【連載小説】私、悪役令嬢でしたの? 侯爵令嬢、冒険者になる ~何故か婚約破棄されてしまった令嬢は冒険者への道を選んだようです、目指すは世界最強!魔王討伐! スキルは回復と支援しかないけれど……~
55. 令嬢、メンバー募集する ⑥(挿絵あり)
下手をすれば魔王ザトゥヴィロ以上の世界の危機を回避したエマは気を取り直してデニーに告げたのである。
「ではデニーさん、私達のパーティー『ノブレス・オブリージュ』加わって頂けますか? 」
「おお、喜んでお受けします、共に魔王討伐の宿願を果たしましょうぞ! 皆さんよろしくお願いします! で、それぞれなんとお呼びすれば良いですかね? 」
「エマで結構でしてよ」
「イーサンとお呼びください」
「マリアですわ」
「デビットで頼みます」
エマが聞き返した。
「デニーさんの事はどう呼びましょうか? 」
「僕の事はデニーでも殿下でも好きに呼んでくだされば良いですよ」
───デンカ? 変わった略し方ですわね…… 本名がデニクライネとかなのでしょうか…… まあ呼び易そうなデニーとさせて頂きましょうか
「ではデニーと呼びますわね、改めて宜しくですわ、デニー」
「こちらこそ、エマ、イーサン、マリア、デビット」
「「「よろしく、デニー」」」
こうして新たな仲間、デニーをメンバーに加えたパーティー『ノブレス・オブリージュ』、リーダーのエマはこの部屋に入った時から気になっていた事を口にするのであった。
「それにしてもデニー、貴方って変わった格好をしているのですわ、流行っていますの、その大鋸屑塗れのファッションて? 」
デニーが答えた。
「いいえ流行ってはいないと思います、これは夕べ寝場所にした大鋸屑の山が夜半の雨で崩落したんです、逸る気持ちを抑えられずそのままで来てしまいました、後でどこかの川にでも飛び込んで洗い流しますよ」
エマが呆れた顔で言う。
「なんだ、そうでしたのね、でしたら今すぐ奇麗にして差し上げますわ、『清潔(クリンネス)』、これで元通りでしてよ」
エマの掌から流れ出た朱色の魔力が部屋中を包み込み、光が収まった時にはデニーだけでなく、部屋にいた全員の全身から汚れの全てが消え失せて清潔極まりなくなっていたのであった。
慣れている四人と違って初めてのデニーは興奮したように言う。
「おお! これは素晴らしい! 全身が軽くなったようです! 痒みも匂いも無くなりました! うわ、僕だけでなくレジルまでピカピカです! ありがとうございます、エマ! 」
エマが可笑しそうに笑いながら答えた。
「どう致しましてですわ、それにしても、うふふ、デニーの顔を今初めてみた気分ですわ」
「ははは、初めまして、エマ、イーサン、マリア、デビット」
「「「はははは」」」
一頻り笑い合ってから、デビットが不思議そうな表情を浮かべて聞いた。
「視界が狭くなると兜を好まない者は稀にいる事は承知していたが、デニーは胴鎧、ブレストプレートも付けていないんだな、その癖ガントレットやレギンスは重鎧で固めているのか? 好みなのか? 」
デニーがはにかみながら答えた。
「いいや、家を出た時はフルプレートだったんです、でも売ってしまって…… 只この格好になってみたら意外と動きやすくって、戦闘スタイルに合っていたと言うか、僕がダメージを受けるのって手足ばかりなんです、それでこんな感じになっちゃったんです」
「へー、戦闘スタイルか」
重装鎧同士中々に気が合っている様であった。
微笑ましく見つめていたエマの耳に変な音が聞こえて来たのである。
グ、グウウウゥ~
デニーが奇麗になって見やすくなった顔面を朱、バーミリオンに染めて言う。
「こ、これは…… 失礼しました、本日は朝食を抜いてしまったもので…… その、面目有りません」
エマが言う、遠慮は無しだ。
「お金が有りませんの? 」
デニーが答える、こちらも素直だ。
「ええ、銀貨が三枚ポッチでして…… はは、お恥ずかしい、食事を頂けるほどは残っていないのです」
エマだけでなく、元々のノブレス・オブリージュ四人が揃って訝しがった表情を浮かべる。
それはそうだろう、ここ最近の四人は街の食堂やマチルダの朝食、お昼も串焼き屋のリーズナブルな献立でお腹を満たしていたのだから。
昼食だけであれば一本銅貨三枚の大ぶりの串焼き、四人前でも銀貨一枚銅貨二枚と無料の水だけで過ごして来ていたのだから。
デニーは僅かに驚いた表情を浮かべて聞くのであった。
「ど、どうしたのです? みんな! 僕、何かおかしい事を言ったのですか? 」
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お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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