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会社は「居場所」になれるのか?

『愛の反対は憎しみではなく、無関心だ』という言葉がありますよね。

(実はこの言葉、マザー・テレサが言ったわけではないようです)

あと、ヤクルトや阪神、楽天などで監督を務めた野村克也さんは、選手に対するマネジメントの極意として『一流に対しては非難、二流に対しては賞賛、三流に対しては無視』という言葉を残しています。


両者から言えることは『無視されるのは悲しい』ということ。

それだったら、(愛のある)怒りの言葉を向けてくれたほうがいいです。

きょう、『組織のなかでスポットライトを浴びること、無視されること』についてツイートしたら、勢いあまって大半が140文字パンパンのツイートを7個も連続でしてしまったので、そのことについて書きます。

まだあんまり考えが固まってないので、いろいろとっ散らかったり、飛躍したりします。


きょうの話の大前提は、上のツイートにもある通り、『ぼくたちはお金よりも注目をもらったほうがうれしい』のではないかということ。

『ミレニアル世代は、給料よりもやりがいを求める』なんてことがよく言われていますが、別に世代に限らず、『辞める理由』に関して言えば、ざっくり言うとマジで『やりがい』か『人間関係』が9割を占めると思います。

(給料は募集や面接の段階でフィルタリングかかるので)


そこで企業側(=経営側)ができることとしては、ぶっちゃけ『人間関係』は究極的には(経営陣が絡まない)当人同士の要素も大きいので、どうしようもない側面もあります。

ただ、『(広義的な)やりがい』に関しては、経営側の関与できる余地が大いにあるのではないかと。


それが、『経営側が持っている「あなたのことが必要だよ感」』を、どのようにして分配するのかという問題。


働いている人は、経営陣から『あなたのことが必要だよ』というメッセージ(直接の言葉に限らず、昇格・昇給なども含める)をもらうと、おそらく無条件でうれしいです。

しかし、『あなたのことが必要だよ』資源には限界があるので、組織の規模がある一定以上になると、供給される『あなたのことが必要だよ感』が、不可避的にバラツキが大きくなってきます。

そして、あまり『あなたのことが必要だよ感』を享受できなかった人は、『ああ、自分はここにいてもあんまり意味がないなあ』と感じてしまい、次の環境へ行ってしまうことがよくあります。(=退職)


というnoteも書いたように、先日ぼくは『関西人事交流会』に参加したのですが、そこで登壇してた方が、『退職者が出たときに企業側が被る見えないコスト』みたいなのを列挙されていました。

スマホに書いてたメモ消しちゃったので、うろ覚えですが、『引き継ぎコスト』『退職していた人が持っていたタスクが、残ったメンバーに割り振られてタスク量が増える(そして増えたタスクが辛くなって、辞める人が連鎖的に出てくる)』『オンボーディングコスト(=入社にあたって、人事とか配属先の上司とかが事務系も含めていろいろ教えること)』などなど挙げていて、そして最後に一番見えにくいけどジワジワ影響が出てくるコストとして『会社の空気が暗くなる』を挙げられていました。

たしかに、独立するとか寿退社とかは例外として、人が退職するときはだいたい暗い空気になってしまいます。

その空気感が、残るメンバーの士気に悪影響をおよぼすというコストもあるのです。


だから、基本的には(あくまでも基本的には)、やっぱり人は辞めないほうがいいです。

というか、みんなが生き生きと働く環境を作れるに越したことはありません。

そのためには当然、経営側が持っている『あなたのことを必要としている感』を、野村監督の言葉を借りるなら、一流二流三流を問わず、ある程度『均等に』分配する施策も考えられます。


そうすれば、もしかしたらたくさんの人が生き生きと働けるかもしれません。

しかし、企業は民間企業である以上は、売上をあげないと存続できないのです。

そのためには、みんなに『活躍(=売上をあげたり、他のメンバーが売上を上げるような環境を整えることで貢献したり)』することではじめて、経営側から『あなたのことを必要としている感』を享受できるようなインセンティブ設計も重要です。

しかも(一旦目先の)利益を考えるだけなら、活躍している人を徹底的に優遇してもっと活躍できる環境を整えるほうが、たぶん企業の売上は上がります。


ただ、そうした場合、先ほど言ったみたいに『退職者』が出ることは見えないコストがめちゃくちゃ発生するので、中長期的に見たときに、どっちのほうがいいのかな、というか、これはもうバランスと使い分けの問題のだと思いますが、どういう分配をするのが最適なのかなというのが、最近のぼくの個人的なテーマのひとつです。


大前提として、民間企業が活躍した人に多くの資源を割くのは圧倒的に正しいです。

社会に価値を提供し続けないと、すぐさま市場から退場させられてしまうので。


ただ、少し前に『まったく活躍しない人に対して、「あなたのことを必要としている感」ではなく「あなたはここにいてもいいんだよ感」を提供する場所』について書かれた本を読んだのですが。


本に出てきたのは、民間企業ではなく、税金で運営されている公共施設だったので、前提の仕組みから違うのですが、この、公共施設とか民間とか、企業とかオンラインサロンとかってくくりが、少しずつ溶けてきている、ような気もします。


『あなたを必要としている感』を、本来(の民間企業)よりも均等よりに分配することは、もしかしたら退職者は減るかもしれないですが、中長的に見たときに、逆にそれ以上に売上が減る可能性も大いにあります。

ここらへんは、本当にまだ思考実験の域を出ないというか、もうほぼ妄想なのですが、完全に均等に分配することはしないにしても、均すところと、極端に差をつけるところ、この塩梅をうまい感じにやることによって、退職者が極力出ずに、みんなが生き生きと働いて、そして活躍することによるインセンティブ設計も機能して、めっちゃ最強な企業になることはできるかなーというのが、最近考えていること。

セーフティネットと競争って、共存できるんかな。




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