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氷山とモアイ

福祉の世界には「氷山モデル」という概念があります。

…というか、ちゃんと聞けば、どの業界でも通用する考え方だと思うので、紹介したいと思います。

一方で、あなたの記憶にあるモアイ像って、どんなイメージですか?

なぜ、モアイが氷山モデルの話に関係するの?

今回は、そのあたりを書いていこうと思います。

最後までお付き合いいただけると幸いです。

イヌ・ポメラニアン・木を咥える・遊ぶ・岩場・じゃれる

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行動には、動機があり結果があります。

つまり、

なぜ、その行動を起こしたのか?
どんな結果を求めて行動したのか?

という視点です。

例えば、上司がネチネチとあなたのミスを指摘してくるケースで考えてみましょう。

ミスを指摘してくる上司に「ネチネチするのをやめてください」と行動そのものを注意しても、多くの場合は根本的解決にはなりません。

…まあ、今はパワハラ防止条例があるので、行動自体を制限するのは容易ですが、場合によっては、注意することによって、より悪化するケースも考えられます。

そこで氷山モデルの出番です。

イラスト・氷山・氷山モデル・海面・海中・一角

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海面から上、視界に入る氷山からでは、その全体像は掴めません。

海面にわずかしか出ていなくても、海中に大きな氷山となって存在していることも考えられます。

行動に現れる問題や課題を、この氷山に見立てて全体像を掴むのが氷山モデルです。

海中部分は、大きく「本人の特性」と「環境・状況」に大別できます。

本人の特性とは、生まれついてのモノであったり、社会性を獲得していく過程で身につけてしまった悪習などです。

環境・状況とは、文字通り、本人を取り巻く環境や、その行動が起こった状況を指します。

例えば、その上司が新入社員だった頃、似たようなネチネチと指摘してくる上司に育てられた影響で、そのように部下に接することしか出来なくなっているケースもあるでしょう。

また、トラブルが頻出し、たまたまあなたのタイミングが上司の期限の悪いときに当たってしまったというケースもあるでしょう。

はたまた、純粋な嫌がらせの可能性もあるかもしれません。

このように、行動そのものではなく、本人の特性や環境・状況に視点を移すことで、問題解決の糸口を探す方法が、氷山モデルの活用事例となります。

イラスト・シルエット・思考・考える・ペンを口元に・逆光

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氷山には、さらにストレングス(強み)に視点を持つことを勧める概念も存在します。

ネチネチと指摘されるのは嫌ですが、それは細かな部分まで目を通している証拠かもしれませんし、言い方さえ変えられれば、部下の直すべきところをしっかりと指摘できる、信頼できる上司に変容するかもしれません。

つまり、リフレーミングすることで、問題行動からプラスの要素、改善点を洗い出すことも氷山モデルでは求めているのです。

今回は分かりやすくするために架空の上司を例に挙げましたが、障がい者福祉の世界では、自閉傾向が強く、言葉を発することのない方も多く存在します。

彼らは話せない代わりに多くの情報を行動に示します。

単純に、支援者にとって不快な行動だからと言って、行動そのものを抑圧することは、問題解決どころか、さらなる問題を引き起こす要因となります。

なぜ、その行動を起こしたのか?
どんな結果を求めて行動したのか?

支援者は、常に行動という氷山の一角から、氷山の全体像を考える習慣をつけなければなりません。

モアイ像・イースター島・石像・点在

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さて、最後にモアイ像の話ですが、あなたのイメージするモアイ像に胴体部分は存在しますか?

実は私のイメージでは、せいぜい肩あたりまでが地表に出ているイメージしかありませんでした。

つまり、モアイ像の全身がどうなっているのか、皆目見当がつかない状態でした。

…この投稿をするにあたり、首から下がどうなっているのかを知ることになったのですが…。

ひねくれた思考ですが、最初に氷山モデルを聞いたとき、私は「大きさの違いは在れども、氷山のカタチにそこまでの違いは無いのではないか?」と思いました。

要するに、氷山が程度はさておき、海面だけでなく海中に沈んでいる部分もあるということは、誰でも発想できるものではないか?氷は氷でしょ…と思ったのです。

しかし、モアイ像の首から下を知らない私にとって、モアイ像にそもそも胴体は存在するのか?とか、どんな形状なのか?は、全く想像がつきませんでした。

ですから、氷山モデルを考えるときは、モアイ像に置き換えて、想像もつかないことを想像する意識を持つことを心掛けるようになっていました。

これもまた、リフレーミングかもしれませんね(笑)。

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ということで、最後までお読みいただきありがとうございました。

今回の投稿は以上です。

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