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「広報」にできることはまだあるかい

『広報』の仕事って、なんなんですかね。

ぼくはいま別に会社で広報という肩書で働いてるわけではないですが、ライターとして記事を書くことが多いという仕事柄、『どうすればもっと会社のことを世間に知ってもらえるだろう』ということは、よく考えます。

それできょう、LIGの広報をされているたびちんさんのnoteを読みました。


共感することだったり勉強になることだったりがたくさんあったので、整理しておきます。


ただ、読んでて最初に印象に残った箇所は、共感とか勉強とかというより、ただただ『LIGすごいな』という話について。

たびちんさん、広報活動について、LIGブログ以外はほぼインバウンド対応なんだそうです。

めちゃくちゃすごくない!?!?


プレスリリースはいまは全社的には出していないとことですが、言い換えれば、わざわざ外の媒体を使う必要ないくらい、LIGブログがメディアとしての強大なパワーを持っているということです。

めちゃくちゃすごくない!?!?


そうやって自分たちで強力なメディアを持っているので、そこまで外部メディアへの露出には興味がないかと思いきや、toC事業を手がけていることもあって、(おそらく)新しい層との接触機会として、やはり外部メディアにも出ていきたいとのこと。

ただ、自分たちで強力メディアを運営できるがゆえ、自分たちの持っている資産を自分たちで料理して出してしまうのが、今後の課題のひとつとのこと。

LIGブログで記事は出しているんですが、素材としての情報の出し方は非常に下手といいますか……料理を自分たちでしてしまうんですよね。それがオウンドメディアがある企業の良いところでもありますし、とはいえプロの料理人たちにいい素材だよ〜とアピールすることなく終わっているのが現状です。


ほんと、仕事に終わりはないというか、LIGさんに関してはぜいたくな悩みというか、広報活動に関して、日本のベンチャー企業として常に先頭集団を走っている印象があります。

そして、このあとの話が一番の共感ポイントだったのですが、『webを中心にした会社、(マス)メディア映えしない問題』。

LIGさんは他事業展開されているものの、昔からされている主軸事業のひとつは『web制作』で、ぼくの内定先であるwevnal(ウェブナル)は、『デジタルマーケティングの支援』を軸に事業を展開しています。

ただこれらって、無形商材なので、ほんとメディア映えしないんですよね。

あと、web制作にしてもデジタルマーケティングにしても、言ってしまえば『代理事業』なので、最終的な成果物はクライアントに帰属して、ぼくたちに残るのは信頼とノウハウだけです。

そう、もうとってもニュースにしづらいのです...

あとこれから本当に身もふたもないことを申し上げるのですが、Web制作会社の広報活動って本質的に難しくないですか?
社会課題を解決しているわけでも、明確なプロダクトがあるわけでもありません。お客様ひとりひとりの課題に向き合ってWebサイトというツールを作り出し、その解決に寄与するWeb制作会社では、メディアに出るようないわゆる「映える」画作りは、非常に難しい。イケてるWebサイトを作ったとして、それはお客様のもの。世界的な評価を得ていたとしても、ニュース性としてはあまりありません。


ただまあ、できない理由を列挙しててもなんにも始まらないので、思考の発想としては『どうすればできるか』が正解なのですが、最近ひとりで『どうすればwevnalが外部メディアに取り上げられやすくなるか?』っていうのを考えていて、出た答えのひとつが『会社の文化』を全面に打ち出していくべきだなということでした。

『会社の文化』っていう言葉だけだとすごきフワッとしちゃうんですけど、例えばプロダクトそのもの先進性や機能性を謳うよりも、会社の文化から生まれた少し変わった福利厚生だったり、人事制度だったりのほうが、外部メディアには興味を持ってもらいやすいかもなと思いました。


たびちんさんも、先ほどの『web制作会社は広報活動が難しい』の文章に続けて『そうなると、会社の文化を強化したり新しい試みをするしかないんだろうなと思います』と書かれています。

実際、先日LIGさんがテレビで取り上げれらたのは、事業の話ではなくて、『あだな文化』という会社の文化のひとつでした。


ただ、たびちんさんが直後の文章で言っているように、ここで手段と目的が入れ替わるのはめちゃくちゃナンセンスなんですよね。

そうなると、会社の文化を強化したり新しい試みをするしかないんだろうなと思いますが、取材を受けるためになにかするのも本末転倒。弊社であればそれはLife is goodなのか?という観点がないと厳しい。


つまり、『メディアに出るために、なにか変わった制度を設けよう!』はナシで(そんなのすぐに化けの皮が剥がれるから)、順番としては常に『会社として大事にしたい文化や価値観が施策に現れた結果、こんなルールができた』であるべきです。

じゃあもうどうすればいんだよって話ですが、もうこれは続けてたびちんさんが言っているように『だからこそ、広報が何かをするというよりは、一人一人のメンバーがお客様との接点で誠実に対応していくしかないし、社内でも誠実に組織運営がされていくしかないよなーと思います。足元固まってこそのブログだし、その先のメディア展開ではないでしょうか。』に尽きるなと思っています。


言っちゃえば、広報ひとりの力で会社全体をどうにかしようという発想自体が、おこがましいのかもしれません。

会社のメンバー、一人ひとりの積み重ねが『会社の文化や価値観』だし、大事にしたい文化や価値観が顕在化した結果が会社の制度だし、それをコンテンツとして一つひとつパッケージングして外に出していくのがブログ運営です。


すごく地道に、積み重ねるしかありません。

というか本物の熱量を持てるくらいのものでないと、地道に積み重ねられません。

ニセモノの熱量は、絶対にどこかで頓挫します。


そして関わるのは、会社の全員が関わります。

そういう意味で広報は、そのなかの『リーダー』的な、ひとつの役割でしかありません。

ハチャメチャ本末転倒なこと言うんですが、広報担当にできることって本当に少ないなと感じます。やっぱり、思いがあって事業立ち上げたり、もともとある文化にはなんにも勝てないです。んで、もともとある資産に頼っていたとしても、先細りするだけなんですよね。


じゃあ結局広報はなにをするのか、できるのかと言ったら、会社が作りたい文化を『作る』のと、そしてできあがった文化を『見つける』を繰り返して、少しでも会社がありたい姿に近づけような手助けをすること。

逆に、それしかない気もします。

ぼくはガッツリ広報としてやったわけでもやっているわけでもないので、断言はまだしかねますが。


そのためには、『広報』という役割の人はここからここまでしか仕事しない、じゃなくて、もう会社の文化や価値観を『作る』のと『見つける』ためにできることを、全部やることが大事。

社内広報というか、メンバーの中にちゃんと仕事としても人間としても入っていくことが求められるなと思います。企業の強力なアセットでもある文化は人の間にしか生まれないんです。


いまぼくは肩書ライターとして会社のWantedlyとかプレスリリースとかいろんな情報発信のところの仕事をさせてもらってて、来年入社したタイミングでどうなるかはまだ未定ですが、広報って『広報ひとりにできるなんてたかが知れてる』の諦念と『作る、見つけるのためにはなんでもやるぞ。仕事しても人間としてもメンバーの中に入っていくぞ』のなんでもやるぞの精神の両立が大事だなと、たびちんさんのnoteを読んで改めて思いました!

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