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現代建築家宣言 Contemporary Architects Manifesto【9】〈境域〉の只中を航海せよ ―暴力、群衆、アイデンティティを超えて
著者・若林拓哉 ―現代建築家は、〈境域〉によって逃走する人間に〈闘技〉の場を拓く。 〈現代建築家〉は、〈贈与〉の連帯によって他者と正の連鎖を生むことを希求するものである。そこでは〈歓待〉の精神こそが不可欠となる。一方で、私たちの社会は常に敵対性と隣り合わせにある。この他者との闘争を 前提として、その事実に立ち向かわなければならない。そこで第八回の終わりに現代的な問いのキーワードの一つとして〈境域parages〉を提示して幕を閉じた。まずこの意味内容に立ち入る前に、前回の
現代建築家宣言 Contemporary Architects Manifesto【8】〈互酬性〉は〈贈与〉と〈交換〉でできている
著者・若林拓哉 ―現代建築家は、〈互酬性〉の連帯によって他者を〈歓待〉する。 〈現代建築家〉は、「魔術化」された事物を〈分解〉によって〈発酵〉させることでその事物を身体化するとともに、無為の連鎖を生み出しうるプラットフォームとしての役割を果たすことが求められる。そして分断が進行する社会との連関を築くための別様な価値基準を導入する必要がある。そこで〈互酬性 reciprocity〉を提示して幕を閉じた。 私たちは何かをすれば必ず適切な報酬を受け取ることを求め、逆に何か
現代建築家宣言 Contemporary Architects Manifesto【7】〈分解〉と〈発酵〉 ― 〈疎外〉された事物の内部化と他者性の連鎖
建築界のこの底知れぬ閉塞感と、夢のなさを肌身で実感する平成生まれの 20代建築家が、それでも建築に希望を見いだす術を模索した痕跡。 *『建築ジャーナル』2020年10月号からの転載です。 著者・若林拓哉 ―現代建築家は、「魔術化」された事物を〈分解〉によって〈発酵〉させる。 〈現代建築家〉は、複数種とその生態系を自己の身体の延長として捉え、それらの他者をどのように食べ、また食べられるかという価値意識を持つ存在である。そしてその捕捉者/被食者のあいだの摂食行為あるいは消
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現代建築家宣言 Contemporary Architects Manifesto【6】私たちは〈可食性〉を咀嚼し、 反芻する動物である
建築界のこの底知れぬ閉塞感と、夢のなさを肌身で実感する平成生まれの 20代建築家が、それでも建築に希望を見いだす術を模索した痕跡。 *『建築ジャーナル』2020年6月号からの転載です。 著者・若林拓哉 〈現代建築家〉は、無数に存在する「正しさ」を可能なかぎり摂取しながら「誤り」を享受する存在である。そしてそれは他者を「食べる」存在でありながら自己もまた「食べられる」存在だと認識することへつながる。そこで第五回の終わりに現代的な問いのキーワードの一つとして〈可食性〉を提示し
現代建築家宣言 Contemporary Architects Manifesto【5】〈可謬性〉の海を漂うことは 〈誤配〉に身を任せることであり、 それは〈偶然性〉の暗闇で迷うことであり、 それは無数の〈模倣〉の連鎖であり、……
建築界のこの底知れぬ閉塞感と、夢のなさを肌身で実感する平成生まれの 20代建築家が、それでも建築に希望を見いだす術を模索した痕跡。 *『建築ジャーナル』2020年3月号からの転載です。 第5回 〈可謬性〉の海を漂うことは〈誤配〉に身を任せることであり、それは〈偶然性〉の暗闇で迷うことであり、それは無数の〈模倣〉の連鎖であり、……著者・若林拓哉 〈現代建築家〉は、多角的なパースペクティヴの揺れ動きを許容する存在であり、それは画一的な「正しさ」を疑い、「誤り」を積極的に享受す
BFF ベタ・フラッシュ・フォワード[10]tofubeats 音楽プロデューサー・ DJ・トラックメーカー【新しい街】
*『建築ジャーナル』2019年10月号の転載です。 誌面デザイン 鈴木一誌デザイン/下田麻亜也 渋谷の中央、スペイン坂が巻き付くようにWWW/WWWXと呼ばれるライブハウスがある。ここはかつて『RISE』(1986)と呼ばれた映画館、建築家・北川原温の代表作だ。『RISE』の発表に寄せて、北川原はこう綴っている。「以前、この都市の白い闇の中にひとつの迷宮があった。それは解釈の迷宮と呼ばれるものであった。(中略)私たちは対象そのものを見ることはできない。つまり解
有料200現代建築家宣言 Contemporary Architects Manifesto【3】人類、崇高さ、死 ―表象不可能性の先へ投擲せよ―
建築界のこの底知れぬ閉塞感と、夢のなさを肌身で実感する平成生まれの 20代建築家が、それでも建築に希望を見いだす術を模索した痕跡。 *『建築ジャーナル』2019年9月号からの転載です。 第三回 人類、崇高さ、死 ―表象不可能性の先へ投擲せよ―著者・若林拓哉 ――現代建築家は、〈崇高さ〉によって人間中心主義を超克する。 〈現代建築家〉は個人的性質を可能な限りつぶさに見つめ、それらを具体的に感じ、肯定し、理解する。そのリベラルな態度は個人主義的な側面もあるが、一方で極め
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