奇妙なアルメニア文字に愛着が湧く
東欧の国・アルメニアは国民の大半がアルメニア人という単一民族国家で、アルメニア語という独自の言語を使います。そして、アルメニア語はアルメニア文字という独自の文字を使います。
子供が描いたグラフィティにありそうな印象を受けるこの文字は、当然ながらアルメニアの人たちが日常で使っているものになります。
調べてみたところ、アルメニア語、そしてアルメニア文字は5世紀頃にすでに現在のものが誕生しており、世界で最も古い文字のひとつと言われているそうです。
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同じく東欧、コーカサスの国であるジョージアにもジョージア語とジョージア文字がありますが、アルメニアにもアルメニア語とアルメニア文字があります。
片方でも見慣れていなければ、どちらがジョージア文字でどちらがアルメニア文字かは判断が難しいと思います。どちらかと言えばジョージア文字の方が丸さが際立って可愛い印象を受けますがいかがでしょうか。
アルメニア文字は39文字のそれぞれに大文字と小文字があり、一文字ごとに一音を表しています。そのため、文字とその対応する音さえ身につけてしまえば、発音することが可能です。
首都・エレバンの街中を歩くと多くのアルメニア文字に巡り合います。最初は文字を見るたびに困惑し、不思議な世界に迷い込んだ気分でしたが、3日も経てば見慣れてしまいました。
そして、その奇妙さから徐々に愛着も湧いてきました。
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アルメニアは芸術のセンスが高い国です。
ローズシティと呼ばれるエレバンの街並みもそうですが、街を歩いていると美術作品の中の世界にいる気分になります。
早い時期からキリスト教を信仰し、古来よりいろんな芸術作品を作っていたことから周辺他国にも影響を与えていたそうです。現代でもその文化は引き継がれ、街並みも含め綺麗でおしゃれな雰囲気を保っています。
そんな街中にはあらゆるポスターが貼ってありますが、そのどれもが高いセンスを誇っています。独自のアルメニア文字もよく調和していて美しさを感じます。
異国情緒溢れる空間は居心地の良さにつながり、そういったセンスの良いポスターには全く読めない文字が羅列されているのに、そこに自分が引き込まれる不思議な感覚さえ抱きます。
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アルメニア語は全く勉強していないため、話せないし文字も読めません。もちろん習得できたら楽しいし、過ごしていく上で便利だと思いますが、もう数日でここを離れるので、勉強しなくてもいいかなと思っています。
街中の綺麗でおしゃれな雰囲気にマッチするこの文字もまたデザインの一部として良いアクセントになっているため、わからないまま過ごすことにも楽しんでいます。
外国人から見ると同じ奇妙な文字を使って生きている人たち、という文脈では共通点のある日本人の一人として、アルメニアでデザインセンスについて刺激的に学べているのも、また楽しいひと時です。
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サムネイルの撮影場所はオペラ・バレー劇場前