【介入に伴うコストと将来の予測📊】『Japanese Foreign Exchange Interventions, 1971-2018:Estimating a Reaction Function Using the Best Proxy』:先行研究解説 No.14💝2023/11/02
Introduction:卒業論文は早めに仕上げたい💛
私もいよいよ卒業論文の執筆に
取りかかる時期がやって参りました👍
何事もアウトプット前提のインプットが
大事であると、noteで毎日発信してきました
これは、どのような内容で
あっても当てはまります👍
論文を一概に読んでも
記憶に残っていなかったり
大切な観点を忘れてしまっていたりしたら
卒業論文の進捗は滞ってしまうと思います
だからこそ、この「note」をフル活用して
卒業論文を1%でも
完成に向けて進めていきたいと思います
私の卒論執筆への軌跡を
どうぞご愛読ください📖
今回の参考文献🔥
今回、読み進めていく論文は
こちらのURLになります👍
『Japanese Foreign Exchange Interventions, 1971-2018: Estimating a Reaction Function Using the Best Proxy』
Takatoshi Ito(a), Tomoyoshi Yabu(b)
(a) School of International and Public Affairs, Columbia University, and GRIPS, Tokyo
(b) Department of Business and Commerce, Keio University
Japanese Foreign Exchange Interventions, 1971-2018: Estimating a Reaction Function Using the Best Proxy
December 12, 2019
Takatoshi Ito(a), Tomoyoshi Yabu(b)
(a) School of International and Public Affairs, Columbia University, and GRIPS, Tokyo
(b) Department of Business and Commerce, Keio University
前回のお復習い📝
5. Reaction Function
前回の投稿では、順序プロビットモデル(Ordered Probit Model)を用いて、通貨当局の反応関数を求めるプロセスについてアウトプットしました🌟
Ito and Yabu (2007)は、目標為替レートと介入のコスト関数をより現実的に定式化して、順序付けされたプロビットモデルとして反応関数を導出できるようにすることでモデルを拡張しました
Ito and Yabu (2007)の順序付けプロビットモデルを今一度お復習いとして確認しておくことにしましょう
$$
\\Ordered Probit Model \\ \\IInt_t = \begin{cases}
+1 &\text{if } \mu_2 < y_t^* \\
0 &\text{if } \mu_1 < y_t^* < \mu_2 \\ -1&\text{if } y_t^* < \mu_1 \cdots(2)
\end{cases} \\ \\ \\where y_t^*=X_t\beta +\epsilon_t \\with \epsilon_t \backsim i.i.d N(0,\sigma^2) and\\ \\X_t\beta=\beta_1(s_{t-1}-s_{t-2})+\beta_2(s_{t-1}-s_{t-1}^{MA})+\beta_3 IInt_{t-1}
$$
5.4. Ordered Probit Regressions
表6は、順序付けプロビットモデルの式(2)の推定結果を示しています
各サブサンプルについて、これらの結果をセクション 5.3 の線形化モデルの結果と比較すると、推定係数の符号とその有意性はほぼ同じです👀
$$
\\Structural Break Test:Linear Model\\ \\IInt_t =\varphi_0+\varphi_1(s_{t-1}-s_{t-2})\\ +\varphi_2(s_{t-1}-s_{t-1}^{MA})+\varphi_3 IInt_{t-1}+v_t (3)
$$
したがって、順序付けプロビットモデルの新しいパラメーターの推定値のみを説明します
µ1*と µ2*は、それぞれドル売り(円買い)介入のコストとドル買い(円売り)介入のコストを表します📝
過去2つの期間ではドル売り(円買い)介入がまったくなかったため、パラメータ µ*1は回帰では推定されていないことに注意してします👏
最初の期間(1971/8~1981/11)では、μ1*は大幅に負ですが、μ2*はゼロと大きく異なりません
したがって、介入コストの違いにより、金融当局はドルを売るよりも買う傾向が強かったという解釈ができます
この点は Hutchison (1984) によっても提起されています
続いて、2番目の期間(1981/12~1995/5)では、パラメーター µ2*は大幅に正になります
国際的な政治的圧力(international political pressure)もあり、金融当局が円安を誘導するドル買い(円売り)をするのは難しかったのかもしれないという考察ができます(※近隣窮乏化政策による弊害なども考慮することが望ましいように思いますね?!)
またパラメータ µ1* は大幅にマイナスであり、第1期間の対応するパラメータよりも絶対値が大きくなっていることが読み取れます
これは、ドル売り介入のコストが高かったことを示唆しています
また、μ2*はμ1*よりも絶対値が大きいため、ドル買い介入のコストがドル売り介入のコストよりも高かったことが読み取れます
すなわち、この期間において金融当局は円高よりも円安に抵抗する傾向があるということを読み取れます
また、介入なしの中立帯域(The neutral band of no intervention)は、ここでは最初の期間よりも広くなっていることがわかります🌟
3番目の期間(1995/6~2002/12)では、パラメーター µ1*とµ2*の両方がゼロとは大きく異なります📝
また、μ1は、μ2よりもその絶対値が大きいため、ドル売り介入のコストがドル買い介入のコストよりも大きかったことがわかります
したがって、金融当局は円安よりも円高を阻止する傾向が強く、介入なしの中立帯域は第2期の帯域よりもさらに広かったことになるのです
ここで、μ2*が第2期の対応するパラメータよりも低いことに注意してください
これは、この期間ではドル買い介入のコストが低くなるということを意味します👀
4 番目の期間では、μ2* はゼロから大きく変わりません。したがって、介入なしの中立帯域(The neutral band of no intervention)の証拠はなく、これは通貨当局が外国為替市場に介入したときに他国からの国際政治的圧力がなかったことを意味します
ジョージ・W・ブッシュ政権で国際問題担当財務次官を務めたテイラー(2006年)が記録しているように、米国財務省は介入には批判的だったのですが、この期間中、日本銀行が採用した量的緩和政策(the quantitative easing policy)に対して米国への支持を示すために日本の介入を承認したのです
(詳細については、Taylor、2006年を参照)
実際、Watanabe and Yabu (2013)は、円売り(ドル買い)介入によって市場に円資金が供給されたとき、日銀は市場調節を通じて円資金の60%を相殺し、残りはしばらく市場に留まったこと(=非不胎化介入のような現象)を発見しました
一方、第5期では、μ2* の値が 8.405 と最大になります
したがって、介入なしの中立帯域(The neutral band of no intervention)はすべてのサブサンプルの中で最も幅が広くなりました📝
このころの経済情勢を考えると、2011年3月の東日本大震災による急激な円高や、2011年8月に1ドル=75円台まで円高ドル高が史上最高値を記録したときなど、介入が稀にしか行われなかったためであるという解釈ができます
したがって、円・ドルレートの過度のボラティリティや無秩序な動き(disorderly movements)によって経済・金融の安定が損なわれることが明らかな場合を除き、金融当局は国際政治的圧力により市場に介入することができなかったということになります
線形回帰の結果とは対照的に、この期間は他の期間よりもモデルの当てはまりを示す(擬似決定係数 pseudo R^2) が高くなります
これは、介入なしの中立帯域を導入することにより、モデルが介入ゼロを予測できるほど豊富になったという事実によるものです👏
本日の解説は、ここまでとします
このような歴史や先行研究をしっかり理解した上で、卒業論文執筆に取り組んでいきたいです
読み終えた先行研究📚
『日本の為替介入の分析』 伊藤隆敏・著
経済研究 Vol.54 No.2 Apr. 2003
『Effects of the Bank of Japan’s intervention on yen/dollar exchange rate volatility』21 November 2004
Toshiaki Watanabe (a), Kimie Harada (b)
『The Effects of Japanese Foreign Exchange Intervention: GARCH Estimation and Change Point Detection』
Eric Hillebrand Gunther Schnabl Discussion
Paper No.6 October 2003
私の研究テーマについて🔖
私は「為替介入の実証分析」をテーマに
卒業論文を執筆しようと考えています📝
日本経済を考えたときに、為替レートによって
貿易取引や経常収支が変化したり
株や証券、債権といった金融資産の収益率が
変化したりと日本経済と為替レートとは
切っても切れない縁があるのです💝
(円💴だけに・・・)
経済ショックによって
為替レートが変化すると
その影響は私たちの生活に大きく影響します
だからこそ、為替レートの安定性を
担保するような為替介入はマクロ経済政策に
おいても非常に重要な意義を持っていると
推測しています
決して学部生が楽して執筆できる
簡単なテーマを選択しているわけでは無いと信じています
ただ、この卒業論文をやり切ることが
私の学生生活の集大成となることは事実なので
最後までコツコツと取り組んで参ります🔥
本日の解説は、以上とします📝
今後も経済学理論集ならびに
社会課題に対する経済学的視点による説明など
有意義な内容を発信できるように
努めてまいりますので
今後とも宜しくお願いします🥺
マガジンのご紹介🔔
こちらのマガジンにて
卒業論文執筆への軌跡
エッセンシャル経済学理論集、ならびに
【国際経済学🌏】の基礎理論をまとめています
今後、さらにコンテンツを拡充できるように努めて参りますので何卒よろしくお願い申し上げます📚
最後までご愛読いただき誠に有難うございました!
あくまで、私の見解や思ったことを
まとめさせていただいてますが
その点に関しまして、ご了承ください🙏
この投稿をみてくださった方が
ほんの小さな事でも学びがあった!
考え方の引き出しが増えた!
読書から学べることが多い!
などなど、プラスの収穫があったのであれば
大変嬉しく思いますし、投稿作成の冥利に尽きます!!
お気軽にコメント、いいね「スキ」💖
そして、お差し支えなければ
フォロー&シェアをお願いしたいです👍
今後とも何卒よろしくお願いいたします!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?