身の程知らずな平民の男の部屋も」
「いやぁ、幾らお父様でもそれは流石に~、ギルドの規則ですのでお断りさせて────」
「勿論構いませんでございます! では私自らご案内を~、ささ、こちらへどうぞ~」
「ぎ、ギルドマスター? 」
空気を読まないアンナと違い場の雰囲気を読む事に長けていたガンズのお陰で被害は免れた。
パトリック達に先んじて階段を上がったガンズは、ミランダに命じてエマの部屋を開けさせたのである。
「あら、おかしいですね、荷物や服が一つも残っていないなんて……」
ミランダが部屋の中を見回して首を傾げていた。
通常、素材採取などに大量の物資や服を持って出かけることは無い、文字通り荷物になるからである。
ましてやエマの保持しているドレスは十数着あった筈である、いつぞやマリアが自慢げに話していたのだ。
たった四日の遠征にその全てを持って行くなど考えられない事であった。
それに四日目に掃除を、エマはそう言って出掛けたが、部屋の中は塵一つない程奇麗な状態だったのである。
「おかしいですね、イーサンやデビット、マリアの部屋ももぬけの空ですね? ミランダ、デニーの部屋も見て来てくれ」
ガンズも首を傾げていた。
パトリックも生活感の無い質素な客室を不思議そうに見ながら言う。
「ここでエマが過ごしていたと言うのか…… こんな小さな部屋で…… 寝具もペラペラじゃないか、ん、ここに何かあるぞ? 」
「し、失礼! 」
憐れむような表情を浮かべてベットの上に手を置いたパトリックが何かの存在に気が付いて言うと、ギルドマスターのガンズが奇麗に敷かれていたプレイドをめくった。
そこにはエマ愛用のソフィア手作りのポーチと一通の手紙が置いてあったのである。
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お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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※この作品は『小説家になろう』様にて、完結している作品でございます。是非こちらからご覧くださいませ^^↓
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