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読書記スクラップ[震災・災害]03_災害・崩壊・津波 地名解-地名に込められた伝言

03「災害・崩壊・津波 地名解-地名に込められた伝言」太宰幸子

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ここのところのいくつかのポストで、災害を防ぐためには「忘れないこと」だと書いた。


色々な方法があろうが、先人が伝えようとしていたことが、実は地名に残っている。

本書の冒頭にはこうある。

地名は、そこに暮らしてきた人々の、小さくても、一人一人の大切な生きざまや歴史を伝えている。教科書に記されているような、国を揺るがすような大きな歴史ではないかもしれないが、私たち庶民にとっては、一番大切で、一番気をつけなければ意味が込められている。その一つが、先人が伝えてきた「災害・崩壊地名」だった。それが突然襲ってくる自然災害に対する心の準備をするためのお役に立てると信じ、地名のもつ意味を再認識してほしいと願ってやまない。

水に関する地名、崖地などの崩落・崩壊を知らせる地名、そして、東日本大震災時の被災地の地名も本書で解説されている。

荒、梅(埋)、亀、蛇、龍、袋など、水とそのリスクを知らせるもの。
崩、喰、栗、猿、竹など、崖崩れ、崩落を知らせるもの。
これらの中で、特に興味深かったことが2点あった。
一つは、米(こめ・よね)や小金(こがね)が一見良い印象を受ける文字も、地名では砂地や流砂の堆積を示すものだそうで、水のリスクを知らせるものあるということ。
そして、もう一つは、「念仏」や「経」など、自然地形や条件をつけたものではなく、災害時の人の行動が地名として残っているところで、これは貝や鱈が流れてきたという光景・目撃談が地名についているものもあることと相まって、非常に興味深いものだ。

こうしたように、地名には理由がある訳だ。

都市化され、原地形や原風景が見えにくくなった。
しかし、自分の関係する地名の理由(由緒)を知ることには、そんなに大冒険をする必要はなく、散歩程度で十分だろう。

近年の水害(低地の浸水被害など)で、にわかに地名と地形が脚光をあびることがある。(中には面白おかしく、あるいは目を引くような刺激的なタイトルをつけて警鐘を鳴らしている「らしき」本も近年たくさん出ているが、私はそういう類には興味がない。単なる便乗であり、むしろ迷惑に感じる。)
それらが、日常生活のリスクとして土地の生活者が感じ取れるものになることを祈るばかり。
緊張は長くは続かない。だからこその、日常使いがある「地名」が尚更重要なのだろうと思う。

今、多発する災害の中を生きる我々に、先人はこういう形で伝えている。

目紛しく流動し、忙しい日常の中で、まずはこういう基本的なことに目を向けたいものだと思う。


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