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読書日記

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徒然なるままに、日々読み耽っている本の、ざれごとを綴ります。 こっちらにはない本は、Instagramにどうぞ https://www.instagram.com/shigety…
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2020年8月の記事一覧

お父さん、にやられる…

お父さん、にやられる…

浜口倫太郎さんの新作「お父さんはユーチューバー」を読了。

この丸紅茜さんの表紙イラストとタイトルでついつい手にとったけど、176ページ目からラストに向かっていく展開、素晴らしい。感動。この軽いタイトルからのこのラスト、本当にやられる。やられた。

現在の宮古島と、お父さんの勇吾が若い頃に東京で芸人を目指して苦しい貧乏生活を営んでいた12年前の東京。2つの時間と場所を超えたストーリー展開のテンポの

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「繋がる」ことと、「伝える」こと

「繋がる」ことと、「伝える」こと



163回目の芥川賞に輝いた「首里の馬」を読んだ。いつもは「文藝春秋」で読むけど、今回は沖縄モチーフなので、単行本で。

で、なぜ馬なのか、考えを巡らせて、「伝える」という言葉に辿り着いた。

主人公の未名子は中学の頃から、学校にも行かずに、郷土資料の整理に明け暮れた。来る日も来る日も、沖縄の伝承を記録し、整理し、保管する。

一方で、生活費を稼ぐために、週に何日か、オンラインでクイズを出題する

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立ち消えになった映画企画から沖縄の芸能史に迫る貴重な1冊

立ち消えになった映画企画から沖縄の芸能史に迫る貴重な1冊

企画があがりながら幻に終わった作品を通して、沖縄の映画、芸能、当時の世相に迫る新書「外伝 沖縄映画史 幻に終わった作品たち」(ボーダーインク)が発売された。

同書は、映画史を研究する世良利和(せら・としかず)氏が、2016年7月から2018年の9月まで沖縄タイムスに連載していた「幻の沖縄映画史」をベースに加筆修正を加えた1冊。戦前・戦中、米軍統治下、本土復帰後と時代に沿って、42編の話がまとめら

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甲子園春夏連覇の興南野球部員の10年を追うノンフィクション

甲子園春夏連覇の興南野球部員の10年を追うノンフィクション

沖縄県在住の作家・松永多佳倫(まつなが・たかりん)氏の新著「まかちょーけ-興南甲子園春夏連覇のその後-」(集英社文庫)が、7月17日、発売された。

松永氏は、1968年、岐阜県生まれ、沖縄県在住の作家。沖縄県書店大賞を受賞した「沖縄を変えた男 栽弘義-高校野球に捧げた生涯」(集英社文庫)のほか、「マウンドに散った天才投手」(講談社+α文庫)、「最後の黄金世代 遠藤保仁 79年組それぞれの15年」

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