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短編小説。

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君のいた余韻。

君のいた余韻。

「忘れ物ない?」
「うん、大丈夫。ないよ」
もう取りに来れないからなぁ、って君は笑う。
「もし忘れ物してたらさ、私のとこまで持ってきてくれる?」
「…馬鹿なこと言うなよ」
「あはは、冗談冗談」
助手席に乗っている君が、目じりを少し拭ったように見えた。
それは笑ったからか。それとも…。
君は、膝の上に大きな荷物を乗せている。
会話もほとんど交わさず、君をいつもの駅に送る。
これが君と過ごせる、最後の

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Days with You

Days with You

「ねぇ!起きてー!」
遠くで君の声が聞こえているような気がする。
これは夢か、現実か。
「ねぇ!もう12時!お昼だよー!」
えらいリアリティのある夢だな。時間まで言ってくるのか。
「ちょっとー!聞こえてるのー?」
徐々に意識がはっきりしてきた。
限界レベルのかすれ声で返事をする。
「えぇ…もうそんな時間…?」
「そうだよー!いつまで寝てるのー!今日映画見に行くんでしょー?」
「ごめんごめん」
楽し

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ヒロイン。

ヒロイン。

憂鬱な冬の朝。
カーテンの外を見ると、ほんのり道路が白い。
起きるだけでも嫌なこの季節。
布団から出て、眠い目を擦りながら、服を着替える。
今日も何一つ変わらない1日が始まる。

いくら外に出たくなくても、僕には大学をサボらない理由があった。
そう、君に会えるから。

今日みたいに骨まで凍りそうなそんな日に僕は君を見つけた。
「おはよう~!ねぇねぇ!雪すごいきれいじゃない!?」
少し離れた席の方で

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I wanna be with...

I wanna be with...

ねぇ、あなたは今どこにいるの。
どこで何をして、今という時を過ごしているの―。

別の人の彼女になった。
あなたとは、まるでタイプの違う大人な人。
「じゃあ、今日も行ってくるよ」
「うん、いってらっしゃい」
あなたとは喧嘩ばかりの日々だったけれど、すごく余裕があって、口喧嘩すらすることがない。そんな優しい人。

「ねぇ、私のこと好き?」
「え?あぁ」
あなたといたときはこんな会話ばかりだった。

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本当はね。

せっかくの日曜日なのに今日もバイトに出てきている。
「あと2時間…」
バイトってなんでこんなに時間すぎるの遅いんだろう。
私が見ない間に誰かが時計の針止めたりしてるんじゃないかってくらい時間が進まない。早く帰ってベッドに飛び込みたい。
「いらっしゃいませぇ」
あ、待って。やばいやばい。
何を急に焦っているんだって?
だって「あの人」が来たから。
私が最近気になってる「あの人」が。
彼がレジの死角に

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Ending

「今日さぁ、バイトでこんなことあってさ…」
「うんうん」

「今日服買いに行ったんだけどさ…」
「えー!どれどれー?」

「この前友達がさ、めちゃくちゃ面白くて…」
「ははっ、うんうん」

二人でいるといつでも僕は僕の話ばかりで。
今思えば、どれだけ君の話を聞いていただろう。
そんな僕でも、君はいつでも笑顔で話を聞いてくれていた。

                            ***

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あえないきみへ。

あえないきみへ。

今日も仕事を終えて、家に帰る。
ネクタイを緩めて、スーツをハンガーに掛ける。
シャワーからあがって、ふと、スマホを開いて日付を確認する。
「前に会ってからもう1ヶ月半かぁ」
経ってしまった時間の長さに驚く。
僕が学生を卒業して仕事を初めてから、なかなか会えなくなってしまった。
会えないどころか、メールや電話の回数も減り、物理的にも心理的にも距離が出来てしまったような気がする。
「今日はなんだか君の

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日常革命。

日常革命。

朝7時。
いつもの時間にアラームで目が覚める。
すごく寒い。出たくない。
ベットの枕元にあるライトスタンドの電気を消して、空になった加湿器に水を補充する。
「起きなきゃ…」
そう呟いてベットから出ると、洗面台に向かった。
1本だけになってしまったピンクの歯ブラシを見ながら、少しだけ切ない気持ちになる。
そんな気持ちを誤魔化そうと、最近ハマっているバンドの音楽聞きながら、朝の支度をする。
「そんな曲

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Goodbye My Love

Goodbye My Love

あなたのことを想うたびに、世界が輝いて見えた。
あなたを好きになって世界が彩やかになった気がした。
いつかあなたの隣を歩くような存在に。
そんな夢が度々私を満たしていた。

                            ***

いつも通りの時間に目覚ましが鳴る。
もう5分だけ…と思いながらも重たい体を起こして、今日の予定を頭の中で思い浮かべる。
「あぁ…動くかぁ」
かすれた声でそう呟い

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ヒカリノマチ

ヒカリノマチ

「さぁ、帰ろうか」
「ん!ちょっと寄り道して帰ろうよ」
コンビニで買い物を終えて、君といつもの帰り道を歩く。
特別近道でもなく、特別舗装されて綺麗でもないこの道でも、君と歩く道ならそれでいいと思えた。
橋から見える川の流れは今日も穏やかで、日差しを反射してキラキラと輝いている。
まるで君といる毎日のようだなんて思って、柄にもないなと笑った。

レジ袋をふらふらさせながら、2人で手を繋いで歩く。

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君がいた世界に。

君がいた世界に。

今日、僕の最愛の人が亡くなった。
信じられなかった。
受け入れられなかった。
涙も枯れ果てて、頭がぼんやりしている。
君の弾けるような笑顔を見つめながら僕は呟いた。
「似合わねぇよ…」
聞いたことないぐらい掠れた声だった。
鼻の奥がツンとする。
どんな服も似合う君だったけれど、遺影に映る姿だけは全くだった。

「もう!なに泣いてんのー?」
これは全て夢で、起きたらまた隣に寝ている君がそう言って笑っ

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きみとぼくの白昼夢。(下)

きみとぼくの白昼夢。(下)

前編はこちらから。

“赤い糸”が切れてしまっても日常は続いていく。

君を失って1年が経とうとしていた。

君がいないことに絶望感を抱いていた僕だが、人間というのは残酷な生き物だ。

もう既に君の知らない僕に少しずつ変わっていっていた。

                            ***

見たい映画ができた。
最近話題の興行収入が億を突破した作品だ。
特に誰のファンとかではないが

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きみとぼくの白昼夢。(上)

きみとぼくの白昼夢。(上)

2人を繋ぐ“赤い糸”が切れる音が聞こえた。

2人の時間が、君が他の誰かと出会う時間になっていった。

2人の日々は色褪せていった。

悪い夢を見ているようだった。
早く覚めてくれ。そう願うばかりだった。
でも夢じゃなかった。

僕は君を失った。

                                  ***

いつも通りの時間に目を覚ます。
君のもので溢れかえる部屋を見渡す。
君は

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ヘイコウセカイ。

ヘイコウセカイ。

君は先に寝てしまった。
すごく幸せそうな寝顔だ。
「ねぇ、どんな夢見てるの?」
返ってくるはずのない問いかけを君に投げかけた。
「ごめんね」
聞こえるはずのない謝罪。

「好きな人がさ、できちゃったんだ」

                             ***

いつも通り「またね」と手を振って、君が部屋を出て行ったあと、僕は洗面所に向かった。
並んでいる青と黄色の歯ブラシに目を向ける

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