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けん
2023年9月19日 06:36
秋の匂いがした。白っぽい青空には、盛りを終えた入道雲がポツポツと取り残されている。少し肌寒い。 僕たちは、まだ明けきっていない暗い朝日の中をゆっくりと歩いていた。朝露に濡れたコンクリートには、黄色や赤に変色した落ち葉が所狭しと落ちている。 ー秋は嫌いよ、寂しいわ。 そのように言った鏡子の顔は、朝焼けの光のせいで暗いコントラストができている。 ぼくは秋について考える。手始めにキノコについて