読書記スクラップ[震災・災害]02_地震の科学
02「地震の科学」地震学会編
カラーブックスのシリーズに地震を扱ったものがあったので、手に取った。
(確か古本屋で購入したと思う)
「はじめに」では、編集・出版の目的と経緯が語られるが、これには、全国の友の会からの寄付の有効活用の一環である旨がしめされた上で、
地震という現象がどんなふうに研究されているかを紹介することを中心テーマとして、一冊の本を出版しようという方針が打ち出された。しかし、実際に編集にあたってみると、間もなく委員たちは、とんでもなく難しい事業に手を染めたことを実感し始めた。その原因は、一口に言えば最近の地球科学の進歩の目まぐるしさにあり、刻々と変化し、また、多岐にまたがっている学問の成果を限られた頁数に、しかも写真で紹介しなければならないという要求からきていた。一頁仕上げるのにも白熱した議論が繰り広げられることが多かった。
と書かれている。
昭和54年9月に発行されている。
なので、その前年に起こった宮城県沖地震の写真が特に多く掲載されている。
おそらくそれが契機になったものだと思う。
コンパクトな中に、前半はカラー写真を使った解説、後半は地震そのもの(地震活動、メカニズム、予知など)の解説がテキストベースで書かれており、当時の研究を限られた中で「わかりやすく伝える」ための熱量がうかがえる。
書かれている中で、地震の前兆を捉えるための井戸水の分析・観測や、「なまずの会」なるグループが古井戸の水位変動の観測をしていたことなどを知る。
個人的には、元禄地震、善光寺地震、安政江戸地震などの絵図や古地図が載っている部分が一番興味深かった。
この発行から40年。地震科学も大きく進歩しているだろう。
緊急地震速報のアラームに肝を冷やし、数分後には震度も把握できる。
今や被災各地の被害状況もオンタイムでわかることも多い。
しかし、防災意識の部分では、一つ前のポストで書いた寺田寅彦の時から変わっていないように思う。
防災(アクション)側からの地震科学(研究・学問)、地震科学側からの防災という双方からのアプローチで、新しい取り組みはできないものかと、ぼんやり考える。
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