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夜の自由帳

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夜に考える、ぐるぐるとした出口のないこととかの、集積所です。
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#日記

ハーベイ・ブリストルクリーム

ハーベイ・ブリストルクリーム

イギリス産の青い瓶に入れられた、スペイン産の琥珀色のお酒
白ワインの一種だけれど、琥珀色のその液体は、ワインと言われなければ全く気づかないだろう色と香りと、味をしている
甘いそれはデザート酒として、シェリー酒の中では一番飲まれているそうだけれど、日本では正規代理店が取り扱いをやめてしまってから、ちょこちょこと、並行輸入品を見かけるだけになってしまった

お酒がそれぽまど好きではないわたしにとって、

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憶えていられるだけの世界

憶えていられるだけの世界

歌詞もメロディも憶えていないのだけれど "For as long as I remember" という曲があって、いいタイトルだな、と思った

私が憶えているあいだ
私が憶えているあいだだけ存在する世界、あなた

素朴的唯我論と、素朴的唯物論は、同じ結論に達するんだって、Wikipediaには書いてあった

脳は一時的なストレージで標本で、大切に仕舞い込まれている
自分につけられたNo.を、わたし

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木造の生物のなかの、ある日の夢

木造の生物のなかの、ある日の夢

書いたことを全く覚えて居なくても、夜中に目を覚まして夢を書いている時が偶にあって、
睡眠薬を使うとふわふわと記憶が定かではなくなって、揺蕩うような微睡むような、そんな不定形な存在になれる気がする。サスキア・オルドウォーバースのビデオ作品の世界にいるような、そんな気持ちになる。
そんな夜のお話。

凍った足元、深く氷漬けになった車
誰かが蹴って氷を破ろうとしている
氷の中からはジャジーな音楽が流れて

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11月26日(Choclate & Cofee)

11月26日(Choclate & Cofee)

久しぶりに会う友人と深夜、コーヒーもチョコレートも豆の焙煎から行っているというチョコレート&コーヒーショップに行く。
滑らかな木製の椅子とテーブルの店だった。

思えば、コーヒーもチョコレートも豆を焙煎して挽いて作るという意味では一緒なのだなと思いながらカカオの産地を選んだりする。
ベトナムのカカオはベリー系のフルーティない香りが特徴なのだそうだ。

半個室になっている空間の、窓際の席に女の子が座

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夜に窓から

夜に窓から

「かなしみ」というものが(それを悲しみとかこうと哀しみと書こうと愛しみと書こうと、そんなことはどうでも良くて)、夜に窓の隙間から差し込まれる、薄くて透明なものではなくて、昼の温い日差しの中で肌に纏わり付く汗のようなものに、いつか変わってしまうんじゃないかという恐怖があって、それほど恐ろしいことはないと思う。

生きるということはいつだって過敏であるという意味であって欲しい。
耳鳴りに似た高音と、静

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