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ジョージアで魚を買ってさばいてみた

日々食事は欠かせませんが、こと料理に対して、僕は昔から苦手意識があります。

スーパーに行くと何を買ったらいいかわからない。食材を目の前に置くとどう調理したらいいかわからない。いざ調理をしようとしても、思考が停止して何もできずに固まってしまいます。

ジョージアに来てから半年が経ち、外食ばかりでお金はかなり費やしてしまったし、惣菜やパンを食べ続けるのも嫌になってしまいました。

そんなことから最近、やっと料理に取り掛かり始めました。

とりあえず野菜と調味料を買って炒めてみて、パスタを茹でて合わせてみるなど、それまでの抵抗感が嘘のように楽しんでできるようになりました。

それゆえ食べ過ぎてしまう、という別の問題点が発生してしまったくらいです。

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料理について、僕はそもそも全くできなかったわけではありません。学生時代に4年間、和食料理店のキッチンでアルバイトをしており、そこでは調理の経験があります。

そのお店はチェーン店のため加工工場はあるものの、実際の店舗でもお客さんに提供するまでの、全体の工程の半分ほどの調理を行っていました。

野菜を切って盛り付けたり、出汁を取って煮物を茹でたり、揚げ物を揚げたり、パフェを盛り付けたり、いろいろな仕事を担当していました。

最初は何もできない状態で入ったため、包丁の使い方や両手で卵を割る方法などから教わったくらいです。

そんな調理の中でも、僕にとって一番技術を学んだと言えることに刺身の盛り付けがあります。

タイが一尾丸々お店に届き、それを捌いていき、刺身またはお寿司として提供します。どちらかというと刺身として提供することが多く、捌き方だけでなく、美しく見える盛り付け方法も学びました。

そんな一連の経験をしておきながら、料理に対する苦手意識を感じてしまっていました。

食材はすべて工場から送られ、調理方法はすべてマニュアルが存在していました。そのため、キッチンの仕事は、自ら考えて料理をすることはなく、ただただマニュアルに従って調理をしていくだけだったのです。

何を買うとどういった調理ができる、といった一般の人たちが日頃の料理の中から身につけた知識が著しく欠如していました。

それがかえって料理に対する苦手意識となり、アルバイトをやめてからしばらく料理から遠のいた原因でもあります。

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かつての魚を捌いた経験は、今振り返るととても貴重なものだったと思います。

三枚におろしたり、それを刺身になる適切な大きさになるよう包丁をいれていく作業は、一日で身につくようなものでもないと思います。最近やっと料理を始めるようになり、このかつての感覚が懐かしくなっていました。

そのため、せっかくだしと、友達に振る舞うために魚を捌いてみることにしました。

ジョージアは海なし国ではあるものの、黒海には面しているため、一応魚が収穫できます。ただ、僕が今いる首都のトビリシは、黒海からは遠く離れた内陸地に位置しているため、日頃魚を食べる習慣はありません。

市内の大きいスーパーには一応サーモンや鯛が一尾丸々置いてあることもありますが、あまり鮮度が良いとは言えません。

しかし、このトビリシ市内にも魚の市場があることを知り、昨日は友達と訪れてみました。

市場というより、おしゃれな魚屋といった店構えでしたが、おそらく鮮度の良さそうな魚が並んでいました。種類はあまり多くなく、ラインナップはサーモン、鯛、スズキとそのほかイクラなどの魚卵類でした。

市場には多くの魚が売られている

僕は魚を一から捌いた経験は鯛しか経験がなかったものの、スズキも見た目は似ていたので、鯛2尾とスズキ1尾を買ってみることにしました。購入したらその場でウロコと内臓を取り、血抜きまでしてもらえました。

友達の家に着いてから、早速捌き始めます。

まな板の上の鯛

鯛の三枚おろしは、最初は迷いながらでした。カマ(頭)の部分を切る時も、背ビレから中骨を取り出すときも、一度包丁を入れたらもう元には戻れないため、慎重に進めていきました。

骨は思っていたよりも固かったものの、包丁の刃元をうまく使いながら切っていきます。中骨にそって包丁を入れ、なんとか失敗なく三枚におろせました。

次に片身から小骨の部分を切って二つに分け、包丁で皮を剥いでいきます。皮を剥ぐ工程が個人的に一番難しいと思っていましたが、なんとか成功。

アニサキス対策で切れ目などもいれつつ、最後は刺身の大きさに切って盛り付けました。できた!

始めて調理するスズキも同様に進めていき、なんとか刺身の状態まで切ることができました。

完成!うまく捌けたと思います。安堵のため息がこぼれます。

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コメの炊き方に失敗してしまったため、お寿司をやめて海鮮丼という形にしましたが、完成品を見てひとつの達成感を感じました。

海鮮丼。刺身はこれの3倍くらいの量

味は想像以上に美味しく、箸が止まりませんでした。

途中からカマと中骨の部分を煮込んで、出汁を取り、それをしゃぶしゃぶにしたりもしました。

ジョージアにいるのに、どこか日本の懐かしさを感じて、幸せな気分でした。

今回、6年ぶりに魚を捌いてみましたが、まだかつての感覚が残っていたことに嬉しさを感じます。加えて、何も見ずに魚を捌けた事実が大きな自信になったようにも思えました。

日本に帰ったら、また挑戦してみたいし、今回みたいに人に振る舞ってみたいと思いました。

ジョージアに来てまさか魚を捌くことになるとは思わなかったけれど、とても良い経験だったし、その挑戦を受け入れてくれた友達に感謝です。


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それでは、また明日お会いしましょう!

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