新倉 健人

アーティスト・エンジニア/東京都出身/GengoRawとして創作活動を実施/Gengo…

新倉 健人

アーティスト・エンジニア/東京都出身/GengoRawとして創作活動を実施/GengoRawは言語+Raw(生データ)/言語とAIを用いた作品作っています/22年岡本太郎賞/22年六本木アートナイト/21年メディア芸術祭アート部門審査員賞/

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新倉健人プロフィール

新倉健人略歴 肩書き: アーティスト/エンジニア 生年月日: 1989年6月25日東京都出身 2008〜2012年:東工大数学科 2012〜2014年:東工大大学院数学専攻 微分幾何学を学ぶ。4次元など高次元物体の崩壊現象を研究。 2015年〜: 広告会社に入社。Pythonを独学で勉強。データ解析、AIを使ったソリューション開発、AIでコピーライターを作るなどを始める。 2018年〜: 言語とテクノロジーを使ったアートユニットGengoRawを石橋友也と開始。 作品バベ

    • アートの力 美的実在論

      美学の歴史過去の美学の流れを踏まえつつ、マルクス・ガブリエルによる「アートの力 美的実在論」という本を踏まえて、ポストモダンによる美学の解釈を理解したいと思う。 美学の歴史を振り返る。 古代の起源:美学の考察は、古代ギリシャにおいて始まる。プラトンは「イデア」の概念を通して美を論じ、アリストテレスは「詩学」で美術作品の模倣(ミメーシス)について論じた。 中世:美の議論は主に宗教的な文脈で行われ、神の創造物としての自然や芸術の美が重視された。 ルネサンス:人間中心の視点

      • ダダイズムとは何か

        昨今生成AIが流行る前、自分で作ったマルコフ連鎖のロジックで作った文章生成装置を使って、文章を自動生成していた際に、そこで出される文章がダダイズムの文章と似ていると言われたことがある。それをきっかけにダダとは何かを学習せねばという意識があったが、しばらく放置していた。この度 「言葉のアヴァンギャルド」という本を読んだので、その内容をまとめていきたい。この本では二十世紀を代表する思想として 未来派(マリネッティ) チューリッヒ・ダダ パリ・ダダ の3つが紹介されている

        • なぜ人間にしか言葉が話せないのか

          普段から機械や言語を使ったアート作品を制作している。今回はそのリサーチも兼ねて、「なぜ人間にしか言葉が話せないのか」に迫った、言語の本質という本を読んだので、その内容をまとめる。 オノマトペ筆者らはオノマトペの研究者で、オノマトペを通して言語の謎に迫っている。オノマトペは「感覚イメージを写し取る、特徴的な形式を持ち、新たに作り出せる語」と定義されている。オノマトペには、アイコン性(=表すものと表されるものの間に類似性がある)があり、例えば猫の鳴き声と、「ニャー」というオノマ

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          夢の理論 NEXTUPモデル

          「夢を見るとき脳は 睡眠と夢の謎に迫る科学」という本を読んだ。この本では夢に関する様々な研究を振り返り、なぜ夢を見るのかを説明するひとつのモデルを提示している。NEXTUPモデルと呼ばれている。 夢に関する先行研究夢とは、睡眠中に出現する一連の思考、心象、情動である。人類の歴史の中で夢について扱われてきた。世界最古の物語とされる4000年前のギルガメッシュ叙事詩から、古代ギリシャ哲学など様々な場面で扱われていて、夢について様々な解釈が生まれている。 夢の研究としては有名なも

          夢の理論 NEXTUPモデル

          ニューロン・リサイクル仮説からみる脳の普遍性

          「新記号論」を以前読んだときに、認知科学者・チャンギンジーらの結果に衝撃を受けた。⾵景の中に現れる幾何学的パターンの分布とあらゆる言語の⽂字の中に現れるパターンの分布が⼀致することを⽰した。 この研究結果は⼈類が⾝に着けた⾃然を観察する能⼒に適応するように、⽂字の形が収斂進化していった可能性を⽰している。 この詳しい結果については、「ヒトの目、驚異の進化」に記載している。 そして「新記号論」ではこのチャンギージーの結果と、ドゥアンヌが提唱している「ニューロン・リサイクル仮説

          ニューロン・リサイクル仮説からみる脳の普遍性

          シンギュラリティを超えるための人工意識

          この世界に残る大きな謎の代表格といえば、宇宙の誕生、生命の誕生、意識の誕生であろう。どの誕生も興味深いが、この3つのうち、昨今の人工知能のブームを考えると意識についての謎は議論の的であろう。私は「意識」についての謎を3年以上追いかけている。前回の記事からかなり経ってしまったが、さらなる情報を仕入れ、自分の中でまとめたいと思ったので、ここにまとめたいと思う。 今回まとめる本「意識はどこから生まれるのか」(マーク・ソムーズ著)、「ロボットに心は生まれるか」(谷淳著)の2冊である

          シンギュラリティを超えるための人工意識

          chatGPT vs ELIZA 新旧chat BOTの行方

          chatGPTが流行している昨今、人間との対話に近いと話題になっているが、過去にも人工知能によって、人間の対話に似せようとする動きがあった。特に有名なのは、1966年に登場したELIZAであろう。 この記事によるとELIZAはチューリングテストには合格したわけではないものの、30%程度判定者が誤ったことから、この時代からチューリングテストを合格する日が近いのではと期待されていた。 昨今のchatGPTが高い精度で対話をする姿や、ブレードランナーをみて、筆者は思った。このチ

          chatGPT vs ELIZA 新旧chat BOTの行方

          映画・音楽・漫才に共通するもの

          コンテンツに通ずる起承転結フレームコンテンツの各領域において、映画、ポップス、漫才などの異なるカテゴリーに共通する要素として、古来からの物語作りの原則である「起承転結」の存在が挙げられる。それぞれ異なる表現形式を持つこれらのカテゴリーであっても、物語構造としての起承転結はユーザーや視聴者、聞き手に心地よい感動やサプライズを提供する基本原則となっていると思われる。 映画の世界において、起承転結は一貫した物語展開の基本構造として非常に重要な役割を果たしている。「起」は物語の設定

          映画・音楽・漫才に共通するもの

          食を科学したい2/2: How To Cook

          前回の記事で食についての科学を掘り下げ、食科学する上で、What To CookとHow To Cookに分解して、What To Cookについて論じた。 どのように料理をすべきかについては、調理法ごとにどのような意味があるかを論じている本が多く存在する。 例えば熱を加えることで、タンパク質が変形することの意味や、発酵させることで糖が分解されるなど、調理法によって意味があることが論じられている。 今回この記事では、そこでは論じられていないもうすこしプリミティブでかつ重

          食を科学したい2/2: How To Cook

          食を科学したい1/2:What To Cook

          動機普段料理を自分でしたり、ご飯を食べたりしていて、食に対して、考えることがある。特に、『食に対する美味しさの科学』に対して、定量的に「どのようなものが美味しくて、どのようなものがまずいのか」、また「どのようなものが食べることができて、どのようなものが食べることができないのか」がまとまっている記事が見当たらない。 特に「食に対する科学」ということを考えたときに、一番最初に思いつくのは、「栄養学」であるが、栄養学の本を見るとカロリーや、各栄養素のグラムという定量的な指標はある

          食を科学したい1/2:What To Cook

          人類とメディアの歴史

          哲学と人類を読みました。とてもわかりやすく、非常に面白かったので、過去読んだ自分の読んだ本と合わせて、一枚絵でまとめました。 サピエンス全史やホモ・デウスに関しては、哲学と人類でリファレンスがあったので、その情報を追記したのと、デジタルメディアの歴史については、魔法の世紀を参考に頭の整理をしました。

          人類とメディアの歴史

          新しい漢字を作る

          蒼頡AI現在岡本太郎美術館にて、「蒼頡AI」という作品を展示しています。ぜひ興味のある方はご覧いただければと思います。(2022年5月15日(日)まで) 作品の説明をすると、「蒼頡(そうけつ)」とは漢字を発明したとされる中国の伝説上の人物です。自然を見る一対の目と文字を見るもう一対の目という「4つの目」を持ち、動物の足跡を観察することで漢字を発明したとされています。 本作では、「文字でありながらイメージでもある」漢字を題材に、AIによってその発生のプロセスの再演を試みました

          新しい漢字を作る

          人間の認知プロセスの再現

          Translated Landscape物体検出(object detection)技術を用いて、渋谷の街並みを文字の風景へと変換しました。 特定したオブジェクトの名称は、漢字を中心とする日本語文字へと変換。文字の大きさは検出した物体のサイズを反映しています。 こうして作り出された光景は、現状のAIに見えている世界でもあり、我々の頭の中で起きているミリセカンド単位の認知のプロセスの表象でもあり、漢字のような象形文字が生まれる「形→図像→文字」の長い歴史の再演でもあります。

          人間の認知プロセスの再現

          現代のシニフィエとは

          Signifié On The Web私はSignifié On The Webという作品を作りました。 どのような作品かというと、ある特定の単語をGoogle画像検索にかけ、ヒットした大量の画像をAIに学習させ、そのAIからイメージを生成させました。 例えば下にあるものは、Googleの画像検索で"apple”と調べ、表示された画像をAIにたくさん学習させ、生成イメージさせたイメージです。 下のイメージを見ると、食べ物のりんごとApple社のロゴが入り混じったようなイメー

          現代のシニフィエとは

          言語AIの頭の中に入る

          昨今XAI(AIの説明可能性)が話題になっている。実際にAIが何を行なっているか、AIが行なっていることをどう説明するかが今後重要になってきていると思う。私は自然言語処理のAIを使ったアート作品を作っているが、そのような観点で体験者が、言語AIが何をやっているかを体験できるようなインタラクション作品を作った。 JOURNEY INTO WORD2VEC 作品は言語AIの頭の中を旅するVR体験を提供する。作品のタイトルにあるWord2vecとは膨大な量の文章をニューラルネット

          言語AIの頭の中に入る