マガジンのカバー画像

短編小説。

24
読み切りの短編小説はいかがですか?
運営しているクリエイター

2022年10月の記事一覧

あえないきみへ。

あえないきみへ。

今日も仕事を終えて、家に帰る。
ネクタイを緩めて、スーツをハンガーに掛ける。
シャワーからあがって、ふと、スマホを開いて日付を確認する。
「前に会ってからもう1ヶ月半かぁ」
経ってしまった時間の長さに驚く。
僕が学生を卒業して仕事を初めてから、なかなか会えなくなってしまった。
会えないどころか、メールや電話の回数も減り、物理的にも心理的にも距離が出来てしまったような気がする。
「今日はなんだか君の

もっとみる
日常革命。

日常革命。

朝7時。
いつもの時間にアラームで目が覚める。
すごく寒い。出たくない。
ベットの枕元にあるライトスタンドの電気を消して、空になった加湿器に水を補充する。
「起きなきゃ…」
そう呟いてベットから出ると、洗面台に向かった。
1本だけになってしまったピンクの歯ブラシを見ながら、少しだけ切ない気持ちになる。
そんな気持ちを誤魔化そうと、最近ハマっているバンドの音楽聞きながら、朝の支度をする。
「そんな曲

もっとみる
Goodbye My Love

Goodbye My Love

あなたのことを想うたびに、世界が輝いて見えた。
あなたを好きになって世界が彩やかになった気がした。
いつかあなたの隣を歩くような存在に。
そんな夢が度々私を満たしていた。

***

いつも通りの時間に目覚ましが鳴る。
もう5分だけ…と思いながらも重たい体を起こして、今日の予定を頭の中で思い浮かべる。
「あぁ…動くかぁ」
かすれた声でそう呟い

もっとみる