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【現状のままで大丈夫?】「男女間賃金格差問題」の本質を経済理論から解き明かす🔥:日経新聞解説📰 2023/07/14
日本経済新聞の記事で
注目したい内容がありましたので
記事にしたいと思います💖
若干長い文章量ですが
目次をご活用いただきまして
どうぞ最後までご覧ください!
男女の賃金格差、平均3割 管理職比率の差背景 開示義務1年、金融・保険が最大 7100社分析
日本企業の男女の賃金格差が全業種平均で3割だったことが分かった。
日本経済新聞が政府のデータベースに公表された約7100社の開示を分析したところ、主要32業種では金融・保険の格差が最大だった。
背景として女性管理職の少なさを指摘する声があり、資生堂や双日は女性の管理職登用に力を入れている。
2022年7月の女性活躍推進法の省令改正で、常用労働者数301人以上の企業に
(1)全労働者(2)正規労働者(3)非正規労働者のそれぞれで賃金格差の開示が義務付けられた。開示を行わないことに対する罰則はない。
10日までに厚生労働省のデータベースに開示した企業は約7100社(300人以下の企業含む)。
男性の平均賃金を100として女性の平均賃金の割合を計算し、両者を比較すると、全労働者の格差は30.4%だった。
格差を雇用形態でみると、正規労働者は25.2%、非正規労働者は22.3%だった。
主要32業種で全労働者の格差を分析すると
金融・保険(39.9%)が最大で、小売・卸売(35.9%)も大きかった。
いずれも相対的に賃金が低い「一般職」や「地域限定職」、非正規雇用の女性比率が高い業種だ。
医療・福祉(22.2%)や情報・通信
(23.2%)など、男女の仕事内容の差が大きくない業種は格差が小さかった。
厚労省は企業に「男女の賃金の差異についての説明」も推奨しており、2~3割が格差の原因や背景も開示。要因として「女性管理職比率の低さ」を挙げる企業が目立つ。
20年の日本の女性管理職比率は13%で、
30~40%台の欧米主要国との差は大きい。
日本通運やキヤノンは役職ごとの賃金格差を開示したが、同じ役職で比べると格差はほとんどない。
女性活躍推進に優れた上場企業「なでしこ銘柄」(21年度選定)の20年度の営業利益率の平均は、旧東証1部銘柄の平均と比べて3.6ポイント、配当利回りは0.5ポイント高い。
賃金格差を解消し、取り組みを資本市場に訴えることは、経営戦略の柱の一つとなりつつある。
記事に対するコメント📝
日本企業の男女の賃金格差が全業種平均で
3割だったこと
そして日本経済新聞が政府のデータベースに公表された約7100社の開示を分析したところ
主要32業種では金融・保険の男女賃金格差が最大だった件について経済学的視点から考察していきたいと思います💦
2022年7月の女性活躍推進法の省令改正で、常用労働者数301人以上の企業に
(1)全労働者(2)正規労働者(3)非正規労働者のそれぞれで賃金格差の開示が義務付けられたとのことですが、なぜか賃金格差は
なくならないことが現状ですね😅
厚労省は企業に「男女の賃金の差異についての説明」も推奨しており、2~3割が格差の原因や背景も開示させるよう促しています
この原因として「女性管理職比率の低さ」を
挙げる企業が目立つということです
経済学理論:男女間賃金格差問題の考察🌟
以下では、労働環境と賃金格差の経済理論に
ついて、現実社会に存在する代表的な賃⾦格差を取り上げたのち、経済理論によるアプローチを一緒に考えていきたいと思います❤️
現実社会には、①労働環境と賃⾦格差
②男⼥間の賃⾦格差が代表的な賃金格差として存在すると思います
今回は②男⼥間の賃⾦格差、というテーマについて言及したいと思います📝
補償賃⾦差の理論
これまでの議論でも学習したように
仕事内容や労働者が同質的であれば、競争市場均衡は単⼀の賃⾦をもたらすことになります📝
しかし、実際に社会を俯瞰すると
労働者の技能や仕事の内容は異質であり
賃⾦も異なっていることが見受けられます
この原因として、危険性や快適性など
賃⾦以外の仕事のアメニティ (amenity)が存在していることが想定されます
このような要因を検討した結果、賃⾦格差は
賃⾦以外の仕事特性によって補償されるという考え⽅は「補償賃⾦差」(Compensating Wage Differentials) と呼ばれています
アダム・スミス『国富論』(1976 年)より
このような特定の仕事のアメニティを労働者の意志決定において導入した際に、市場均衡では賃⾦を含めた仕事の長所や短所が等しくなる、ということが想定されますね
賃⾦を価格指標として、企業と労働者の組み合わせがランダムに決まるという古典的な市場均衡モデルとは異なる点にご留意ください🙏🏻
今回の労働市場の問題を説明するために
使用する記号は以下の通りになります
$$
w_M: Wage of Male\\
w_F: Wage of Female\\ where, w_F < w_M \\ \\
d: Differential Coefficient >0 \\
Cost of Female Employee=w_F(1+d) \\
p: Price \\q : Output \\ \\N_M:Male Employee\\
N_F: Female Employee\\
MP_N: Marginal Production\\
VMP_N: Value of MP_N\\ \\
\\Production Function \\
q=f(N_M+N_F)\\
$$
嗜好によるジェンダー格差の発生
男女間賃金格差問題の原因として
嗜好によるジェンダー差別が考慮されていることは事実であります
これらは大きく以下に挙げる3つの差別
①雇い主による差別
②労働者による差別
③消費者による差別
に分類されると考えられています
$$
Employer Discrimination\\
w_F(1+d) …(1) \\
\\Employee Discrimination \\w_M(1+d)…(2)\\ \\Consumer Discrimination\\
p(1+d)…(3)
$$
$$
The case when \\there is No Gender Gap\\
where, w_F < w_M \\ \\
F.O.C for π^{MAX} \\
≡w_F = VMP_N
\\ \\
There is Gender Discrimination\\ \\
even if,
w_F(1+d) < w_M \\
⇒Employee Female Only \\ \\
Conversely, the case when\\
w_F(1+d) > w_M\\
⇒Employee Male Only
\\ \\
If Male employees are only employed\\
Optimal Labor Demand: N^*\\ \\
w_M= VMP_N is satisfied. \\ where, w_F < w_M\\
However, N_M < N^* \\ \\
If Female employees are only employed\\
Optimal Labor Demand: {N_F}^0\\ \\ \\
w_F(1+d_0) = VMP_N is satisfied. \\ \\even if there is No disrimination\\ {N_F}^* is optimal. \\where, w_F = VMP_N
$$
長期的な視点の考察から得られる結論として
以下のインプリケーションがあります
女性のみ雇用する企業は、差別係数(d)が
大きくなるほど、女性雇用量は過小になりますから、結果として利潤が減少していきます
反対に、男性のみを雇用する企業は
差別係数のある閾値を境に男性のみを雇用する企業に移行することになります
割高な賃金と過少雇用により、ある一定の低い利潤の下で経営しなければなりません
よって、企業にとって
長期的な視点に立った時、嗜好による男女差別は、利益に繋がることはないのです📝
しがたって、短期的に男女間賃金格差を発生
させるような差別を行う企業は利益を上げる
可能性もありますが
長期的な視点を取ったときには
男女差別をするような企業は市場から淘汰されてしまうことになるのです🥺
よって、長期的であれば、嗜好による男女賃金格差は存在することは考えにくいのです👏🏻
統計的差別 (Statistical Discrimination)💎
以下では、男女間賃金格差問題を説明する
労働経済理論のひとつである、統計的差別の
考え方について解説してまいります
実際の労働社会において、嗜好による差別が
なくても、男⼥間賃⾦格差が発⽣する可能性を私たちは考慮しなくてはなりません📝
説明におけるいくつかの仮定を設定しましょう
企業は、人的資本形成のために企業特殊訓練を⾏うため、訓練の費⽤を負担するあるいは
企業内訓練が重要でその機会を提供できるのは企業だけと仮定しましょう
また、⼥性の⽅が男性に⽐べて平均勤続年数が短いことも仮定におきます
⼥性の中にも将来にわたって⻑期勤続する
個⼈はいるが、企業はそれを識別できません
あるいは、勤続年数を識別するための費⽤が
異様に高いとします💦
このような設定のもとで、平均勤続年数の
⻑い男性に集中的に企業内訓練を⾏う結果
⽣産性に男⼥差が⽣じ、男⼥間賃⾦格差が
発⽣することになってしまうのです…
統計的差別の説明におけるロジック
企業は、訓練費⽤を回収するために⻑期勤続が⾒込める労働者に訓練を行いますが
個々の労働者が潜在的な⻑期勤続者かどうかを判別できないという情報の非対称性が存在しています
企業は、労働者をグループに分け
「平均勤続年数」の⻑い労働者グループを
選んで訓練を実施します
統計から労働者の期待パフォーマンスを予測し、それをベースとした差別的処遇を⾏うことから、統計的差別と呼ばれるのです😢
「嗜好による差別」は非効率であり
市場競争に敗れるのに対して
「統計的差別」は、企業の長期的な利潤最大化行動において相対的に効率的となります🙄
そのため、何か外的に制裁や措置が
加わらない限り、現状に存在する
男女間賃金格差は解消されない、ということが問題であると考察できるのです
今回の記事の内容をより理解するためには
管理職登用問題などが健在している背景としてこのような統計的差別に基づく問題があることを念頭に置いておくだけでも
経済を俯瞰する視点や今後の行動が
変わってくるのではないでしょうか?!🥺
今回の解説はいかがだったでしょうか?
次回も引き続き、この賃金格差というテーマについて、いくつかの投稿に分けて解説してきました💖
ぜひ、これらの基礎的な理論や考え方を念頭において、日々の生活や仕事において活用できる機会を模索し続けて行きましょう👍
労働経済学を理解することで、世の中の問題
ひいては、自分自身の労働環境について
法的な制度や基礎的な経済学の概念から考えることができるようになると思います
なぜ、労働問題が発生するのか?
ということを心得ておくだけでも
何かビジネスや生活において有利になることは間違いないと考えます
だからこそ、毎日インプットを怠ることなく得た情報を活用できる場所を探すだけなのです
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます💘
マガジンのご紹介🔔
こちらのマガジンにて
エッセンシャル経済学理論集、ならびに
【国際経済学🌏】の基礎理論をまとめています
今後、さらにコンテンツを拡充できるように努めて参りますので
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます📚
最後までご愛読いただき誠に有難うございます!
あくまで、私の見解や思ったことを
まとめさせていただいてますが
その点に関しまして、ご了承ください🙏
この投稿をみてくださった方が
ほんの小さな事でも学びがあった!
考え方の引き出しが増えた!
読書から学べることが多い!
などなど、プラスの収穫があったのであれば
大変嬉しく思いますし、投稿作成の冥利に尽きます!!
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