白黒の道

お世話になっている人が
突然、遠くより
訪ねてきて

「ありがとうございました」と
言った。

-

返事をする間もなく、
その人は

歩いていく。

その速さの速いこと。
全力で走って
やっと追いつけるほどだった。

-

その人は
道から不自然に伸びている
白黒の細い道を歩いていく。

その道の先まで
進むと、
牛になる。

その人は、
牛になりたいから、

「ありがとうございました」と
挨拶をしにきたと
いう事がわかった。

-

牛になるのが
そんなに嬉しいか、
天真爛漫に進んでく、
その人と
追う自分

-

だけど、
深追いしすぎると
自分まで牛になってしまう。

自分はまだ
自分でいたい。

牛になって
やりたい事などない。

だけど、
お世話になった人を
引き止めたい。

だけど、それは
誰のためか、
自分の都合じゃないか?

その人は
心から牛になって
新しい世界を行きたいのじゃ
ないか。

そして、
追いかける事が
できなくなった。

-

道を引き返すと

モ〜モ〜と
牛の鳴き声が聴こえてきた。

いよいよ牛になれたの
だろう。

-

そしたら
まぁるい牛になった
お世話になった人が、
後ろから飛んできて、

足につかまらせてくれると

空高く飛んでいく。

-

ものすごい光の中に
連れて行かれて

お世話になった人が
人間から
牛になった式典が

行われた。

-

自分は
見届け人を務め、

お世話になった人が
歩いていった
あの白黒の道を
授かり

責任を持って管理する事に
なった。

サポート大喜び!サポート大喜び!サポート大喜び! サポート大喜び!サポート大喜び!サポート大喜び!