住宅営業にFPを勧める理由〜空き家相談の実例③〜

空き家相談の実例も3回目になったが、今回の実例は2拠点生活〜移住〜空き家といったフルコースのような相談でした。

このような相談ケースは、今後も増えていきそうな気がしています。
今回の相談者は、空き家所有者(父)の娘さん^_^

〜背景・相談内容〜
⚫︎父から、定年を迎えたので現役時代に購入していた住宅(関東近郊の別荘地)を拠点として、生活をしていきたいと言われている

⚫︎相談者(娘)は空き家になる実家を利活用したいが、その際の父を説得する材料が欲しい
※父に売却を提案したけど、今はNOと言われてしまった。しかし、空き家にしておくのはもったいないと考えている。

⚫︎最近まで相談者の兄夫婦が、家賃を支払って実家に住んでいたのだが、仕事の都合で地方に移住することが決まった。

⚫︎両親からは築36年と聞いているが、耐震改修工事をしないといけないのか、基準などがよく分からない。

⚫︎賃貸に出す際の注意点を確認したい

〜親族内においての懸念点〜
父(所有者)の意向を尊重しつつ、中長期のライフプランを考える必要がある。

理由としては、、
・年齢は60代前半であること
・個別に依頼を受けられる仕事がある
・定年後も仕事はしていきたいと思っている
2拠点生活をしつつ、自身の年齢や身体の調子と向き合いながら、タイミングをみて移住へ〜といったビジョンなのかもしれない。

状況次第では、生活便も良く医療施設が整っている都内に、戻る場所を確保しておきたいということも想定しているのでしょう。
そのため、定年＝隠居(移住)を前提とした話しで進めてしまうことは、心情面で納得はされない気持ちは分かる気がする。

違う角度でみた場合だが、、
相続時、移住予定先の不動産の取り扱いに、相続人が苦労してしまうかもしれないと個人的には心配している。

実は、私の義父も趣味の素潜りをしていきたいとの理由から、移住も想定し伊豆の別荘地(中古付き)を購入したときがあった。
私は相続人ではないが、相続発生したら維持・管理は出来ないなぁ、、別荘地の売却は難しいんだよなぁ、、日本人ではなく外国人が買うのかなぁ、、などと、頭をよぎってしまったからだ😓
幸いにも維持費や長距離移動の問題から、数年たった時にタイミングよく売却されたので、良かったというべきか、、

心配をしすぎるよりも、将来へ向けての想定はしておこうといった感じが、まとめ方として良いでしょう♪

さて、話しを相談内容に戻します。

〜仮説・対策案〜
①所有している空き家不動産の立地条件が良いことから、選択肢は拡がる(東京23区、駅近)
→親族内で、しっかりと方針を固めてから動いていくことで余計な労力を使わずに済む。

②耐震改修工事を心配されていたが、年代から新耐震基準適合と考えられる
→新耐震基準とはいえ、所々で経年劣化も想定される。賃貸で貸す際には注意が必要。

③数パターンのシミュレーションを想定しておく必要がある
→近い将来に売却すること、または拠点を戻すことも想定した契約形態を検討しておくこと
※定期借家契約が良いケースかもしれない。
※高齢になり認知症などで介護が必要になった場合、生活便を優先する可能性もある。

〜依頼主とのやり取り〜
依)実家が空き家になり、父に空き家の活用として賃貸に出す提案をしたいのですが、、
築年数が古いので、耐震改修工事をしないといけないものでしょうか？
↓
私)築年数は分かりますか？
↓
依)はい、築36年くらいと聞いています。
↓
私)増改築など、リフォーム工事はされていますか？例えば、1階のリビングを広くするために壁を撤去した…など
↓
依)水回り関係のリフォームやシロアリ駆除はしましたが、そのような工事はしていません。
↓
私)では、賃貸に出すにしてもその辺りのことを賃借人へしっかりと告知しましょう！
※詳細については省略していますが、重要事項説明(建物状況調査の結果の概要)や契約書特約条項などの注意点を説明

〜まとめ〜
今回のケースは、まだ移住のための資産整理とまではいかず、2拠点生活をもイメージした方が近いかもしれない。
仕事で都内に来る頻度や今後のことも考えたら空き家の利活用を子供の方から提案したことで、家族内のライフプランが鮮明になってくるのではないか。
その点からも、良い実例だと思う。
これはあくまでも個人的な意見だが、娘を持つ父親としては娘からグイグイこられると弱いもので、簡単に本音を引き出せると思う(笑

理屈ではなく心情面が重要なので、このようなプロセスは必要なことでしょう。

相続・空き家問題については、複雑なケースも珍しいことではないので、noteにまとめることが難しい実例も多い。

しかし、同じような境遇のかたにとって少しでも参考になればと思っているので、今後も継続して書いていきたいと思います！