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友達って一生友達なの?

「高校卒業してもずっと遊んでいような」


「ずっと、友達だから遊びに誘ってな」



この言葉を聞いてなんかむず痒ゆい気持ちになった。
別にその友達のことが嫌いなわでもなく
否定しているわけでもない。だけど何か引っかかる。



そんな不透明な感情を抱いたまま3年間通った高校を
無事卒業し大学へ進学した。




4月の入学式を終え、友達も難なく出来て1ヶ月ぐらい
経つとゴールデンウィークを迎えることになった。


このゴールデンウィークを迎える何日か前に、
高校時代に仲が良かったグループラインに
メッセージが入っていた。

社会人として既に働いている1人の子が
「ゴールデンウィークに遊べる?」と聞いてきたので、
僕は大学生ということもあってある程度予定は
空いているので「行けるよ」と答えた。


他の子も「行けるよ」と返信が次々とくる。
関東の大学に進学した子もわざわざ帰ってきてくれるし
なんだか楽しみな気持ちも湧いてきて遠足に行く前の
小学生みたいな感じになった。

仲の良い友達は6人。
その中の5人は大学へ進学。
1人だけが社会人の道へ進んだ。

当日。
高校の卒業式以来で久しぶりに会うということもあって、
少し心臓がドキドキしたし、
みんな見た目が変わっているのなかな?とか、
どういう話しをしようかな?と頭の中で色々なことが
ドタドタと洗濯機が回るような感じ。



5駅先の待ち合わせ場所の駅に向かい家から
最寄りの駅へ徒歩で向かった。
時間に余裕を持って出た為少しホームで
電車が来るのを待っていた。

しばらく待つと自分が乗る電車がやっと来た。
こういう楽しみな日は何を待つのも時間が長く
感じることが多い。電車に乗車し揺られること10分弱。


待ち合わせの駅に着き、外のロータリーへ向かった。


すると、
社会人になった子が車で迎えに来てくれていて、
他の友達も既に車で待っていた。
車から友達が出てきて「久しぶり」という言葉が
飛び交う。

たった2ヶ月ぐらい会っていないだけなのに、
少し雰囲気が違うように見えた。
もちろん見た目に関しても変わっているところもあった。



例えば髪の毛を大学生らしく染めていたり、
ピアスを開けていたり見れば分かるところが
変わっていた。


雰囲気も大人とは言えないけど高校生の頃のような
あどけなさは何処かへ行ってしまった。
大人と子供の間みたいな感じ。

どこに行くか少し話して結局車で5分ぐらいの
喫茶店へ向かうことになった。

車の中では社会人の友達が現代の若者らしくない
ミッション車に乗っていたので、
「オートマ車の方が楽じゃない?(笑)」と
ツッコンでみたり、くだらない話をしていた。



すると、
喫茶店に着き店内へ入った。
店員さんにテーブル席へ案内されて席へ着き、
とりあえず飲み物をそれぞれ飲みたい物を頼んだ。

飲み物を飲みながら近況の話をしあったりして終始
笑顔が止まらなかった。
見た目や雰囲気が変わったのかと思っていたけど、
実際に会って久しぶりに話してみると高校時代
とあまり変わっていなかった。


それが良いことなのか悪いことなのかは分からない。
けど、変わっていない彼らの姿はどこか心地が良いなと
感じ楽しかった高校時代を思い出した。



夜は温泉に行き裸の付き合いをした。
そこでは本当にくだらない話しばかり。
友達の彼女の話し。社会人の子は上司の話し。
大学で可愛い子いるの?

そんな他愛の無い話ばかりだったけど、
そんなくだらない話ができる友達がいてくれて本当に
良かった。

学生時代で戻れるならやっぱり高校生に戻りたい。
そう思わせてくれる友達がいたことは本当に
かけがえのない存在であるし、ずっと友達でいたい。


大事にしたい。そう思っていた。



その日からまる4年経った。
その日以来、彼らと会うことは無くなった。
一緒に集まる機会も無ければメッセージもこない。



自分自身も大学の友達がいるからそこで遊ぶことはあったがここまで会わないとなるともう忘れ去られてしまったのかと思い、わざわざ連絡を取ることも億劫になった。

そんな時に、
たまたまその時遊んだ子(社会人の子)と偶然再会する
機会があった。

自分から話しかけるのがなんとなく気まずく感じたが、
久しぶり話したいと思い声を掛けてみた。


「久しぶりー元気してた?」と
僕がその子に話しかけると、
「おー久しぶりやん!元気、元気。ケンスケは?」と
聞かれたので、「ボチボチ元気」と返した。



そこから1時間ぐらい話してみたけどどこか
違和感を覚えた。
なんか分かんないけど話が噛み合わない。



話し終わった後家に帰ってからモヤモヤした
気持ちになった。というよりかは、
お互いの心が磁石のように近づこうとすればする程
離れていくように感じて寂しいというのが一番近い
感覚かもしれない。

もしかしたら、
あの遊んだ日に会って楽しい時間は過ごせたけど、
実は今抱えている気持ちが僕と同じような気持ちを
その子も抱いているのかもしれないと後々考えてみたり。

歳を重ねるにつれて、
それぞれ異なる環境や人に出会えば価値観であったり、
付き合い方も変わっていく。


それは僕で言えば大学であり学生の友達だった。
その子にとってはそれは会社であり社内の人間。


結局人は新しい場所で新たな友人を作ったり、
環境が変わっていけば人付き合いは変わる。
これは至極当然のことで何のおかしなことじゃない。

環境が変わりそこで新たな人と出会っていけば、
価値観が変わる。大人なっていたり。
そういったズレが生まれていくのは仕方がないこと。

稀に、生涯友達関係を築けるようなこともある。
それはそれで凄いことだと思う。

特に、
今の時代やと人間関係なんか薄っぺらい上っ面だけの
友達関係の方が多く感じるし実際大学時代に周りの
友達とかそういった子が多いように感じた。

だから、
ずっと友達でいれることは尊いものだと思う。

だからといって、
ずっと友達でいたいなんて独りよがりな
気持ちが先行して押し付けことは違う。

結局のところ、
友達は繋ぎ止める存在じゃなくて、
その場の環境や出会う人に応じて循環していくもの。

これは誰にもでも訪れること。
それは就職やったり進学やったり各々の
『タイミング』で変わっていく。

このタイミングはいずれ訪れることなので、
このタイミングのズレで友達と疎遠になったりしても
全く悲観することは無いはずだと思う。

こうやって考えたら、
人間関係は全く希薄なモノではなくて
かけがえなのないあの時間は嘘じゃない 
事が分かって少し楽になった。

だから、
またお互いの『タイミング』が噛み合えば
縁がまた巡り巡ってもう一度友達になれるし、
懐かしい話やお互いが知らない話しを素直に
話せたら良いと思う。 

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