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聖地巡礼記チベットへゆく⑮寺に隠された秘密に迫る

チベット(西蔵)へ聖地巡礼の旅

仏教は長い歴史において
実は今大きな転換期をむかえている

仏教史において後世語り継がれるであろう
時代を僕らは生きている
そして歴史の目撃者となる

チベットへ行くはシリーズでつづっています
是非過去記事からどうぞ!

寺に隠された秘密に迫る

拉薩から少し離れた丘の上に
ひっそりと白い仏塔が建ち並ぶ寺

幼きダライ・ラマ十四世と共に
修行しダライと同じく転生僧トゥルク
でもありチベット仏教を支えてきた
この寺の座主は一月前に亡くなっていた

今もこの寺のどこかの部屋で
チベット死者の書、バルドゥの経典を
耳元で唱えられ転生に向けて
四十九日を数えている
そんなタイミングで僕は寺にやってきた

部屋にあった巨大な
ダライ・ラマ十四世の写真

十四世の崇拝は禁止されている
チベット仏教の中心地 拉薩で
隠すことなく大きな写真が飾られている事は
異例な事だと思った

この国で、
十四世を、こんなに大胆に目にする事はない

十四世の事に触れ口にする事はタブー
僕は配慮し旅を続けてきた

この寺に対して不思議な思いを抱き
謎を感じ白い仏塔の見渡す丘の上にいた


ふと僕は現実に戻り
さっきまで我慢していた高山病の痛みに
悩まされる

どこかで休憩がしたいと思いつつ
寺を散策しようと更に丘を登る

木や雑草や花が生い茂る横に門を見つける
僕と妻の二人は自然と
その門の中に吸い込まれていく

門をくぐり小さく不規則で配置された階段を
登っていくと外からは見えなかったが
小さな庭があり人の声が聞こえ中を覗く

ラマが1名と男性2名に女性2名
女性の横には大型犬が一匹座っている

顔を合わすと自然と僕らは中の人に招かれ
庭の中に吸い込まれていく

席に座り横の帽子をかぶる男性が
お茶やお菓子を提供してくれて
歓迎してくれた

ラマの見た目60代だろうか
優しい顔でニコニコして微笑む
雰囲気から偉いラマのようだ

妻は自分達の状況を簡単に説明して
皆と打ち解けようとしていた

僕は頭も痛く横になりたい気分で
意識も朦朧として正直辛い状態になっていた

彼らは日本人の僕に
興味も持ってるようで
なんでこんな場所に日本人が?
という話題をしていた

日本人がこの寺に来たのは初めてかもと
言われ
それほど僕は珍しい客であった

僕は妻を通じて
チベット仏教に感じる魅力を
熱く語ろうとしたら
妻に変な事言わないで!と言われ
普通にチベット仏教好きな日本人として
当たり障りなく紹介してくれた

興味があるなら
この偉いラマの弟子になるかい?と
もう一人の若い男性が言ってきた

すると年配の横にいたラマ
そんな簡単に決めるもんじゃないと
説明をしてくれる

一度、子弟関係を結べば一生仕える事になる
だから慎重に師を選ばないといけないよ
と僧は笑いながら言う

僕も今日だけ弟子にしてくださいと
冗談を言い笑いを誘う

雑談の中で何となく皆の素性も見えてくる

この僧は現在の、この寺の座主

という事は
一月前に亡くなった転生僧トゥルク
後を継いだ人となる
寺で一番偉いラマである

僕は更に突っ込んで色々聞きたい事があり
妻に質問をお願いしたけど妻は
不謹慎な質問はできないと僕を制す

確かにそうだった
インタビューしているのではない

皆の空気感で
察しなくてはいけない

横に帽子をかぶり座る男性が
お茶をいれてくれたり
お菓子を食べな。と勧めてくれる
年齢は30代前半くらい

僕は頭が痛かったので
何度も進められるお菓子を
遠慮していた

犬を連れた女性が
帽子をかぶる男性の事を僕らに紹介してくれた

彼は日本の紅白歌合戦に相当する
中国の大晦日の大イベントに参加経験のある
チベット人歌手で芸能人だという
僕も妻も話を聞き彼を見て驚く


歌も出し携帯で歌う彼の映像も見せてくれた
イベントで日本に行き
日本の政治家と記念撮影した写真も見せてくれた

僕は先ほど失礼な事をしたと思い
お茶やお菓子を 謝謝シェィシェィ!といいながら
再度受けとり笑いを誘う

僕らは何となく輪に溶け込み
皆の事を聞いていた

犬を連れた女性の一人が
この寺に来た理由を教えてくれた

女性が連れてる犬は病気を抱え
余命が少ないと宣告され
高山療法を受けるべく最後の望みを期待し
愛犬を連れて この寺にきた

もう一人の女性は
高山療法を研究し興味を持つ事から
ここにいる

チベット人歌手はこの寺の人と縁があるらしい
もう一人の若い男は歌手の友達

少しずつ皆の関係が見えだしたけど
心に引っ掛かるのは初めて聞く

高山療法こうざんりょうほうというワードだった

高山療法と寺が何の関係があるのか
繋がりが理解できていない
そもそも高山療法って何か解ってない

妻の通訳では高山療法と訳すが
それが正しい表現かは定かではない

僕がどういう事?って
妻に聞いたけど

後で!と言われて
今は彼らの話を聞く事になった

その間に僕は失礼を承知で
僧にお願い事があります。として
左手首に付けてる数珠に念を込めて欲しいと
お願いをしてみた

星月菩提樹せいげつぼだいじゅの数珠
釈迦が菩提樹ぼだいじゅの下で悟りを開いた事から
仏教の三大聖樹と言われる樹木

インド旅でガンジス川の沐浴も共にした
僕が身に着けてる星月菩提樹せいげつぼだいじゅの数珠

星月菩提樹せいげつぼだいじゅの玉は 
くぼみと星のような斑点が特徴で
綺麗な状態なら価値が高いとされている

元の玉は綺麗な白色で空気に触れ
色が変化していく
普段身に着ける事で身に着けた人の脂も吸収し
徐々に濃い茶色に変化し年月をかけ自分色に
仕上がっていく

数珠色を綺麗に育て上げるのは
この数珠を持つ面白い部分でもあり
信仰にもつながる
チベット人は毎日真言を唱え
数珠を指で転がす

そして彼らが長年身に着ける数珠は
綺麗な深い茶色へと変わる

自らの念も注入され数珠は長い年月を経て
魂が入り完成されていく
チベットでは偉いラマから念をもらう事がある


現在の座主のラマは喜んで僕の数珠をとり
暫く真言を唱え数珠を指で転がす
そして最後に息を吹きかけ念を入れた
僕の数珠は
ただの数珠から年月と共に成長している


話が落ち着きひと段落したのか
若い男性が
この寺を紹介してあげると
誘われて僕らは男性についていく

寺自体が丘の上にあり
傾斜地に立っている

ところどころ小さい
平で庭的なスペースがあり
綺麗な花を育ててたり
高山植物を育てる庭もある

また別の場所に移動し
庭の目的を紹介してくれる

山の中に隠れ
不思議な配置で点在している
手入のしてる庭も有れば
雑な庭もある

開けた丘の上に着いた時に
若い男は ここが
ソンツェン・ガムポ王が
瞑想していた場所だよと教えてくれた

ソンッエン・ガンポ王は
チベットを統一した王
その時代に唐の姫 
文成公主がチベットに嫁いだ

僕は思わず
そんな場所がここにあるの?と驚く

何か特別な石碑が残されている訳ではないが
静かに集中出来そうな丘で見晴らしがいい
観光客に見せるような整備はなく
雑な感じだった

すると男性は指さし
あそこに見える黄色い建物は
文成公主も泊まっていた家屋だよ
と教えてくれた

建物の中は作り変えられてるけど
建物自体は昔から継続し修復し
使われていると説明

それを聞き 僕はさらに驚く
そんな場所がここにあるの?と

僕らが今、転々と巡って歩いた山の地形は
自然の造形に見えるけど
仏教思想に基づいた配置になって
結界を作っているんだよと


正直 その場では
詳しく理解しきれていないが
彼は軽い口調で重要な事を説明してくる

さらにもう一つ特別な場所が
この寺には存在すると言う

今から案内するから着いてきて
と言われ
僕らは彼の後を追う

チベットを統一した
ソンッエン・ガンポ王と妃の文成公主
遥か昔の古い初期チベットから
存在する寺
拉薩中心にある
ジョカン寺、ラモチエ寺より古い事になる

さらに高山療法と
ダライ・ラマ十四世との関係
それだけでも十分な謎に満ちた寺だったけど
もう一つ特別な場所があると言う

この寺は一体なんなのだろうか?

疑問と不思議と謎に僕は困惑し
高山病の痛みに耐えて彼の後を追う


⑯チベットに隠された秘密のパワースポットへ続く 

チベットへ行くはシリーズでつづっています
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