繁田謙

沖縄拠点にゆるりと編集・取材活動中。 角川グループにて、ザテレビジョン、ウォーカーな…

繁田謙

沖縄拠点にゆるりと編集・取材活動中。 角川グループにて、ザテレビジョン、ウォーカーなどの都市情報誌、ムック本、LCC機内誌の編集を担当しました。 現在は、デザインイノベーションおきなわで企画・プランナーを務めながら、ことのはローカルデザインという屋号でボチボチ活動してます。

マガジン

  • 読書日記

    徒然なるままに、日々読み耽っている本の、ざれごとを綴ります。 こっちらにはない本は、Instagramにどうぞ https://www.instagram.com/shigetype/?hl=ja

最近の記事

人間が生きることの意味を問う全瞬間

この本を手に取ったのは、ある仕事がきっかけだった。でも、「仕事だから」ではない衝動で、読み進めることになった。 角幡唯介さんの「漂流」。沖縄・伊良部島の漁師の、実際にあった話だ。 この佐良浜の漁師は、37日間の漂流から奇跡的に生還したその8年後に再び海に出て、現在も行方不明になっている。 関係者へのインタビューを基に実際に最初に漂流した際の、まさに生死の淵をさまよった生々しい描写があるにもかかわらず、全編を通して浮かび上がってくるのは、その人物描写だった。 ひと言でド

    • “第二の人生”を生き抜くヒント

      沖縄在住の作家・松永多佳倫(まつなが・たかりん)氏は、このたび、書籍「第二の人生で勝ち組になる」(KADOKAWA)を刊行した。   松永氏は、1968年、岐阜県生まれ、沖縄県在住の作家。沖縄県書店大賞を受賞した「沖縄を変えた男 栽弘義-高校野球に捧げた生涯」(集英社文庫)のほか、「マウンドに散った天才投手」(講談社+α文庫)、「最後の黄金世代 遠藤保仁 79年組それぞれの15年」(KADOKAWA)、「偏差値70からの甲子園 僕たちは野球も学業も頂点を目指す」(集英社文庫)

      • 沖縄をテーマに居場所に悩む人の背中を押す深沢潮氏の意欲作

        作家・深沢潮(ふかざわ・うしお)氏が沖縄をテーマに描いた最新小説「翡翠色の海へうたう」(角川書店)が刊行された。 「翡翠色の海へうたう」は、現在と沖縄戦当時、それぞれの時代に生きた2人の女性を主人公に、物語は並行的に進行していく。 主人公の一人は、現在を生きる河合葉奈。物語は、彼女が現在の南城市にある自然洞窟(ガマ)「糸数アブチラガマ」を“取材”するところから始まる。葉奈は、応援しているK-POPアイドルが慰安婦女性など性被害に遭った人たちを支援するブランドの服を着ていた

        • 沖縄で生きた“ひめゆりの生徒たち”の一大青春譚

          沖縄師範学校女子部、沖縄県立第一高等女学校(沖縄女師・一高女)の生徒たちが生活を共にした寄宿舎「ひめゆり学園 寄宿舎」での青春を綴った書籍「ひめゆりたちの春秋-沖縄女師・一高女の『寄宿舎』-」(ボーダーインク)が発売された。 同書は、1916年に「ひめゆり学園 寄宿舎」が落成してから、1945年3月22日に最後の留送別会が行われるまでの生徒たちの日常や思いを綴った、仲程昌徳(なかほど・まさのり)氏の新著。 “ひめゆり”という言葉からピンと来た人も多いと思うが、沖縄戦時、“

        人間が生きることの意味を問う全瞬間

        マガジン

        • 読書日記
          10本

        記事

          檀ふみさんの文章で優しい読書時間を過ごす。

          檀ふみさんのエッセイを初めて体験しました。 女優としての素晴らしさしか触れてきませんでしたが、文章もこんなにうまいとは…。いいエッセイでした。 そもそも檀一雄さんの素顔を少しでも知りたくて手に取りましたが、檀ふみさんのエッセイにすごく魅了されてしまった〜。 檀一雄さんが晩年に過ごした能古島の家やその背景、1万冊に近い蔵書を遺されていたこと、食事時に家族全員がちゃんと席に着いていないと機嫌が悪くなってしまうこと、暗い部屋を好まずに朝でも昼でも自分の居場所には煌々と電気が

          檀ふみさんの文章で優しい読書時間を過ごす。

          「Red」から思う、30代女性にとっての「生」について。

          「Red」から思う、30代女性にとっての「生」について。

          お父さん、にやられる…

          浜口倫太郎さんの新作「お父さんはユーチューバー」を読了。 この丸紅茜さんの表紙イラストとタイトルでついつい手にとったけど、176ページ目からラストに向かっていく展開、素晴らしい。感動。この軽いタイトルからのこのラスト、本当にやられる。やられた。 現在の宮古島と、お父さんの勇吾が若い頃に東京で芸人を目指して苦しい貧乏生活を営んでいた12年前の東京。2つの時間と場所を超えたストーリー展開のテンポの良さは、浜口さんの巧みなストーリー作りが見られてすばらしい。 そして、宮古島な

          お父さん、にやられる…

          「繋がる」ことと、「伝える」こと

          163回目の芥川賞に輝いた「首里の馬」を読んだ。いつもは「文藝春秋」で読むけど、今回は沖縄モチーフなので、単行本で。 で、なぜ馬なのか、考えを巡らせて、「伝える」という言葉に辿り着いた。 主人公の未名子は中学の頃から、学校にも行かずに、郷土資料の整理に明け暮れた。来る日も来る日も、沖縄の伝承を記録し、整理し、保管する。 一方で、生活費を稼ぐために、週に何日か、オンラインでクイズを出題するオペレーターの仕事をこなす。 人との接触を避けていた未名子が、オンラインで人と

          「繋がる」ことと、「伝える」こと

          立ち消えになった映画企画から沖縄の芸能史に迫る貴重な1冊

          企画があがりながら幻に終わった作品を通して、沖縄の映画、芸能、当時の世相に迫る新書「外伝 沖縄映画史 幻に終わった作品たち」(ボーダーインク)が発売された。 同書は、映画史を研究する世良利和(せら・としかず)氏が、2016年7月から2018年の9月まで沖縄タイムスに連載していた「幻の沖縄映画史」をベースに加筆修正を加えた1冊。戦前・戦中、米軍統治下、本土復帰後と時代に沿って、42編の話がまとめられている。 幻に終わった作品を時代順に紹介していくだけでなく、青春スターだった

          立ち消えになった映画企画から沖縄の芸能史に迫る貴重な1冊

          甲子園春夏連覇の興南野球部員の10年を追うノンフィクション

          沖縄県在住の作家・松永多佳倫(まつなが・たかりん)氏の新著「まかちょーけ-興南甲子園春夏連覇のその後-」(集英社文庫)が、7月17日、発売された。 松永氏は、1968年、岐阜県生まれ、沖縄県在住の作家。沖縄県書店大賞を受賞した「沖縄を変えた男 栽弘義-高校野球に捧げた生涯」(集英社文庫)のほか、「マウンドに散った天才投手」(講談社+α文庫)、「最後の黄金世代 遠藤保仁 79年組それぞれの15年」(KADOKAWA)、「偏差値70からの甲子園 僕たちは野球も学業も頂点を目指す

          甲子園春夏連覇の興南野球部員の10年を追うノンフィクション

          「道の駅許田」が道の駅ランキングで全国1位に!

          旅の情報サイト「トリップアドバイザー」は、このたび、「旅好きが選ぶ!日本人に人気の道の駅ランキング2020」を発表。1位に沖縄・名護の「道の駅許田 やんばる物産センター」が輝いた。 ランキングは、2019年6月~2020年5月にトリップアドバイザーに投稿された日本語の口コミのうち、道の駅に投稿された評価点(5段階)そして、投稿数などを基に同社独自のアルゴリズムで集計した。 現在、全国には1,100を超える道の駅があり、今回のランキングでは、北海道から10施設と最も多くのラ

          「道の駅許田」が道の駅ランキングで全国1位に!