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【実質ベースの思考🌈】為替レートの決定理論と応用モデル解説:国際金融論💖No.11

今後、定期的に投稿していく
【国際金融論】シリーズにおいては
私が現在学習している内容である
「国際経済学の分野」について学んだことを
アウトプットしていきたいと思います👍

前回の記事は、こちらになります!


はじめに:モデルの導入前に

開放経済における対外取引は、財・サービスに係る「経常取引:Current Account」と、金融資産に係る「資本取引:Capital Account」に大別されるということは、こちらの記事で解説しています💖

これらの取引の根本的な相違点は、次の2点です

  1. 資本取引の単位費用が、経常取引の単位費用より小さいこと

  2. 資本取引の所要時間が、経常取引の所要時間より短いこと

これらの相違から、国際取引に障壁(=資本規制や取引数量制限、莫大な取引費用の存在など)がない場合
内外の資産市場はほぼ常時均衡状態にあると見なせますが
内外の財(サービス含む)市場は必ずしも均衡状態にあるとは限らないのです
資本の移動というのは、時間が掛かることが多いです

「金融市場における資本」とは少しニュアンスが違うかもしれませんが、材市場における資本を考えるみます
工場や家を建てる時間が1年以上掛かるケースが多いことに対して、鉄鋼原料が貿易される時間は相対的に短いというイメージで良いと思います📝

短期と長期の違いについて

今一度、ここで「長期と短期の違い」について確認しましょう
国際マクロ経済学における「長期」とは、財市場と資産市場の両者が均衡状態 に達する期間を指します
その一方で「短期」とは、瞬時に均衡状態に達する資産市場のみが均衡す る期間を示していると理解してください

私が解説する内容は、内外の財市場・資産市場が共に均衡状態にある場合の為替レートの決定理論 を取り扱うことにします

以下では、まず為替レートの均衡に関する古典的な概念である
「購買力平価説」および購買力平価と密接な関係にある
「実質為替レート」について説明することを試みます

その次、貨幣市場に着目した為替レートの長期均衡理論である
「マネタリー・アプローチ(貨幣接近)」について考察してみようと思います

また、購買力平価説およびマネタリー・アプローチに基づく為替レートの実証分析についても言及します

そして、私が卒業論文を執筆するときに留意点を指摘しながら理解を深めていくことにします💝

為替レートの短期的均衡モデル:Part⑤

為替レートの決定理論について、これから丁寧に解説していきたいと思います
長期均衡モデルで大切なことは「財・資産両市場の均衡」を考慮することでありました
しかし、実際の経済は「短期」的な変動によって
経済のファンダメンタルズが変化することも多いです📝


以下では、財(及びサービス)市場における均衡が成立せず、相対的に取引に係るコスト・時間が短い資産市場における均衡のみが達成されるような短期における為替レートの決定理論をご紹介することにします
ここでは、産出量、物価水準、内外金融資産の供給残高は所与と見
なされますので、ご留意ください

短期と長期とはまた異なる視点を持っていることは
上記で解説いたしましたが
今後は為替レートの決定理論における
長期のモデルではなく
短期のモデルを順番に解説していきたいと思います


登場する記号一覧は、以下の通りです

$$
i :  Nominal  Interest  Rate\\
(=Investment  or  Profit  of Asset )\\
r = Real  Interest  Rate\\
P_i : the  price  of  No.i  good    \\
S : Local  currency  exchange  rate \\
{P_i}^* : the  price  of  No.i  foreign  good \\
( i = 1, …, n )\\
* : Foreign  Variables \\
F : forward  rate \\
e :  Expectation  value\\
s,f : logarithm  of  S,F
$$

(3)実質金利とフィッシャー効果✨

通貨で測られた金利(=名目金利 i )に対し、購買力を調整した金利を実質金利(r)と呼びます
※経済学において名目と実質を区別することはとても大切なことなので、この点をしっかりご理解されることをおすすめいたします💖
実質金利の関係式は、以下の式にて示されるのです

$$
Real  Interest  Rate\\
r_t = i_t -({p_{t+1}^e} - p_t)・・・①\\
---------\\
Inflation  rate\\ ≡π_t ={p_{t+1}^e} - p_t\\
---------\\
Fisher   Equation\\
r_t = i_t - π_t ・・・②
$$

上式①のインプリケーションは、t+1 時点にて it の名目金利を生む資産の実質的な価値が、t 時点から t+1 時点にかけての期待インフレ率で割り引いたものとなることです

ここでの実質金利の水準は、概念上は資本ストック、時間選好、貯蓄・投資率などといった実物的要因によって決まることとなり、短期的には安定的であると考えられるのです

つまり、短期的には期待インフレ率の増加は、名目金利を同率分高めることとなる(フィッシャー効果)という解釈を得ることになります

$$
Fisher  Effect  in  Short  term \\
Δπ  = Δ i >0
$$

なお、実質金利の計測を行う際に問題となるのは「期待インフレ率」をいかに定義するかが重要になります

市場が 1 年後の物価水準を的確に知ることができるのであれば、期待インフレ 率は事後的な物価上昇率に相当しますが・・・
むしろ実証的な分析を行う場合には、直近(過去 1 年)のインフレ率を用いるのが適当と考えられるのです


最重要応用問題:金利平価と購買力平価の成立条件🌟

これまでの議論より、カバーなし金利平価と相対的購買力平価が同時に成立するケースを考えてみたいと思います

フィッシャー効果ならびに方程式の関係をご理解いただければ、このケースを説明するための条件式が導出されることに感銘を受けると思います

$$
Fisher   Equation\\
r_t = i_t - π_t ・・・②\\
--------
$$

$$
Interest   Rate  Parity \\
(1+i_t) =(1+{i_t}^*)\times ({S_{t}}/S_{t-1})・・・③\\
------------\\
Relative   Purchasing    Power  Parity  \\
(P_{t}/P_{t-1})= ({P^*_{t}}/P_{t-1}^*)\times({S_{t}^e}/S_{t-1})\\
-----------\\
S_{t} (P_{t}^*/P_t)=S_{t-1}(P^*_{t-1}/P_{t-1})=1・・・④
$$

ここで、共通項をくくって
整理していくことにしましょう
まず、③式、④式を為替レート変化率について解きますと以下のようになりますね

$$
({S_{t}}/S_{t-1})=(1+i_t) /(1+{i_t}^*)・・・⑤\\
(S_{t}/S_{t-1}) = (P_{t}/P^*_{t})\times{(P_{t-1}^*/P_{t-1})}・・・⑥
$$

t-1期の値は既にデータとして確定していますから、⑤=⑥式で解いていくと以下を得ます📝

$$
(1+i_t) /(1+{i_t}^*)\\=(P_{t}/P^*_{t})\times{(P_{t-1}^*/P_{t-1})}・・・⑦\\
$$

ここで、インフレ率をπとします 

$$
π≡(P_t - P_{t-1})/P_{t-1}\\ π^*≡(P_t^* - P_{t-1}^*)/P_{t-1}^*
$$

すると、次の式変形ができます

$$
(1+i_t) /(1+π_t) = (1+i_t^*)/(1+π_t^*)・・・⑧
$$


⑧式の両辺から対数を取って、近似すると以下のようにまとめることができます

$$
i_t - π_t =  i_t^*- π_t^e・・・⑨
$$

この式は、どこかで見たことありませんか??
そうです、フィッシャー方程式の関係そのものなのです
これが、国内外で成立していることになりますから、実質利子率で表記すると以下の結論を得ることになります💖

$$
Important💖   Condition  of  \\both  PPP  and  Interest  Parity  established  \\
r_t = r_t ^*・・・⑩
$$

⑩式は、私が考察した
購買力平価と金利平価が同時に成立するための条件式です
要するに、国内外における実質利子率が等しくなっていることが条件として導かれるのです

為替レート、利子率やインフレ率からフィッシャー効果を通じて、実質利子率という、短期的視点から長期的視点における為替レートの決定理論までの総括ができたと思います
ぜひ今後の学習に繋げていただけますと幸いです💖

本日の解説は、ここまでとします
フィッシャー方程式の関係から導かれる実質利子率の関係性ついてご理解いただけましたか??😊

これらの議論を用いて、次回は、いよいよ発展編のアセット・アプローチに入っていき、このモデルを解説したいと思います

For You:マガジンのご紹介🌟

こちらのマガジンにて
【国際経済学🌏】の基礎理論をまとめています

また、経済学理論集などは
こちらをぜひご覧ください💖


今後、さらにコンテンツを拡充できるように努めて参りますので
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます📚

Ending:最後までご愛読いただき誠に有難うございます!

あくまで、私の見解や思ったことを
まとめさせていただいてますが
その点に関しまして、ご了承ください🙏

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