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【金利と為替の関係性🌟】為替レートの決定理論と応用モデル解説:国際金融論💖No.10

今後、定期的に投稿していく
【国際金融論】シリーズにおいては
私が現在学習している内容である
「国際経済学の分野」について学んだことを
アウトプットしていきたいと思います👍

前回の記事は、こちらになります

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はじめに:モデルの導入前に

開放経済における対外取引は、財・サービスに係る「経常取引:Current Account」と、金融資産に係る「資本取引:Capital Account」に大別されるということは、こちらの記事で解説しています💖

これらの取引の根本的な相違点は、次の2点です

  1. 資本取引の単位費用が、経常取引の単位費用より小さいこと

  2. 資本取引の所要時間が、経常取引の所要時間より短いこと

これらの相違から、国際取引に障壁(=資本規制や取引数量制限、莫大な取引費用の存在など)がない場合
内外の資産市場はほぼ常時均衡状態にあると見なせますが
内外の財(サービス含む)市場は必ずしも均衡状態にあるとは限らないのです
資本の移動というのは、時間が掛かることが多いです

「金融市場における資本」とは少しニュアンスが違うかもしれませんが、材市場における資本を考えるみます
工場や家を建てる時間が1年以上掛かるケースが多いことに対して、鉄鋼原料が貿易される時間は相対的に短いというイメージで良いと思います📝

短期と長期の違いについて

今一度、ここで「長期と短期の違い」について確認しましょう
国際マクロ経済学における「長期」とは、財市場と資産市場の両者が均衡状態 に達する期間を指します
その一方で「短期」とは、瞬時に均衡状態に達する資産市場のみが均衡す る期間を示していると理解してください

私が解説する内容は、内外の財市場・資産市場が共に均衡状態にある場合の為替レートの決定理論 を取り扱うことにします

以下では、まず為替レートの均衡に関する古典的な概念である
「購買力平価説」および購買力平価と密接な関係にある
「実質為替レート」について説明することを試みます

その次、貨幣市場に着目した為替レートの長期均衡理論である
「マネタリー・アプローチ(貨幣接近)」について考察してみようと思います

また、購買力平価説およびマネタリー・アプローチに基づく為替レートの実証分析についても言及します

そして、私が卒業論文を執筆するときに留意点を指摘しながら理解を深めていくことにします💝

為替レートの短期的均衡モデル:Part④

為替レートの決定理論について、これから丁寧に解説していきたいと思います
長期均衡モデルで大切なことは「財・資産両市場の均衡」を考慮することでありました
しかし、実際の経済は「短期」的な変動によって
経済のファンダメンタルズが変化することも多いです


以下では、財(及びサービス)市場における均衡が成立せず、相対的に取引に係るコスト・時間が短い資産市場における均衡のみが達成されるような短期における為替レートの決定理論をご紹介することにします
ここでは、産出量、物価水準、内外金融資産の供給残高は所与と見
なされますので、ご留意ください

短期と長期とはまた異なる視点を持っていることは
上記で解説いたしましたが
今後は為替レートの決定理論における
長期のモデルではなく
短期のモデルを順番に解説していきたいと思います


登場する記号一覧は、以下の通りです

$$
P_i : the  price  of  No.i  good    \\
S : Local  currency  exchange  rate \\
{P_i}^* : the  price  of  No.i  foreign  good \\
( i = 1, …, n )\\
I : Investment  or  Profit \\
* : Foreign  Variables \\
F : forward  rate \\
e :  Expectation  value\\
s,f : logarithm  of  S,F
$$

(2)カバーなし金利平価(Uncovered Interest Rate Parity: UIP)

前回の投稿では、カバー付き金利平価について学習しました

$$
Covered  Interest  Rate  Parity\\
CIP: (1+ i_t) = (1+{i_t}^*) \times(F_{t,t+1}/ S_t )\\
or  i_t = {i_t}^* + f_{t,t+1} - s_t  …②
$$

この式よりわかることは、先渡契約により、カバーされた無リスクの裁定条件であるということでした
しかし、国際資本投資を行う主体の全てが投資に先物カバーを行うものではありません
すなわち、将来の為替レ ートに関する投機的な判断に基づきオープン・ポジションをとり、収益の獲得を図ることも充分想定されます
この場合、満期時(t+1 時点)の為替レートは、t+1 時点の先渡レートではなく、 投資家の期待為替レートによって表現されることになるのです
これをカバーなし金利平価(UIP)と呼ぶことにしましょう

$$
Uncovered  Interest  Rate  Parity \\
(1+i_t ) = (1 +{i_t}*)\times({S_{t+1}}^e/S_t)\\
or,  i_t  ≒ {i_t}^* + {s_{t+1}}^e-s_t・・・③ 
$$

ただし、小文字の(s)は、自然対数値を取った値と考えてください
要するに、変化率に近似したような値で表現しているということになります
上式の関係は「カバーなし金利平価 (Uncovered Interest Rate Parity: UIP)」と呼ばれ、上式右辺の第二項と第三項は自国通貨の期待減価率を示しています

$$
Expected  Depreciation  Rate\\
=[{s_{t+1}}^e-s_t]
$$

UIPが成立する状況

では、いったいUIPはどのような場合に成立するのでしょうか?
一緒に考えていくことにしましょう
ここで、CIPにおける先物レートとUIPにおける期待為替レート の差をリスク・プレミアム(rp)と定義することにします📝

$$
Risk  Premium\\
rp≡ f_{t,t+1} - s_{t+1}^e・・・④
$$

上式④のリスク・プレミアムが正の値をとる場合について考察しましょう
すなわち先物レートが期待為替レートよりも切り下がっているケースです

より具体的な数値例を考えると、先物レートが 1 ドル 120 円、期待為替レートが 110 円であったと状況設定しましょう

ここでは、投資家による期待の平均値が 110 円である一方で、リスク回避的な選好を有する投資家は、円が大幅に減価する(例えば 1 ドル 130 円になる)可能性を考慮して、120 円における先物取引を行うかもしれませんね

これはつまり、ドルに比べて円の為替リスクが大きいことを示しています

逆に、上式④のリスク・プレミアムが負の値をとる場合には、ドルの減価に対して プレミアムを支払うことを意味しますね
これは、円に比べてドルのリスクが大きいことを示しています

これまでの議論を整理すると、UIPが成立する場合は、上式のリスク・プレミアムがゼロとなることが必要です(rp=0)

これはつまり、為替リスクの面でドルと円が同一である状態です
すなわち自国通貨建て資産と外国通貨 建て資産が完全代替的であることを示唆しています

資産市場における経験が示す通り、内外通貨建て資産が完全代替であることは想定し難く、UIPは必ずしも成立しないことが多くの実証分析においても示されているのです💦

本日の解説は、ここまでとします
カバーなし金利平価、カバー付き金利平価の違いやリスクプレミアム要因による資産市場の関係性についてご理解いただけましたか??😊

これらの議論を用いて、次回は為替レートや名目利子率からが実質金利が導かれれるメカニズムを解説したいと思います

For You:マガジンのご紹介🌟

こちらのマガジンにて
【国際経済学🌏】の基礎理論をまとめています

また、経済学理論集などは
こちらをぜひご覧ください💖


今後、さらにコンテンツを拡充できるように努めて参りますので
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます📚


Ending:最後までご愛読いただき誠に有難うございます!

あくまで、私の見解や思ったことを
まとめさせていただいてますが
その点に関しまして、ご了承ください🙏

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